放課後Re 最終話

 

放課後Re 最終話

登場人物
 高崎 亜由美(たかさき あゆみ)
 坂崎 浩介(さかざき こうすけ)
 木村 雄二(きむら ゆうじ)

 夜の街を包む空気が冷たく亜由美の身体を包み込む。
 立ち止まっていれば芯まで冷えてしまいそうな中を、身体が覚えてしまっている道を辿っていく。
 そして自動販売機の並ぶ角を曲がると、それは目の前に現れる。何度も通った、木村の住む高層マンションだ。
 自動ドアになっている入り口を通り、エントランスを抜けてエレベーターホールへ。
 まるでマンションの住人が帰宅したかのように、何の迷いもない動きで亜由美はエレベーターへと乗り込んだ。


 昼間、亜由美に傷つけられた口元を指先でなぞりながら、木村は窓から眼下に広がる町並みを見下ろす。
 高層マンションの最上階に位置するこの部屋からは、周囲の景色が見事に一望でき、夜ともなれば夜景が美しい。
 だが、その美しい景色も今の木村の心を捕らえる事はできない。その心にあるのは、一人の少女の姿だけだった。
 浩介の退学は木村にとっても誤算だった。
 いよいよ最終的に亜由美を追い込み、浩介と決別させる算段を立てていた所へ、今回の事態である。
 黙っている訳にもいかず、亜由美の心も掴んでいると信じて伝えたが、それが裏目に出てしまった。
 間違いなく亜由美は浩介の元へと向かい、その想いを遂げているだろう。それどころか、木村の行いの全てを告げているかもしれない。
 そうなればもう、木村の元へと戻ってくる可能性は限りなく0に近い。
 だがしかし、可能性が全く無い訳ではないと、木村は心中深く信じてもいた。
 だからこそ玄関の呼び鈴が鳴った瞬間も、確認せずともそれが亜由美だと分かった。
 木村はインターホンには見向きもせず、確信を持って玄関の扉をゆっくりと開いていく。そして確信は現実となった。

「亜由美」

 白いニットのタートルネックに、タータンチェックのミニスカートといった格好の亜由美が、寒さに震えるように俯いて立っていた。
 名前を呼ぶ木村の声にも反応を見せず、ただ黙って俯いたままの亜由美の肩に、木村はそっと手を伸ばす。
 そしてその手に促されるままに、亜由美は木村の部屋へと入っていった。

 暖かな色合いの間接照明が灯るリビングのソファーへと亜由美を座らせると、キッチンへと消えた木村は手早くホットミルクを用意して戻ってくる。
 相変わらず俯いたままの亜由美に暖かな湯気が揺れるカップを手渡し、木村も亜由美の隣りへと腰を降ろした。
 暫く無言のまま様子を覗っていた木村だったが、やがてその口が開き、普段よりもやや低い声音で呟いた。

「今のお前の身体は、坂崎などでは満足できまい…」
「………っ!」

 木村のその言葉に、亜由美の細い肩が小さく揺れた。

「…図星か。ま…私があれだけ仕込んでやったんだ…それも当然か」
「……せ……先生………私…」

 膝の上で両手の拳を固く握り締め、視線は床へと落としたままで亜由美が必死に言葉を紡ぎ出そうとするが、相反する心と身体がそれを邪魔する。
 だが、唇が乾くばかりで、肝心の言葉は何一つ出てこなかった。
 その様子を冷やかに側で見守っていた木村だったが、おもむろに亜由美の肩を抱くように手を伸ばすと、覗き込むようにして顔を近づけた。

「…難しく考えるな。坂崎には秘密にしておいてやろう………素直になれ」

 耳元でそう囁いた木村は、そのまま亜由美の耳朶から首筋へと唇を押し当て、舌先をくすぐるように這わせていく。
 もうそれだけで、スイッチが入ってしまったかのように頬を紅潮させてしまう亜由美が、木村の甘い言葉に逆らう事など出来ようはずもなかった。
 木村の手が亜由美の脇の下を通り、ニットのセーターの上から乳房を揉みしだき始める頃には、膝の上で握り締めていた拳からも力が抜け、瞳は熱く潤み始めてしまう。

