螺鈿細工の月−夜光蝶の夢−
第一話「相原の小父様、いらっしゃってらしたんですか」
「やあ、舞ちゃん」 その日、剛三が舞と顔を合わせたのは、舞の父親との要件を終えて、辞する寸前のことだった。
玄関先へと送られる際、階段を降りてくる舞とすれ違っただけのことなのだが、それだけで剛三は得をした気分になる。剛三にとって舞の姿を見るということは、桜木家に訪れる際の密かな楽しみとなっていたのだ。
「相変わらず可愛いね」 「からかっちゃ嫌です、小父様」
剛三の褒め言葉を軽い冗談だと受け取ったのか、舞はそう言ってさらりと受け流すと、会釈をして剛三の横を通り過ぎて行った。 「……」
その後姿を見やりながら、桜木家の使用人に促されて玄関先へと向かう。できればもう少し、その背中を見ていたいところだったが、使用人に変に思われても困る。後ろ髪を引かれる思いではあったが、剛三は素直に使用人の後に続いた。
(まあいい、あの話が進めば……)
使用人に見送られて、剛三は運転手付きの外国車の後部座席へと乗り込む。それはつい最近買い換えたもので、外国のメーカーによるオーダーメイドに近い高級車だった。
「ご自宅でよろしゅうございますか?」 「ああ、やってくれ」
本当に走っているのかと思うような静かな車内、革張りのシートに身を委ねながら、剛三はふと今までのことを思い出していた。
ろくに学校も卒業せずに建設業者に就職し、自らの才幹のみでここまで昇りつめてきた。
もちろん、桜木家に代表される富裕層から支持を得られたことも大きいが、あのバブル景気の崩壊を乗り越えたのは、機運を見る目と才覚によるものだという自負がある。
その力があったからこそ、桜木家からも支援を受け続けることができたのだ。 「もう何年になるかな」
そんな剛三が初めて舞と出会ったのは、自分の会社である相原建設がバブル崩壊を乗り越え、再び業務拡大を目指しているときだった。他の会社社長に紹介されて、初めて桜木家を訪れた時のこと。剛三は今でもその時のことを鮮明に思い出すことができる。
応接室で待たされていると、開かれたままの扉から少女が顔を覗かせた。 「初めまして、お名前はなんていうのかな?」 「まい」
「まいちゃん?」 そう尋ね返すと、少女は大きく頷いた。 「うちにも君と同じくらいの歳の子供がいてね、今度よかったら連れてこようか」
自分の子供と同じ年頃の舞に、剛三は親しみにも似た思いを感じていた。一方の舞も、自分の両親と同年代の剛三に、同じような感覚を抱いていたのかもしれない。
それから桜木家とは懇意になり、度々家を訪れるようになった。 自分の息子の成長と同じように、舞の成長も見続けてきた剛三。
歳をおうごとに美しく成長していく舞を、剛三は眩しく思いながら見つめていたが、ある時を境にそれが一変する。
それはある熱い夏の日のことだった。 「ふう、今日は暑いね」 「あ、小父様いらっしゃい」
使用人に案内されて玄関をくぐろうとしていたところへ、中学に入ったばかりの舞が学校から帰ってきた。
暑い日差しの中を歩いてきたのだろう、その肌には薄っすらと汗が滲み、薄手の夏服からは下着が透けてしまっていた。
それを見た瞬間、剛三の中で邪な欲望が騒ぎ出してしまう。まだ幼いと言ってもいい舞の裸身を、その薄い制服のブラウス越しに想像してしまう。
この時期の女の子は少女の面影を残しながらも、体の方は少しずつ大人へと成長し始めている。腰つきは丸みを帯び、胸もささやかながらブラウスを押し上げていた。
「……」 「小父様?」
そんな剛三の視線を疑いもせず、舞が可愛らしい顔を傾けて顔を覗きこんでくる。剛三はその愛らしい顔にドキリとし、邪な想像をしてしまったことを少しだけ恥じ入った。
しかしそれ以降、舞の成長と共にその姿を視姦するのが剛三の楽しみのひとつになってしまった。
もちろん、本気で舞に邪な欲望を抱いていた訳ではない。
息子の健二と同じ年齢だと知ったこともあり、将来的には健二の嫁にでも迎えられたらと思ってさえいた。もちろん、桜木家との関係を深めたいという計算もある。
だが最近、状況は剛三の予想を超えて変化してきていた。
剛三は自負するだけのことはあり、建設業界におけるその商才には、目を見張るものがあった。
初期には桜木家を始めとする富裕層からの支持があったこともあるが、今では自らの力によって相原建設は全国区になりつつある。そうなると相原建設としては特別な後ろ盾を必要としなくなり、桜木家との関係も対等なものになるかと思われた。
しかしそこへ、桜木家が投資していたベンチャー企業が資金を持ち逃げし、その保証を請け負っていた桜木家が多額の負債を抱えるという事体が起きてしまった。
桜木家の当主はもともと旧家の出ということもあり、あまり事業内容そのものには関心がなかったようだ。人の良さそうなそのベンチャー企業の経営者を信用し、結果としては裏切られる形になってしまったのだろう。
