2st

「ナイショの一人遊び」

 坂下柚葉、16歳。二人より誕生日が遅いため、まだ16歳の柚葉。
 遅いのは誕生日だけではない…。


「はにゃぁ………」

 風呂から上がりパジャマに着替え、不可思議な溜息を漏らしながらベッドへと倒れ込む柚葉。
 ぽふっという音と共に大きめの枕に顔を埋め、うつ伏せになって瞼を閉じる。
 家に帰って熱いシャワーの湯を頭から浴びても、昼間の光景が脳裏から離れない。
 数少ない有人である唯菜の普段見る事の出来ない姿。
 以前から交際している男性が居るとは聞いていたが、それがまさか社会科教師の近藤だっとは。
 そんな二人の激しく愛し合う姿が、柚葉の瞼の裏に鮮やかに甦ってくる。

(……凄かったなぁ………)

 もちろん生で男女の性行為を見るのは始めての経験だ。その衝撃はかなりのものであった。
 そして受けた衝撃以上に、愛し合う二人の姿に憧れもした。

(…私だけ…まだ…なんだよねぇ……)

 以前に聞いた話では、真希も既に経験があると言う。
 高校に入って真希や唯菜から教えられるまで、全くと言って良い程に性の知識の無かった柚葉は、もちろん経験があるはずもない。

(遅れてるのかなぁ……ふにゅぅ……)

 それは成長途中の小振りな乳房と共に、最近の柚葉の悩みの一つであった。
 素敵な男性が現れるまで大切にしておきたいと思う反面、早く経験してみたいという好奇心もある。
 かと言って気軽にできる行為でもない。
 悩み憧れつつ、覚えたばかりの自慰行為で満足してしまうのが今の柚葉であった。

 余程昼間の光景が衝撃的だったのであろう。いつまで経っても柚葉の脳裏から昼間の光景が消え去ろうとはしない。
 それどころか、二人が愛し合う姿を思い出す度に、シャワーで上がっていた体温が更に上昇していく気がする。
 友人である唯菜の事を思い出しながらというのは流石に気が引ける部分もあったが、それ以上に湧き上がる衝動を押さえきれなくなる。

(…ゴメンネ…唯ちゃん……)

 ゴロリと寝返りを打って仰向けになった柚葉の頬は、微かに上気して桜色に染まっていた。
 パジャマのズボンに手をかけ、腰を浮かせてゆっくりと降ろし、両足を脱いで脱ぎ捨てる。
 露になったショーツは、柚葉らしく可愛らしいリボンの着いた物だった。
 天井を向いたまま目を閉じ、指先を軽く舐めて股間へと伸ばしていく。
 同時に器用にパジャマの上着のボタンを片手で外していき、胸の部分を露にさせる。
 脳裏では激しく愛し合う二人の姿を思い出しながら、股間に伸ばした指先でゆっくりとショーツの上を撫でる。

「…ん………」

 針の先端が触れたような鋭い刺激。
 布越しに触れただけで、シャワーの湯で温まれられた敏感な突起は過敏な反応を見せる。
 唾液で微かに濡れた指先を、柚葉は緩やかにショーツの上で行き来させる。
 刺すような刺激はすぐに痺れるような刺激へと変わり、指の先を中心にしてじんわりと全身へと広がっていく。
 開いたパジャマの胸へも手を挿し伸ばし、真希や唯菜に比べれると小振りで、小さな柚葉の掌にも納まってしまう乳房も優しく揉み始める。
 呼吸は次第に荒くなり、その色は薄桃色に染まっていく。

「ん……はぁ………」

 秘唇に沿うようにして動き、その形をなぞっていく柚葉の指先。
 掌が乳房を揉みほぐし、その指先が胸の突起を弄び、ショーツの上を這う指先が動く度に、柚葉の体温は上昇していく。
 ただ行き交うだけだった指先も、円を描くような動きへと変わり、ショーツの上から突起を転がしている。

(…なんだか…いつもより感じるみたい……)

 普段の自慰行為の時よりも敏感になっている事を自覚しながら、柚葉はその理由も解らずにただ快感を紡ぎ出す事にだけに夢中になる。
 指の動きによって、膣内に溜まっていた愛液が押し出されるようにショーツへと染み出し、少しずつ染みを広げていく。
 指先にその湿り気を感じた柚葉は、それ以上ショーツが汚れないようにと、腰を浮かせてショーツを降ろす。
 膝の辺りまでショーツを降ろすと、膝を立てて再び秘唇へと指を伸ばした。
 今度は秘唇を捲るようにして指を浅く沈め、襞の間を行き来させるように指を動かす。

「あんっ……んん……んふぅ……」

 部屋の中へ響く溜息も更に甘く気だるく変化し、胸の突起は固く尖って強く自己主張している。
 指先でその突起を弾くと、痺れるような快感が広がり、柚葉は夢中になって指を動かし続けた。
 秘唇の奥の小さな穴からは絶え間無く蜜が溢れ、まだ男を知らない桜色の襞は妖しく咲く花のように綻んでいる。

「はぁ…はぁ……んんっ!、……あっ……あっ……!」

 次第に秘唇の間を滑る指先の速度は増していき、無意識のうちに腰が浮き上がっていく。
 腰を浮かせて背中を反らし、激しく頭を振って長い髪を乱れさせる。
 切なげに眉を寄せ、何かに耐えるかのような表情で、柚葉は一心不乱に指を動かし続ける。

「あぁんっ……やぁ……だめぇっ………!」

 何処かへ飛んでいってしまいそうな、そんな感覚が柚葉の全身を包み込む。
 それは紛れも無い絶頂の予兆。
 乳房を弄んでいた手も股間へと伸ばし、秘肉の間を行き来する指先と合わせて、包皮に覆われたままのクリトリスを荒々しく弄ぶ。
 溢れ出した愛液で指先を濡らし、その指先を滑らかに動かして快感を紡ぎ出す。

(…もう……イっちゃいそうだよぉ……)

 愛液の飛沫を飛び散らさせ、大きな水音と共に秘唇を掻き乱す。
 熱っぽい吐息と嬌声を漏らして甘く喘ぎながら、目の前に迫った絶頂へと柚葉は一気に飛び込んでいく。
 その瞬間、ふと脳裏に昼間の唯菜の姿が甦る。

「あっ、あっ、あっ、くるぅっ…!、イ……イク……イっちゃうのぉっ……!!」

 数度、大きく柚葉の細い裸身が跳ね、秘唇の奥から勢い良く蜜が溢れ出した。
 浮いていた腰がベッドの上へと落ち、全身が小さく痙攣したかのように震える。
 濡れた股間を両手で押さえ、柚葉は暫く絶頂の余韻に浸っていた。

「はぁ……はぁ……はぁ………ん………はぁ………」


(男の人とえっちすると……もっと気持ちいいのかなぁ……)

 自分の蜜で濡れた指先を見つめながら、ぼんやりとそんな事を考えてしまう柚葉。
 昼間の唯菜の表情や声を思い出し、何となく一人身を慰めている自分に悲しくなってしまう。

(…早く素敵な人が現れないかなぁ……)

 その願いが叶うかどうかは、神のみぞ知る…と言ったところか。




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