「はぁ……はぁ………せ、先生……こ…浩介君…を………」
「心配ない。復学したいと言うのなら…力になってやる…」

 その言葉を素直に信じたのだろうか、亜由美の身体から力が抜け、側の木村へとその身を預けていった。


「……ちゅ……ちゅ……んんっ………」

 ソファーの上に仰向けに横たわった木村の上に、その顔を跨ぐようにして亜由美が覆い被さり、いわゆるシックスナインの体勢で木村の股間へと顔を埋めている。
 白いニットのセーターは胸元まで下着と共にたくし上げられ、重力に引かれて大きさを増した乳房が揺ていた。
 スカートは身に付けたままだったが、薄桃色のショーツは足首に小さく絡まっており、木村の眼前には微かに濡れた秘唇がある。
 反り返るようにそそり立った男性器に手を添え、情熱的に口淫を繰り返す亜由美の下で、木村も眼前の秘唇へと手を伸ばした。
 そして、以前よりもやや淫らに咲き綻んだ秘唇を左右に押し開いて、その奥で蠢く小さな秘孔へと下を伸ばす。

「ふぁんっ!!……あっ………あぁっ……!」

 暖かな舌先が潜り込む感触に、思わず声を漏らしながら亜由美の尻が跳ねるように揺れ、スカートの裾が誘うように乱れる。
 まるで導くかのように微かな収縮を繰り返す膣口へと舌先を潜り込ませると、濡れた膣壁を丹念に探りながら刺激していく。
 その刺激の強さのあまり、亜由美は木村への奉仕を忘れて全身を震わせた。

「あっ!、ああんっ!!、あっ、あっ、やんっ、んぁっ!」

 膣内からは瞬く間に大量の愛液が溢れ出し、木村の口元を淫らに濡らしていく。
 亜由美の羞恥心を刺激する為に、わざと音を立てて木村が吸い付くと、悲鳴にも似た声を上げながら亜由美は快感に震えた。
 溢れる蜜を舌ですくい取り、尖らせた舌先を膣内へと押し込んでは小刻みに刺激する木村。
 そんな木村の巧みな舌使いに翻弄されながらも、亜由美は髪をかき上げながら、再び目の前の男性器へと唇を押し付けていった。

「んっ…んっ……ぢゅぷ……んんっ…」

 つい数時間前、想い人であった浩介に愛されて燃えた身体は、それとは比べ物にならない程、激しい快楽の渦へと飲み込まれて溺れていく。
 心とは裏腹に快楽を貪欲に求めてしまう自分自身を蔑みながらも、その甘美な刺激には逆らう事ができない。
 浩介を愛し、愛されているという思いは強くとも、肉欲の虜となって走り出してしまった身体を、今の亜由美は止める事などできなかった。
 巧みに亜由美を綻ばせていく木村の手管の前に、無垢だった頃の亜由美の姿は既に無く、淫らな口淫の技を教え込まれ、突き上げる性衝動のままに奉仕を繰り返す。
 いつしか浩介の存在は心の奥底へと沈み込み、淫蕩な輝きを双眸に宿らせて、亜由美は目眩くような快感に酔いしれていた。

「あふぅっ……はぁ……せんせぇ……わ…私……もう……」

 切なげな声音が唇を震わせる。肉欲に溺れながらも、恥じらいを失う事のないその表情。
 木村は鷹揚に頷き返すと、亜由美の身体の下から這い出るようにして体勢を変え、そのままソファーの上に亜由美を四つん這いにさせる。
 そして今し方まで舌先を這わせていた秘所へと、亜由美の唾液に濡れた男性器を添えた。
 木村の腰の動きに合わせて、怒張した先端が柔らかな秘肉を押し開いて進んでいく。
 艶やかに咲き綻んだ亜由美の秘所は、柔軟な広がりをもって男性器を受け入れ、濡れた襞の一枚一枚が蠢くように絡みつく。
 何度味わっても筆舌に尽くし難いその感触に、改めて木村の中に亜由美に対する独占欲が渦巻いてくる。

(そうだ…亜由美は俺の物だ…坂崎なぞに渡して堪るか………)

 木村の内部に渦巻く歪んだ情念など露とも知らず、亜由美は背後からの挿入感に打ち震えていた。
 相手の顔が見えない後背位は、微かな不安感と共に強烈な被虐感を与えてくる。亜由美が最も乱れてしまう体位でもあった。
 秘唇を押し広げて進んだ男性器が全て埋没し、背後からの抉るような貫きが始まると、亜由美はその愛らしい唇から淫らな旋律を奏で始める。