そして多額の負債は連鎖し、周囲の人間も驚くほどの金額になってしまう。
そうなると意外なほど縁者は冷たいもので、誰も桜木家を助けようとする者は現れなかった。
元々は現場から叩き上げた人間の剛三は、そんな周囲の冷たさに自分でも驚くほど怒りを覚えてしまう。それには舞の存在もあったかもしれない。
桜木家が没落し、舞が不幸に沈んでいくのを放ってはおけないと、桜木家から離れていく人間達ばかりの中で、剛三だけが支援を申し出た。
騙されたばかりだというのに、疑うことを知らない桜木家の当主はその申し出を受け入れ、桜木家は辛うじて負債を完済することができた。
もちろん剛三はそれが返ってくるとは思ってはいかなかったし、別にそれでもよいと思っていた。
今の相原建設の規模からすると、損益として処理しても問題ない金額だったのだ。相原建設は、もうそこまでの規模にまで成長し、この地方では最も大きな企業である。必要なら自分のポケットマネーから補填することすら可能だった。
しかし、救われた側は違っていた。 桜木家の問題が解決した数日後、桜木家の使用人が桐の箱に入った親書を携えて現れたのだ。 「これは?」
「当主からです。どうぞ後確認頂いて、ご返事を承りたく思います」 「ふむ」
礼状でも入っているのかと思ったが、家紋の焼印まで施された箱から出てきた親書を読んで、剛三は僅かな驚きの後、満面の笑みを浮かべた。
そこに書かれていたのは、負債の肩代わりをしてもらったことに対して、何らかの抵当を申し出るというものだったのだ。
桜木家としては、所有する土地や家をせめてもの抵当として欲しいということだったのかもしれないが、剛三は全く違う形でそれを受け入れた。多額の負債の担保として、娘の舞を要求したのだ。
もちろん桜木家はそれを断った。負債のためとはいえ、娘を差し出すなどということは許されることではない。 そこで剛三は一計を案じた。
部下に命じて密かに舞の耳に入るように仕向けたのだ。
間もなく、舞は剛三が自分を負債の担保に求めたことを知るだろう。そして実直な性格の舞ならば、それを拒絶できるはずがない。
自分ひとりが犠牲になって済むのであればと、必ず剛三の申し出を受け入れるはずだ。
桜木家としても剛三に変心されては困る以上、舞が自分の意思で剛三の元へ行くというのを引き止められないだろう。
かくして、桜木舞という絶世の美少女が剛三の懐に転がり込むことになるのだ。
そう上手く事が運ぶのかと疑うかもしれないが、事実ここまでは剛三の思う通りに進んでいる。今ごろ舞は、剛三の部下が残してきた手紙を目にしているはずだ。
「ふふふ」 自宅へと向かう車の中で、剛三は思わず笑みを浮かべてしまう。
まさかこんな風に、舞を自分のものにできるとは思いもしなかった。しかし実際に手に入るというのであれば、舞を自分の思う通りに染めてみたいという欲望が湧き上がってくる。
あの無垢な瞳を自分への欲望の色に染めてみたいと。 (さて、どうなるか)
手紙を目にした舞がどう反応するのか、例え拒絶するとしても剛三は楽しみで仕方がなかった。
舞から剛三へと連絡があったのは、翌週になってからのことだった。その間、ずっと悩んでいたのだろう、電話口での声は酷く疲れた様子が滲んでいた。
「つまり、君の意思で私の元へ来るということだね?」 『……はい』 「なるほど」
もちろん桜木家の人間が知らないはずがない、家族会議なりで話し合いがあったはずだ。当然、他の家族は反対しただろうが、それを舞が押し切ったということだろう。
(予想通りだな) 剛三の知る舞の性格であれば、結果がこうなることは分かりきっていた。その間の舞の心の動きまで、手に取るように分かる。
剛三の元に来るということが何を意味するのか分からない舞ではない。自分の身に訪れる現実を理解したうえで、桜木家の未来と天秤にかけて苦悩したに違いない。
そして自分が犠牲になることで桜木家が安泰ならばと、そう覚悟を決めて剛三の元へと連絡してきたのだろう。
そんな覚悟や悲壮感が電話を通して聞こえる声に滲んでいた。 「そう決めたのなら私に依存はないよ。あとはこちらで手配しよう」
『お願い……します』 「うむ」 用件だけを伝えると、舞からの電話は切れた。
通話時間を示す携帯電話の表示を見つめながら、剛三はここが社長室でなければ喝采を上げたい気分だった。
ひょっとしたら舞が自分を拒絶し、この話がご破算になることも覚悟はしていたのだ。いや、どちらかというとそうなるような気がしていた。
まさか舞ほどの美少女が自分の手に転がり込んでくることなど、有り得ない話だと思っていた。 しかし、現実には剛三の思い通りに事が運んだ。
あとは桜木家との最終的な調整を終えれば、舞は剛三の元へとやってくる。 (よしよし!)
