同級生二次創作SS「螺鈿細工の月−第二章−」

◇ 第五話-陽光- ◇


 黒川と舞だけの、食後の落ち着いた一時。
 二人の間に以前のような緊張感や戸惑いは見られず、まるで昔からそうであったかのように、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
 綺麗に片付いた食器を洗い終えると、舞は自分と黒川にと暖かい紅茶を入れる。

「あぁ…ありがとう」

 黒川の前にカップを差し出すと、舞はテーブルを間に挟むようにして椅子に腰を降ろし、自分のカップを口元へと運ぶ。
 同じようにカップへと手を伸ばしながら、黒川がゆっくりと口を開いた。

「旅行にでも…行かないか…」
「………え?」
「仕事が一段落する。ここらで…少しこの町を離れるのも良いんじゃないか」
「………はい」

 黒川が現れてから一変した舞を取り巻く全ての環境。
 今でこそ自分の置かれた環境を受け入れはじめた舞だったが、以前の自分が染み付いたこの町は、不意に懐かしさと切なさを伴って、舞の心を緩やかに締め付けてくる。
 それを察していたのか、黒川は舞に対する気遣いを見せ、気分転換をさせようと言うのだ。
 だが同時にそれは、過去の自分自身への決別を促す事も意味していた。

「今度の連休にでも予定しておこう。準備しておきなさい」
「……わかりました」

 いつまでも過去を振り返り、自分の身を哀れんでいても何も始まらないと、舞は生来の前向きさで黒川の言葉を受け入れる。
 自分を愛していると言うこの男を自分も愛そう。今の自分を全て受け入れよう。
 それが自分に許された唯一の事なのだと、舞は自分自身へと言い聞かせた。



 黒川が舞を連れて行ったのは、日本からほど遠くない南の小さな島国。
 小さな島々が集まってできた観光だけが産業のような島で、空港は観光客達で賑わっていた。
 そこから更に小さな飛行機と船を乗り継ぎ、黒川は自分の別荘だけが存在する小さな島へと舞を案内した。

「……綺麗……」

 別荘の目の前にはプライベートビーチが広がり、真っ白い砂と底まで透けるようなコバルトブルーの海、そして降り注ぐ暖かな陽射しが舞を歓迎した。
 まるで楽園のようなその光景に、舞の表情には数ヶ月振りに心の底からの笑みが浮かび上がる。

「好きなだけ泳ぐといい…」
「はい……!」

 舞の笑顔につられて、黒川の冷徹な表情も和らいでいく。
 不在の間も管理の行き届いた別荘に荷物を置くと、舞は早速水着に着替え、浜辺へと駆け出していく。
 黒川もアロハと短パンといったラフな服装に着替えると、木陰に椅子を置いて腰を降ろす。
 そして子供のように波と戯れる舞の水着姿を鑑賞しつつ、自分で用意したカクテルを口へと運んだ。

「はぁ…はぁ……黒川さんも泳ぎませんか?」

 美しい海でひと泳ぎした舞が、息を弾ませながら黒川へと駆け寄る。
 舞の用意した水着は白いビキニタイプのもので、美しい肌の多くを露出し、整った体の線を際立たせている。
 黒川はサングラスの下で目を細めると、豊かに盛り上った胸の膨らみから、魅惑的な曲線を描く腰から太股へかけてのラインを眺める。

「私はいいから…」
「あ、黒川さん…ひょっとして泳げないんですか?、私で良ければ教えますよ」
「…い…いや…そういう訳では無いのだが…」
「そうなんですか?、じゃあ…私はもう少し泳いでこようかな…」

 本当に泳ぐ事が好きといった表情で、舞は嬉しそうに微笑む。
 もう暫く自由に遊ばせていようと思っていた黒川だったが、焼けるような陽射し下で舞を見つめ続けるうちに、体の奥から熱い情欲が込み上げてくる。
 そして再び海へと戻ろうとしていた舞を呼び止めると、サングラスを外して手招きした。