「あっ、あんっ、あんっ、あふぅ……んっ、んん……んぁっ!」

 鼻にかかった、少し切なげな甘い喘ぎ。
 淫らな悦楽に染まったその表情は、浩介との時には見られなかった物だった。
 染め抜いたかのような艶のある黒髪を揺らし、木村の動きに合わせて自らも腰を振る。
 普段の亜由美を知る誰もが想像する事すらできない、木村だけが知る快楽を貪欲に貪る亜由美の姿。
 
「どうだ亜由美…これが欲しかったのだろう……っ!」

 粘性のある水音を派手に響かせながら、淫らな蜜を蓄えた肉壺を掻き乱す。
 背後からの圧力に屈するかのように、背中を反らすように上体をソファーへと突っ伏し、捲り上げられたスカートの裾と共に、亜由美の腰が前後に揺れ動く。
 白いニットから零れ落ちた乳房は、ソファーへと押さえつけられるようにして形を崩し、先端の突起が擦れて甘美な刺激を生み出している。

「あっ、あっ……は、はい……先生のが……先生のがぁっ……んんんーーーっ!!」

 溢れ出した大量の愛液によって導かれ、最大限に膨張した男性器は亜由美の膣内を激しく前後に行き来する。
 丁度、眼下に見えるその光景に酔いしれながら、木村は亜由美の背中へと覆い被さっていった。
 そして手を挿し入れて、ソファーへと押し付けられていた乳房を鷲掴みにすると、抽送に合わせて荒々しく揉みしだく。
 亜由美の嬌声は一気にその音量を増し、その切迫したかのような喘ぎは終わりが近い事を告げていた。

「あっ、あっ、あぁっ!、あんっ、んっ、んぁっ!、あっ、あっ、はぁんっ!!」

 膣内の奥深くまで打ち込まれた男性器が子宮口を叩き、膣壁を激しく先端部分が掻き乱していく。
 激しく被りを振って髪を振り乱しながら、亜由美は泣き叫ぶかのように快感を口にしていた。

「あんっ、あぁっ!、いいっ、いいのぉっ!、あっ、あっ、あっ、あぁっ!、だめだめっ、いくっ…いっちゃうぅ!」
「まだまだ…これからだぞっ……!」
「あぁぁぁぁぁっ!!、だめぇっ…壊れちゃうっ!!、んぁっ!、あっ、あんっ、あんっ、はぁぅんっ!!」

 乳房を激しく揉みしだき、首筋へと舌を這わせながら、力強い抽送は続けられる。
 乾いた肉と肉のぶつかる音と、淫らな水音が交じり合う中、亜由美の嬌声が響き渡る。
 亜由美の両手はソファーの表面を掻き毟り、背中は弓反になって腰だけが高く持ち上がっていた。
 喘ぎ続ける口元からは涎が滴となって流れ落ち、表情は恍惚として視点が定まらず、双眸からは歓喜の涙すら浮かんでいた。

 木村は己の内に渦巻く欲望のままに腰を動かし続け、今にも達してしまいそうな亜由美を責め立てた。
 乳房を揉みしだきながら、先端の突起を指先で摘むようにして擦り上げ、容赦なく男性器を奥深く打ち込んでいく。
 今までに無いくらい激しさを伴った抽送に、亜由美は完全に限界を迎えていた。

「はぁ…んっ!あっ、あ、あ、あぁぁっ!!…いくいくっ、いっちゃうっ!、あっ、あっ、あぁんっ!!、いくぅっ!!」

 腰全体が跳ねるように痙攣し、膣内が激しく収縮しながら男性器を締め付ける。
 亜由美は顔をソファーへと埋めるようにして、激しく絶頂へと昇りつめていた。
 しかし、木村は抽送を緩める様子も、射精するようすも見せず、変わらぬ激しさで亜由美の膣内を貪り続けていた。

「はぁ…はぁ……先生ぇ…も、もう……あっ、あっ、んんーーっ!!、……許して……これ以上されたら……はぁぅんっ!!」

 昇りつめた亜由美の肉体は鎮まる事なく、更なる快感を導き出されて全身を震えさせる。
 断続的に大きな絶頂の波が押し寄せ、男性器の先端が子宮の入り口を叩く度に、激しく昇りつめてしまう。
 その激しさのあまりに、喘ぎはもう言葉を成しておらず、ただ荒い呼吸音と声にならない叫びだけが響き渡る。