剛三は社内電話で部下のひとりを呼び出すと、舞についての指示を出した。もちろん全ての事情を知っている、剛三の腹心とも言える部下である。剛三が出した指示を確実に実行するだろう。
「頼んだぞ」 「はい、社長」 深く頭を下げて去って行く部下の背中を見ながら、剛三はひとりほくそ笑んでいた。
そして全ての段取りが終わり舞が剛三の元へとやってきたのは、それから更に一ヶ月が経ってからのことだった。
剛三は明日にでもと桜木家側に要求したのだが、学校の都合もあり桜木家がそれを渋ったのだ。剛三としてもそこまで舞の自由を奪う気になれず、仕方なくそれを受け入れる形になった。
そして一ヵ月後のある日曜、舞の輿入れとでも言うべき日が訪れた。 「よ、よろしくお願いします」 「まあ、そう緊張するな」 「はい」
剛三が用意したのは近場にあるホテルの最上階、一泊で数十万以上はするスイートルームだった。調度品から細々としたものまで、どれもが選び抜かれた一級品ばかりである。
こんな部屋に泊まるのも剛三は初めてではなかったが、あまり度に出ることもない舞にとっては初めての経験である。
しかし、今の舞にはそんな豪奢な部屋を見て回るような余裕は持ち合わせていなかった。
覚悟を決めて剛三の申し出を受け入れ、それから一ヶ月もの間心構えをする時間の余裕があった。しかしそれでも現実を目の前にすれば、緊張感が込み上げずにはいられない。
この部屋でこれから何をするのか、剛三が口にせずとも舞にはよく分かっていた。
ホテルまでの道すがら、剛三が愛用している高級外国車の後部座席にて、自分がまだ処女であることを告白させられていた。
剛三は満足げに頷くだけだったが、その問いかけが意味することを舞は正確に読み取っていたのだ。 (これから私……)
この部屋で剛三を相手に初めてを捧げることになるのだ。 考えれば考えるほど喉が渇き、唇が乾いて張り付いてしまう。
「家を出るまえに綺麗にしてきたんだろう?」 「え……あ、はいっ」
一瞬、剛三の言葉の意味が分からなかったが、すぐに自分の体のことなのだと気が付く。こんなとき、聡い自分が少しだけ恨めしかった。気付かないでいれば、余計なことなど考えなくとも済むというのに。
「なら、服を脱ぎなさい」 「で、でも」 「借金の担保になったのは君自身だ。まずはそれを確かめさせてもらわないとな」 「……はい」
剛三の言うことに逆らうわけにはいかない。そう自分自身に言い聞かせてきたのは、他ならぬ舞自身だ。
巨額の負債を抱えてどうしようもなくなった時、無関心を装う親類縁者に対して他人である剛三だけが手を差し伸べてくれた。例え自分を担保に差し出すように言ってきたとはいっても、その事実だけは変わらない。
その事実があるからこそ、舞は剛三に対して怨みや嫌悪感といったものを一切感じてはいない。剛三が独身であるのなら、彼への嫁入りさえ受け入れただろう。
だが、夫となるべき相手ではない男である以上、彼とセックスするなどということは舞にとってあまりに辛く受け入れ難いことなのだ。
舞も年齢なりに男女の営みについての知識は持っているし、愛し合う夫婦の間であれば行われて当然の行為だとは思う。しかし、快楽だけを求めてするというのは、どうしても納得できない部分があるのだ。
それが知らぬ相手であれば、間違いなく舞は拒絶しただろう。しかし、舞のその相手は桜木家が恩義を受けた剛三なのだ。 (私、どうしたら……)
剛三を目の前にして、舞は心の中で葛藤する。
そんな舞の葛藤を見透かしたかのように、剛三は大きなダブルベッドに腰を降ろすと再び舞に服を脱ぐように言った。
剛三の声にこれ以上は時間を掛けられないことを悟った舞は、諦めにも似た心情でブラウスのボタンに手をかけた。
プラスチック製の小さなボタンを外す指先が微かに震えているのは、緊張からかそれとも怯えからか。舞はひとつ小さく深呼吸すると、ゆっくりと、しかし着実にボタンをひとつずつ外していった。
「………」 剛三は黙ったままその姿を眺め続けていた。
美少女のストリップと呼ぶには華やかさが少々不足しているが、恥じらいながらも健気に脱ごうとしている姿にそそられる。
ボタンが全て外されて素肌が微かに見え隠れすると、剛三は自分の下半身に血が集まっていくのを感じた。
仕事に限らず精力的な剛三は、そちらの方でも年齢を感じるようなことは無かった。しかし、まだ裸にすらなっていない少女を前にして、ここまで熱くなるものかと驚きさえ覚えてしまう。
剛三の舞を見つめる視線が、そんな興奮から無意識のうちに熱を帯びていった。
そんな剛三の視線を全身に感じながら、舞はブラウスの袖から腕を抜くと、丁寧にたたんでテーブルの上に置いた。そして一瞬の躊躇の後、スカートのホックへと手を伸ばす。
小さなホックが外されファスナーも下ろされてしまうと、スカートを支えているものはもう何も無い、舞の微かに震える手が離れてしまうと、そのまま重力に引かれて床へと滑り落ちてしまった。