「おいで…舞」
「…あ………はい…」

 黒川の声の響きから聡く全てを悟った舞は、微かに頬を赤らめながら素直に従う。
 二人だけの島という開放感がそうさせるのか、それとも舞の中に潜む“女”がそうさせるのか、不思議な事に、舞は黒川に求められる事が嬉しく思えた。
 言われるがままに黒川を跨ぐようにして膝の上に腰を降ろすと、黒川の首筋へと腕を絡ませる。
 そして二人の顔がゆっくりと近づき、舞が瞳を閉じるのを合図にして黒川が唇を重ねていく。

「…ん………」

 差し出される舌を躊躇う事無く受け止め、自分からも舌を差し出して絡めていく舞。
 黒川は胸板に微かに触れる舞の乳房へと両手を伸ばすと、そのまま水着を上へと押し上げていく。
 白い小さな生地に包まれていた乳房が、大きく弾むように揺れながら零れ落ちた。
 そして両手の掌で二つの膨らみを包み込むと、唇を重ねたままゆっくりと揉みしだき始めた。

「……んっ……んん…………ぷはぁ……」

 輝く唾液の糸を引きながら唇を離すと、舞は上気した頬と熱く潤んだ瞳で黒川を見つめる。
 黒川の掌の中で形を変える乳房の先端では、可憐な突起が自己主張するかのように固さを増していく。

「…は……恥かしい……」

 人目は無いとは言え、屋外で及ぶ行為に、舞は羞恥の色を露にする。
 かと言って黒川の愛撫を拒絶するでもなく、それどころか恥じらいを見せつつも、その愛撫に身を委ねて快感を受け入れている。
 既に黒川も舞自身も気付いていた事だったが、羞恥によって舞の快感は増幅される。

「誰も見ていない…何を恥かしがるんだ」
「…でも……あ……んんっ……」

 濡れた髪を緩やかに揺らしながら、舞は快感にその美しい身体を震わせる。
 そして恥かしげに視線を落とすと、短パンの下で既に黒川の物がいきり立っているのが見えた。
 生地の上からでも形が明確に解る程に、隆々と逞しさを発揮しているそれに、躊躇いがちに舞の手が伸びる。
 舞は細くしなやかな指先で形をなぞりながら、熱く潤んだ瞳でそれを見つめ続けた。

「口で…してくれるかい?」
「え……あ………」

 舞の態度に微かに笑みを浮かべながら、黒川は手を舞の頬へと伸ばす。
 言葉の意味を察して頬を赤らめた舞は、戸惑うような表情で黒川の顔から視線を反らした。
 【フェラチオ】(唇や舌でする男性性器の愛撫。)
 知識としてはそれを知ってはいたが、自分がそれを行うのには大きな抵抗がある。
 そんな躊躇いを見せる舞に、黒川は微かに寂しそうな表情を見せた。
 
「いや、無理を言ったな……すまなかった」
「……あのっ……その………大丈夫…です…」

 自分が黒川を愛しているのだという気持ち。それが真実である事を信じようとするかのように、舞は恥じらいながらも受け入れた。
 黒川は膝の上から舞を降ろすと、椅子から腰を上げて仁王立ちになる。
 白い砂の上に膝をついて黒川の前に跪くと、舞は黒川の短パンとトランクスを降ろしていった。
 すると、押さえつけられていた男性器が、跳ねるように勢い良く舞の目の前へと飛び出してくる。

(…凄い……もうこんなに……)

 見慣れているはずの物だったが、その逞しさに舞の鼓動が速度を増す。
 舞は一度上目使いに黒川の表情を覗ってから、その逞しい男性器へと手を伸ばし、先端へと愛らしい唇を近づけていく。
 そして挨拶をするかのように軽く先端へと唇を触れさせると、おもむろに舌先を差し伸ばして這わせはじめた。
 黒川はその光景を見下ろしながら、舞の頭へと手を置き、優しく髪を撫でてやる。
 ただそれだけの事が舞は嬉しくて、黒川の男性器を愛しそうに見つめながら、愛情を込めて舌を這わせていった。