「はぁっ…はぁっ……んんっ………っ!!」

 絶え間なく襲いつづける絶頂感に、跳ねるように全身を震えさせながら、亜由美の意識は次第に混濁していく。
 それでも尚、木村は抽送を緩めようとはせず、収縮を繰り返す膣内へと射精する頃には、亜由美は気を失っていた。

 気を失って力無くソファーへと身体を投げ出していく亜由美から、存分に精を注ぎ終えた男性器を引き抜くと、僅かに綻んだ膣口から白濁した体液が溢れ出る。
 太股の間からソファーへと零れ落ちる、自らが放った精液を眺める木村の口元が妖しく歪んでいく。

「…今度はしっかりと躾ておかないとな…」



 ─────数日後

 一度は退学届を受理された浩介だったが、木村の働きかけによって復学を許される事となった。
 そして亜由美はその代償として、再び木村の従属する事を誓う。
 しかし、最初の時とは明らかに異なる部分がある。
 木村は亜由美が浩介と交際する事を認め、亜由美は代償としてだけではなく、木村に抱かれる事を望んだ。

「坂崎とは仲良くやってるのか?」

 放課後の教科室。亜由美が始めて木村に抱かれた場所。そこで、何気ない普通の会話のように、木村は亜由美に語りかける。

「…はい……学校にも……ちゃんと来てくれるし………んっ……」

 どこか力の無い声ではあるが、亜由美も普通に受け応えする。
 しかし、二人の体勢は明らかに普通ではなかった。
 制服姿の亜由美は、机に手を置いて腰を突き出し、その背後から木村が亜由美を貫いていた。
 スカートは腰の辺りまで捲り上げられ、柔らかな曲線を描く双丘が露になり、その中心部を脈打った男性器が行き来している。
 緩やかな動きではあったが、見た目にも明らかな程に男性器を濡らした愛液が、太股を滴となって伝っていた。

「……ん……先生ぇ……もっと……」
「もっと…どうして欲しいんだ?」

 焦らすような腰使いを続ける木村に、焦れた亜由美が切なげな声を漏らす。
 そして羞恥に首まで赤く染めながらも、耐えかねたように木村を求めた。
 媚びるような声音で囁かれるその言葉は、浩介には一度も言った事がない。

「…もっと……激しく……壊れるくらい乱暴に……亜由美を可愛がって…下さい……」

 亜由美が言い終えるのを待って、木村は亜由美の腰を両手でしっかりと支えた。
 そして、それまでとは一変して激しい抽送を開始する。
 思わず亜由美が爪先立ちになり、腰が浮き上がってしまいそうな程の激しさに、亜由美の愛らしい唇からも歓喜の声が漏れる。

「あっ、あぁっ!、いいっ……いいのぉっ!!、あっ、あっ、あっ、あぁぁんっ!!」
「おいおい、あんまり声が大きいと…誰かに聞こえてしまうかもしれんぞ」

 冷やかすような口調で言った気村の言葉に、自分の淫らな喘ぎを聞かれてしまう事を想像したのか、反射的に亜由美の膣内が激しく男性器を締め付ける。
 そんな亜由美の反応を楽しみながら、木村は貪るように貫き続けた。

「どうだ亜由美…気持ちいいか?」
「…んくぅ……ひぅっ…!!、はぁ……はぁ…気持ちいいですっ……んんっ!!」
「坂崎よりもか?」

 最近の木村は、決まって行為の最中に同じ事を尋ねるようになった。
 浩介の名前を出す事によって木村は征服欲を満たし、亜由美は背徳感から更に高まっていく。
 だから亜由美も、決まって同じように答えるようになった。

「い…いいっ……感じちゃうのっ…先生の…先生の方が気持ちいいのぉっ!!、はぁっ、んんっ、んっ、んぁっ!、先生ぇっ!、もっと!もっと来てっ……いっぱい突いてぇっ……!!」

 その瞬間、木村の口元が歪んだ。

「そうか……俺のがいいか…」
「あっ、あぁっ、あんっ、あっ、あっ、あぁっ!!、いいのっ…せ…先生の方がいいのぉっ!!!」

 亜由美はまだ気付いていない。
 自分を背後から貫いている木村の、その更に背後にある扉の窓から覗く、拳を握り締めて立っている浩介の姿に。


-終劇-