「っ……」 舞の身を覆っているものは、もう下着とソックスしか残ってはいない。もちろんそれも脱ぐのだと、剛三の視線はそう伝えている。
覚悟を決めたはずなのに、いざとなるとまた迷いが生まれてくる。男の前で肌を晒すことの羞恥と恐怖に、舞の心も体も怯えて震えてしまう。
「自分で脱げないのなら、私が脱がせてあげようか?」 「!!」 思わず舞は自分の体を両腕で抱えるようにして隠した。
だが、それが剛三を拒絶したのだと思われたのではないかと、慌てて取り繕おうとするが言葉が出てこない。 「あ、あのっ」 「来なさい」
剛三の声には逆らうことを許さないだけの圧力があった。
もちろん剛三は舞の反応に気を悪くしたわけではない。ただ、舞の下着を自分の手で脱がせたくなっただけのことだ。
舞のように自意識が強い少女は、自分で脱ぐよりも男に脱がされる方が恥じらいを感じるものだ。剛三はそれを長年の人生経験から学んでいた。
しかし舞は剛三の言葉に従うことができず、ただ視線を落して立ち尽くしている。
自分が裸になるのだということを強く意識してしまい、自分で脱ぐことも剛三の言葉に従うこともできなくなってしまったのだ。 「わ、私……」
「早くしなさい」
剛三の声が少しだけ低くなる。その声に微かな苛立ちのようなものを感じ、舞はさらに慌ててしまい、パニック状態に近くなってしまった。
「あっ、あのっ」
そんな舞を見て、剛三はいきなりベッドから立ち上がると舞の腕を掴んだ。そしてそのまま腕を引くようにして、ベッドのすぐ脇へと引き寄せてしまう。
「あっ!」 「あまり手を焼かせるものじゃないよ」 「……」
一気に目の前に迫ってしまった剛三に、舞の鼓動がそれまで以上に加速していく。
高まる緊張感に唇までが震え、普段の舞の姿を知る者にとっては、それは痛々しいほどの緊張状態だった。
そんな極限状態の舞に対して、剛三は非常にも最後通告を行った。 「さあ、どうするね。自分で脱ぐのか、私に脱がせてもらいたいのか」
突き付けられた選択に、緊張に震えながらも舞は自ら答えを出した。 剛三に脱がされるくらいなら、唇を噛み締めてでも自分で脱いだ方がマシだ。
「じ……自分で脱ぎます」 「そうか」 少しだけ残念そうに呟くと、剛三は舞の腕を離してベッドへ座りなおした。
剛三が見つめる前で、改めて舞は下着を脱ぐ覚悟を決める。
そしてひとつ息を飲むと、ゆっくりと両腕を背中へと廻していく。その腕はもう、緊張に震えてはいなかった。 (ほう……)
そんな舞の気丈な姿に、剛三は思わず内心で感嘆を漏らした。
もう少し怯えて、あるいは泣き叫ぶこともあるかもしれないと想定していたのだが、思っていた以上に舞は心の強い少女だったのだと感心する。
剛三の密かな感心など知らない舞は、必死になって自分を奮い立たせていた。
本当は泣き出したいくらいだったが、ここで泣いたところで何も解決しないのは分かっている。
それに、剛三の元へと来ることを決めたのは舞自身なのだ。 (逃げちゃ駄目……)
そして背中へ廻った指先がブラジャーのホックを捉え、そのまま馴れた手つきで外してしまう。すると一気に胸の締め付けが緩み、成長途中の膨らみが解放された。
もう完全に覚悟を決めたのか、舞は迷いも見せずそのまま片紐を外しにかかる。
胸の部分を押さえたまま、きちんと片方ずつ方から片紐を外し、腕を抜く。そして両腕を抜いてしまうと、胸を押さえていた手からそっと力を抜いた。
「……!」 剛三は思わず息を飲んでいた。 もう素肌のきめ細かさは分かっていたが、その胸の膨らみの美しさはどう表現したらいいのだろう。
なだらかな曲線を描いて盛り上がって行く二つの美しい膨らみ。そしてその頂点には、ツンと上を向くようにして小さな乳輪と、控えめな突起が乗っている。
形、大きさ、そして色合いまで、非の打ち所の無い乳房がそこに存在していた。 突き刺さるような剛三の視線に恥じらい、舞の頬が微かに朱に染まる。
そして脱いでしまったブラジャーをブラウスの上に重ねるようにして置くと、いよいよ残った最後の一枚へと手を伸ばした。それを脱いでしまえば、あとはソックスだけだ。
余計なことを考えると迷いが生まれ、そこから先へと進めなくなってしまう。 そう感じていた舞は、間を開けずにショーツの脇へと指を入れた。
そのまま中へ少し手を入れて、後ろへと廻してまずはお尻の部分を下げる。剛三からは見えないが、舞の綺麗なお尻が半分以上見えてしまっている。
そしてゆっくりと前屈みになると、ショーツを膝下まで降ろしていった。
太股を滑り落ち、膝を抜けてしまったショーツ。あとは脚を抜けばそれで脱げてしまう。 (これで……全部)
緊張が呼吸が荒くなる中、舞はゆっくりと片足ずつ抜いていった。
脱ぎ終えたショーツをブラジャーと一緒に重ね、その上に脱いでしまっていたスカートをたたんで乗せる。脱ぎ終えた下着が丸見えになっているのが嫌だったからだ。
そして改めて剛三の前に立ち、隠すことなくその裸身を晒した。 「脱ぎ……ました」 「ああ、見えてるよ」