「…ちゅ……ちゅっ……ん……ちゅぷ……」

 その技巧は拙いながらも、舞は丹念に黒川のそそり立った男性を唇と舌で愛していく。
 少しでも黒川に気持ち良くなって欲しい、そんな気持ちが黒川にも伝わってくる。
 舞は上目使いに黒川の反応を覗いつつ、持てる知識を総動員して、男性器を満遍なく唾液で濡らしていった。
 早熟な級友から聞かされた話や、雑誌に掲載されていた記事など、断片的な記憶をかき集めては、それを実践していく。
 唇を大きく開いて先端から口腔へと飲み込み、口の中で舌を絡ませて吸い上げる。
 だが、所詮は聞きかじった知識だけでの奉仕では、黒川を満足させる事はできず、舞に疲労だけが蓄積されていった。

「…もういいよ、ありがとう…舞」

 見かねた黒川が、髪を撫でながら優しく声をかける。
 満足させる事が出来なかったのだと知り、舞は申し訳なさそうに視線を落とした。

「…ごめんなさい…私……上手にできなくて…」
「気持ちだけでも嬉しいさ。さあ、今度は舞の番だ…水着を脱いで」
「……はい」

 言われるがままに立ち上がった舞は、黒川の目の前で水着のショーツを降ろしていく。
 露になった綺麗に生え揃った恥毛は、海水とは明らかに違う液体で、濡れてキラキラと光っていた。
 潜在的な被虐性を秘めた舞は、自分が男へ奉仕していると考えただけで、身体は歓びに震えてしまう。
 そんな舞であれば当然の事、初めての口での奉仕の最中も、それだけで蜜を溢れさせる要因となる。
 既に太股を伝う程に愛液を溢れ出させているのも、それは仕方の無い事だった。

「おしゃぶりしながら濡らすなんて……舞は悪い子だ…」
「いや……恥かしい……」

 黒川は舞の身体を抱き寄せるようにして肌を触れさせると、下腹部へと手を伸ばして、濡れた秘唇の間へと指先を滑り込ませた。
 既に熱く潤んでいたそこは易々と指先を飲み込み、熱く湿った襞が絡みつくように蠢く。
 舞は黒川の胸板に顔を埋め、その細い肩を快感に震わせている。
 黒川は更に指先を進めると、柔らかな感触の秘腔を探り当て、熱く潤んだ肉の壺へと指先を滑り込ませた。

「あぁん……くふぅ………ひゃぅっ…!」
「相変わらず…感じやすい身体だな、舞は…」
「だ…だって……あんっ……そんなに掻き回されたら……」
「我慢できなく…なる?」

 黒川の問い掛けに対して、舞は恥かしげに小さく頷き返す。
 黒川の愛撫から始めての口での奉仕。降り注ぐ陽射しの下で行われた行為によって、舞の身体には完全に火が点っていた。
 指先に絡みつくような膣内の感触を楽しみながら、指先を動かしつづける黒川に、舞は胸板に顔を押し付けたまま小さく呟く。

「…も…もう……欲しいの…」

 恥かしさを押し殺し、肉体の疼きに耐えかねたような舞の言葉に、黒川の情欲も一気に高まってくる。
 舞の下腹部から手を離すと、黒川は舞を促してテーブルへと手をつかせた。
 背後から濡れた秘所を見られる事に、頬だけでな首筋まで羞恥に赤く染める舞。
 だがその羞恥も快感を増幅させる要因でしかなく、舞は期待に胸を震わせながら、その瞬間を待った。

「…いくよ」

 言葉と同時に黒川の男性器が濡れた秘唇に触れ、ゆっくりと秘肉を押し広げながら進入を始めた。
 息を止め、黒川の貫きを全身で受けとめる舞。
 身体が密着するまで深く挿入すると、黒川は舞の乳房へと手を伸ばし、その柔らかな二つの膨らみを揉みしだきながら、緩やかに抽送を開始した。
 しかし、舞と同じく高まっていた黒川の抽送は、瞬く間に激しさを増していく。
 音を立てて激しく抽送を繰り返しながら、黒川は乳房を包み込む掌に力を込めていった。