そして全裸になった舞を前にして、剛三はベッドから立ち上がると自分も服を脱ぎ始めた。
そうなるのは当たり前なのだが、自分のことばかり意識していた舞は、いきなり脱ぎ始めた剛三に驚いて視線を逸らす。
剛三は手早く下着のトランクス一枚になってしまうと、顔を背けていた舞へと歩み寄った。 「舞」 「あっ」
剛三の腕が舞の腰を抱き、その体を強引に引き寄せる。どちらかというと筋肉質でガッシリとした剛三の体に触れ、その感触に戸惑う舞。
その柔らかな乳房は剛三の胸板に押し付けられて、押し潰されるように変形していた。
剛三は舞の細身の体をしっかりと抱きしめると、覗き込むようにして視線を交わらせる。そして間近に迫った剛三の顔に舞が驚くうちに、やや強引に唇を重ねてしまった。
いきなりのことに驚愕し目を見開くが、拒絶することもできずに黙って受け入れてしまう。 「んんっ!」
それが自分のファーストキスなのだという感慨を得る余裕すらなく、強引に奪われていく舞の唇。
剛三はしっかりと味わうように唇を深く重ね、その温かく柔らかな唇を吸い尽くす。そしておもむろに、舞の唇を割り開くようにして舌を圧し入れていく。
「んふぅっ! んっ、んんっ……!」 ねっとりと唾液の乗った舌が入ってくる感触に、舞の頭の中は真っ白になっていく。
あまりの衝撃に何も考えることができず、その舌を拒むことすらできない。
それに気をよくしたのか、剛三は舞の腰を抱いていた手を下ろしていくと、白く柔らかな膨らみを手の平の中に納めてしまう。 「んふぅっ!」
唇を塞がれて声を出すことができず、叫びが鼻息となって鼻腔から漏れる。
キスは受け入れた舞だったが、さすがにそれは耐えられずに身をよじる。しかし剛三にしっかりと体を押さえ付けられていて、その腕からは逃れることができない。
(や、やだっ!)
お尻を触られている感触に、背筋が震えるような感覚が走る。それは快感などというものではなく、悪寒といった方がいいかもしれない。
しかし剛三の大きな手で強引にお尻を揉まれていると、自然に舞の体温が上がり体が火照ってくる。けして感じているわけではなくとも、体が自然に反応してしまうのだ。
舞自身がどう思っていようと、体の自然な反応までは消し去ることはできない。 「んっ……んんっ……んふぅっ」
剛三は強引に舞のお尻を揉みながら、舞の唇の間へ侵入させた舌でその口腔内を荒らしていく。 歯茎、歯の裏、上顎、そして舌。
荒々しく強引に侵略していく様子は、口の中を犯されていると言っていいくらいだ。両手でお尻を掴んで揉んだり、左右に広げたりと好き勝手に愛撫しながら、剛三は舞の唇や舌を離そうとはしない。
そしてようやくその唇が離れる頃には、舞の呼吸は完全に上がってしまっていた。 「んっ、んはぁ……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」 「ふぅ」
離れた唇と唇の間を、唾液がつうっと糸を引いて流れ落ちた。
唇を離してもお尻を掴んだ手は離さず、舞の柔らかですべすべとした感触を手の平で楽しみながら愛撫を続ける。 「あぁっ……!」
思わず舞の口から甘い声が漏れる。 舞は自分でもその声に驚き、剛三の腕の中で体をこわばらせた。 「ふふふ」
剛三は含み笑いを漏らすと、ようやく舞のお尻からその大きな手を離した。
だがそのまま舞の肩を抱くように腕を伸ばすと、剛三の背後にある大きなダブルベッドへと誘って行く。
それが何を意味しているのか分からない舞ではない。このままベッドへと連れて行かれれば、そこに待っているのは剛三とのセックスだ。
しかし桜木家のことを思えば、ここまできて逃げ出すことなどできはしない。 「はぁ……はぁ……はぁ……」
まだ少し荒い息をしながら、舞は剛三の手でそのベッドへと寝かされてしまった。
ベッドの上で仰向けになっても形の崩れない舞の乳房。ツンと上を向いたその胸は、まだ荒さの残る呼吸で上下に揺れている。
剛三は寝かせた舞の足元からベッドへと上がると、舞の見ている目の前でトランクスを降ろした。
跳び出したと言ってもいいだろう。既に激しく勃起した男性器が勢いよく現れる。舞は思わず口元を抑えて息を飲んだ。 「っ……!!」
「男のモノを見るのは初めてかい?」 「……は、はい」
父親と風呂に入るという習慣も無かった舞は、男性器というものを見るのが全くの初めてだ。保健体育の授業で図解や人体図などを見た経験はあっても、それは目の前の物体と全く繋がらない。
剛三の男性器は黒光りしているとでも言うのか、赤黒いうえに血管も浮き出ていて、舞の目にはグロテスクにさえ映る。 (こ、これが男の人の……)
男性器を見るのが初めての舞には比べる術も無いが、剛三の男性器は平均と比べてひと周りは大きい。
剛三は自分の男性器を見て驚く舞に気を良くして、そのままベッドの上の舞へとにじり寄って行く。 「さあ、今度は舞のを見せてもらおうか」
「あっ!」 舞が驚く間もなく、剛三の手が舞の足首を掴み、そのまま強引に左右に開いてしまう。
さすがに耐え切れず閉じようとするのだが、剛三は太股の辺りを押さえるようにして閉じさせない。
生まれて初めて秘所を見られているという恥ずかしさに、舞はその恥ずかしさのあまりこのまま死んでしまうのではないかと思うほどだった。
「は、恥ずかしいっ……あぁっ」 (ほほう) 剛三は再び感嘆を漏らす。
男を知らないそこは、またぴったりと閉じて筋のように見える。だがよく見ればその筋は僅かに綻び、その奥で息をひそめる鮮やかな秘唇が見て取れた。
そこは微かに濡れているようで、少しだけ部屋の明りを反射して輝いていた。
更にその上側を覆うようにして恥毛が生え揃っているのだが、舞の場合は細めの直毛が控えめに生えていた。
必死に閉じようとする舞の脚を強引に開きながら、剛三はそこを注視し続ける。 そしておもむろに片手を伸ばすと、秘肉を押し開いていった。
「やぁっ!」 そこが開かれた感触に、思わず舞は悲鳴にも似た声を漏らす。
だが剛三は容赦なく指先で秘肉を開いてしまうと、桜色の秘唇を眺め続けた。 (み、見られてる……見られちゃってる……)
経験したことのない羞恥の連続に、舞はもうどうしていいのか分からなくなる。ただ唇を噛んで羞恥に耐えながら、事が終るのを待つしかないのだ。
次第に脚から閉じようとする力も抜け、ただ緊張と羞恥で微かに震えるだけになる。
舞は気付いていないかもしれないが、剛三の指に広げられた秘所は膣口までがあらわにされてしまっている。
そしてその小さな窪みのような膣口はらは、少しずつだが愛液が染み出していた。
女性器を見られていることで羞恥心を刺激され、無意識のうちに体が反応してしまっているのだ。
すると剛三は、事もあろうに舞の処女地へと口を近づけた。 「え……あっ、だ、だめですっ!」 「れろ……ちゅっ、ちゅぅ」
「はぁんっ!」 剛三の唇は舞の敏感な突起へと吸い付いていた。
まだフードのような包皮に包まれて身を隠し、控えめにしていたクリトリス。しかし剛三に吸い付かれて刺激を受けると、その小さな突起はたちどころに硬く尖っていってしまう。
「あぁっ……やっ、やぁんっ!」 その強烈な快感に激しく首を振る舞。受け入れ難い事実が舞の体を襲っている。
恋人同士でもない相手とのセックスを忌避していても、快感を得ることをどれだけ恥らっていても、体の方は成熟し始めた女の体なのだ。強引にではあるが刺激されれば、舞の心とは無関係に反応してしまう。
口の中で硬くなっていくクリトリスを舌先で転がしながら、剛三は手を伸ばして舞の胸を掴む。
慌てて舞はその手を押さえようとするが、剛三の手の上から力なく押さえることしかできない。
太股の下を廻るようにして伸ばした手で、その柔らかな乳房を優しく揉み始める剛三。乳首もクリトリスと同じように硬く尖り、指先に触れただけで舞は切ない声を漏らしてしまう。
「はぁっ……んっ……んくっ……!」
必死に声を出すのを我慢しようとするが、襲ってくる快感からは逃れられない。舞は剛三の手を押さえるのを諦め、代わりにその手で自分の口を覆い隠した。
「んんっ……んっ、んふぅっ……!」 切ない快感に漏れそうになってしまう声を抑えつつも、少しずつ剛三の愛撫に翻弄されていく。
そして剛三は舞の濡れ具合を確認すると、ようやく股間から顔を上げた。 「我慢せずに声を出せばいいんだ」 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
体を駆け抜けるような快感から解放されても、舞はその余韻で意識が揺らいでしまっている。ぼんやりとクリーム色の天井を見上げながら、その視界が歪んでいくのを感じていた。
(私……泣いてる……?) 悲しいからでも辛いからでもない。もちろん快感などではあるはずがない。
どうしてなのかは舞にも分からなかったが、自然に涙が浮かんできてしまったのだ。舞はそれを剛三に気付かれないように手で拭い、けして泣かないようにと自分に言い聞かせる。
剛三はというと、避妊具の用意をしていてそれを見ることはなかった。いよいよ舞への挿入を控えて、用意していた避妊具を着けていたのだ。
そしてそそり立った男性器に避妊具を装着すると、改めて舞へと覆いかぶさっていく。 「ぅ……」 「さあ、舞を女にしてやるぞ」
逃げることなどできないと分かっていても、舞はいますぐ逃げ出したいという衝動に駆られる。
だがそれを必死に胸の奥へと押し隠し、覚悟を決めるように息を大きく吐き出した。 「すぅ……はぁー……」
そしてその瞬間、剛三は舞の秘唇へと自分の男性器を押し当て、体重をかけて一気に貫いていった。 「うぐぅっ……!!」
時間をかけても余計な苦痛を与えるだけだ。剛三は少しでも早く舞が自分に馴染むようにと、猶予を与えず一気に貫いてしまったのだ。
膣口から剛直が勢いよく侵入し、狭い膣内を一気に押し広げながら進み、そのまま舞の処女膜を破ってしまう。
その挿入の圧迫感と破瓜の痛みに、舞は肺の中の息を全て吐き出してしまい、思わず呼吸できずに息が止まってしまう。