「あっ、あっ、あっ、あぁんっ!、は…激しいっ……や……んんっ!!」
「舞っ…もっと声を聞かせてくれ……もっと乱れるんだっ…」

 己の欲望の全てをぶつけるかのように、全身を使って激しく舞を貫く黒川。
 その快感に淫らに喘ぎながら、二人だけしか居ないという開放感に、次第に舞の喘ぎのトーンも上がっていく。
 それだけで男の情欲を刺激するような、甘く切ない嬌声を響かせながら、与えられる快感に乱れていった。
 数え切れない程、黒川に抱かれた舞だったが、何度抱かれてもその快感は色褪せる事が無い。
 羞恥心を煽られる体位で貫かれながら、舞は叫ぶように喘いでいた。

「あぁっ!、あんっ、あんっ、はぁんっ!、い…いいのっ……感じちゃうっ…!!」

 黒川が深く挿入した状態で小刻みに腰を動かすと、その先端が舞の子宮口に当たり、その刺激に舞の膝が震える。
 そんな黒川の巧みな貫きに合わせ、舞の腰も自然に淫らな動きを見せていく。
 震える膝に力を込めて腰を高く上げ、その細い腰が折れそうな程に大きく背中を仰け反らせながら、舞は全身を突き抜けていく快感に震えた。
 貫かれ続ける膣内は、喜びの涙を流すかのように熱く潤み、黒川の剛直を滑らかに受け入れ、細かな襞の一枚一枚が生き物のように蠢き、強烈な刺激を与えながら激しく締め付けていく。
 何度味わっても、舞の膣内はその度に新鮮な快感を黒川に与える。

「く……凄いぞ…舞の膣内はっ…」
「あっ、あっ……蕩けちゃう……奥まで痺れちゃうのぉ……んっ、んっ、あっ、はぁ…やぁ…んんっ!!」

 濡れて輝く髪を振り乱しながら、舞は快感に酔ったように熱っぽい口調で喘ぎを漏らす。
 絡みつくように蠢く膣内の感触に、黒川は己を抑える事ができず、欲望の赴くままに腰を打ち付け続けた。
 逞しく反り返った物は舞の豊富な愛液に濡れ、見下ろす黒川の視線の先で激しく肉襞の間を行き来する。
 黒川は改めて、桜木舞と言う憧れにも似た想いを抱き続けていた少女の、身も心も手にした喜びに打ち震えていた。

「舞っ……舞っ……」
「あんっ……いい……深いのっ…!、あっ、あんっ、あんっ、はふっ!、……お…奥まで…届いてるっ…!」

 男は金の力によって少女を追い詰め、少女は逃げ場を無くして受けいれたはずなのに、灼熱の太陽の下で結ばれる二人は、まるで愛し合う恋人同士のように思えた。
 いや、確かにそこに“愛”はあった。一般的に語られる物とは違っていたとしても。
 黒川は己の欲望からなる歪んだ愛を舞にぶつけ、舞は現実を受け止める為に、自分に愛を言い聞かせた。
 現実からは目を背けて…。

「出すぞ……出すぞ舞っ!」
「んーっ!!、あっ、あんっ…いい…いいのっ……い…く……いくっ…いくぅっ…!」

 まるで心と身体の波長が重なり合ったかのように、黒川の射精が近づくのに連れ、舞も絶頂への階段を駆け上がっていった。
 黒川は力の限り舞の膣内の奥深くまで貫き、子宮の入口めがけて欲望の迸りを解き放つ。
 身体の奥深くで吐き出される体液の熱さを感じながら、まるで自分が女である事の証のように、舞の身体は喜びに震えていた。

「あっ……あっ………はぁっ…………」

 脈打ちながら最後の一滴までも注ぎ込もうとする男性器の感触に、舞の背筋を震えにも似た快感が駆け抜けていく。
 全てを出し終えて萎えてしまった物を黒川が抜き取ると、可憐に咲き綻んだ舞の秘唇から、白濁した精液が溢れ出して流れ落ちていった。
 



 その後も二人は許された旅の間、時間も場所も選ばず身体を重ねた。
 
<続く>

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