「かはっ……くっ……くぅっ……!」 体が裂けてしまうかと思うほどの痛みに貫かれ、舞は自分が純潔を失ってしまったことを悟った。
「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ……」
剛三は舞の処女を奪ったあと、根元まで挿入して暫く動かずにいた。舞が落ち着きを取り戻し、膣内が自分の男性器に馴染むのを待つためだ。
そして頃合を見計らって、少しずつ体を揺らすようにして動かし始める。 「くっ……はぁっ……んっ!」
純潔を失った悲しみを味わう暇も無く、新たな苦痛が舞を襲う。 少しは落ち着いたとはいえ、処女を失ったばかりでは苦痛しか感じることはできない。
剛三が体を揺らすように動かすたびに、鋭い痛みが膣内から背筋を駆け上がっていく。 「いっ、痛っ……くぅっ……!」
剛三とて舞に苦痛ばかりを与えるのは不本意だったが、こればかりはどうすることもできない。少しでも苦痛を和らげるためには、舞の気持ちを他へ逸らすしかない。
剛三はふと思いつき、苦しそうな声を漏らしている舞へと唇を重ねた。 「んんっ……!」
そして唇を割り開いて舌を潜り込ませると、誘うように舞の舌先を突付いた。最初は戸惑うばかりだった舞も、次第に剛三が何を求めているのかが分かってくる。
恋人同士がするような深いキスを求めているのだ。
しかしそれにはまだ、舞は抵抗がある。剛三との関係を受け入れたとはいえ、けして恋人同士になった訳ではないのだ。
だが剛三の求めに逆らうことなどできず、舞はそれを受け入れるしかない。
おずおずと怯えるような動きで、少しずつ舞の舌が剛三の舌に応え始める。そうなるとあとはもう時間の問題だった。
キスそのものの快感が舞を包み込み、次第に気持ちが破瓜の痛みから逸れていく。 「んっ、んちゅっ……んんっ、んっ、んふぅ……ちゅぅ……!」
自分から積極的に求めることはなくても、剛三の舌の求めには応じて応えていく舞の舌。
そして剛三の舌を伝って流れ込む唾液を、疑うことなく飲み下していく。 「んくっ……んっ、んっ……んちゅっ……」
深いキスで舞の気持ちを引きつけながら、少しずつ体の動きを激しくしていく剛三。その辺りは年齢による経験というものだろうか、実に巧みに状況を操っている。
そして舞にキスでの快感を植え付けながら、剛三は舞の膣内で達した。 「うぅんっ……!」
避妊具を着けているとはいえ、その感触は舞にも膣内を通して伝わってくる。舞は心の中でようやく終ったのだと安堵の溜息をついていた。
(終った……終ったのね……) 腰の辺りを震えさせるようにしっかりと射精を終えると、避妊具を抑えながら腰を引き抜く。
そして避妊具を取り外し、その中にたっぷりと堪った精液を舞の胸の上へと垂らしていった。 (あ、熱い……)
生まれて初めて感じる精液の熱さに驚きながら、舞は漠然と自分の初体験を反芻していた。 「はぁ……はぁ……はぁ……」
ほんの暫く前までは、まさか自分の初体験がこんな形で訪れるとは思いもしなかった。愛する男性に処女を捧げる日なんて、まだまだ先のことだと思っていたのだ。
だが、それはあっけなく訪れてしまった。
相手は愛する男性ではなく、桜木家と自分が世話になった男性。しかも同級生であり、親しくしていた男の子の父親なのだ。
(私……健二君のお父さんに……剛三小父様に……) 悲しくないわけではない。 でも、剛三のことを恨むような気持ちは沸いてこなかった。
それがどうしてなのか、行為が終ったあとの気だるさの中で、舞はぼんやりと考えていた。
「さて、少しは落ち着いたか?」
「……はい」 事が終ったのだという安堵感から、舞は少しだけ落ち着きを取り戻していた。
秘所にはまだ痛みを感じるものの、剛三が気を使って優しく動いたせいか思っていたほどではない。 「ならもう少し楽しませもらうか」
「え……?」 「舞の裸を見てたら、ほら」
そう言って剛三は自分の股間を指差した。そこは一度目の射精で萎えかけていたはずだが、いつの間にか力を取り戻してそそり立っている。
(う、うそ……もう元気に……) 男の生理というものを知らない舞だったが、剛三ぐらいの年齢の男がそこまで元気だとは思わなかった。
舞が驚いている間にも、剛三はすでに次の準備を始めている。 再び避妊具を取り出して装着し、早くも舞に圧し掛かろうとしていた。
「あ、あのっ」 「ほら、脚を開いて」 「そんなっ……あぁっ!」
破瓜の痛みの恐怖が残っているせいか、舞は二度目の挿入に怯えてしまう。しかし剛三は強引に脚を開かせると、そのまま挿入してしまう。
「んはぁっ!」 二度目の挿入は痛みこそ少ないものの、その圧迫感は一度目と変わらず強烈なものがあった。
一気に荒くなった呼吸に胸を弾ませながら、舞は無意識のうちに宙をもがくように手を伸ばす。 「はぁっ、はぁ、はぁ、はぁ……」
剛三はその手を掴むと自分の首へと廻させ、そのまま舞の背中を抱くように手を入れて体を引き起こす。そしてそのままベッドの上で胡坐をかくように座り、その上に舞の体を乗せてしまった。丁度、向き合った格好で座るようにして繋がっている状態だ。
「あぁっ……はぁ……はぁ……」 「この方が深く入るだろう?」
確かに剛三の言う通り、普通にするよりも奥深くまで挿入されている感じがする。
剛三の男性器が平均より太く大きいだけに、膣内が押し広げられて圧迫されているような状態だ。 「は、はい」
舞はかろうじてそう応えると、剛三の体へとしっかりとしがみ付いた。
剛三は舞の背中と腰を抱くようにして支えると、ベッドの弾力を利用して体を弾ませるように動かし始める。
膣内を擦られるような感覚は無かったが、膣奥を男性器で押されるような感触が伝わってくる。
馴染んでいけば普通の挿入以上に快感を得られる行為なのだが、処女を失ったばかりの舞にそれを求めるのは酷というものだろう。
ただそれでも、舞は苦痛とは違う何かを感じ始めてはいた。
痛みとも快感とも違う、むず痒いような微妙な感覚。剛三との関係が続けば、いずれそれは快感として目覚めていくのかもしれない。
そんな快感の芽の息吹を感じながら、舞は剛三の上で体を揺すられていた。 「あっ……んっ……んっ……はぁっ……」
漏れそうになる声を抑えながら、しっかりと抱きついて堪え続ける舞。 すると剛三はおもむろに、先ほどと同じように舞へと唇を重ねていった。
「んっ……あむ……んちゅ……」
唇が重ねられて舌が潜り込んでくると、舞の脳裏に先ほどのキスの快感が甦ってくる。セックスそのものはまだ苦痛の方が多くても、キスだけなら充分に快感を得ることができる。
舞は挿し入れられた舌へと自然に応えながら、唾液混じりに舌を絡めていく。 そして剛三はキスをしながら、舞のお尻を抱えるように手を伸ばした。
「んっ、んんっ……ちゅ、ちゅぅ……」 舞の意識がキスへと傾いていくのを見計らって、お尻を持ち上げるようにして舞の体を上下に揺らし始める。
いきなり加わった刺激に、唇を塞がれた舞が苦しそうに鼻腔から息を漏らす。 「んふぅっ!」
剛三は構わずに少しずつ勢いをつけ、舞の体を弾ませていく。 押し付けられた乳房の先端で乳首が擦れ、長く綺麗な髪が乱れるように飛び跳ねる。
「んっ、んっ、んっ、んふぅっ……!!」 苦痛だけではない何かを明らかに感じながら、舞は剛三の上で跳ねるように揺らされ続けた。
そして剛三が舞から唇を離すと、唾液の滴を飛び散らせながら舞は切ない声を漏らす。 「んんっ……んはぁっ! あぁんっ!」
必死に声を抑えようとするのだが、体の勢いの前に脆くも崩れ去ってしまう。
剛三は舞の声から苦痛をそれほど感じていないと悟り、舞を再びベッドの上で仰向けに寝かせた。
そして何を思ったのか、そのまま続けるのかと思いきや、荒い息をする舞を寝かせたまま膣内から男性器を抜いてしまう。 (そうだな……)
少し考えるような素振りを見せたあと、剛三は舞の耳元で囁きかけた。 「四つん這いになるんだ」
「はぁ、はぁ、はぁ……よ、四つん這いに……」
一瞬、その意味を理解できず戸惑ったような表情を浮かべるが、すぐに剛三の意図を読み取って舞の顔が真っ赤になる。
剛三は触り心地のいい舞のお尻を堪能しながら、たっぷりと背後から貫きたくなったのだ。
もちろん、そんな屈辱的な体位を受け入れたくはない。しかし舞の置かれた立場が、その屈辱と恥辱を受け入れさせてしまう。 「ほら、早くしなさい」
「は、はい……」
緩慢な動作で起き上がると、舞は剛三の方へお尻を向けるようにして四つん這いになる。処女を失ったばかりの少女にとって、それはあまりに酷な体勢だった。
(は、恥ずかしい……) 舞の背後で剛三は満足げに頷くと、その綺麗なお尻へと手を伸ばしてゆっくりと撫で回した。 「ふふふ、いいぞ」
「あ……あぁ……」 そしておもむろに、背後から舞を貫いていく。 「んんっ!」
向きが逆になったせいで、反り返った男性器の膣内で当たる位置までが変わってしまう。それまでとは違う挿入感に、思わず舞の体が震えた。
そして剛三はゆっくりとではあるが、今日始めてしっかりとした抽送を開始する。
しっとりと馴染むように濡れた始めた膣内を、剛三の男性器がゆっくりと前後に進む。まだまだ締め付けは厳しく、ゆっくりと動かすのでさえ苦労するほどだ。
「んっ、んんっ……!」 やはり快感とまではいかないが、むず痒いような感覚を覚えて、舞の口から切なげな声が漏れる。
剛三は自分の快感だけに走ったりはせず、まるで舞の体をき気遣っているかのように、緩やかに膣内を擦っていく。むず痒さの中に混じったほんの僅かの快感を蓄積させるかのように、ゆっくりとゆっくりと、しかし着実に動いていく。
「んっ……んっ……んっ……」 鼻にかかった声を漏らしながら、舞はその動きに合わせるかのように体を揺らしていた。
その度に下を向いて容積を増した舞の乳房が揺れ、少しずつ背中が桜色に染まっていく。
剛三は舞のお尻だけではなく、そんな背中や腰を撫でるように触れたり、手を伸ばして胸を揉んだりしながら、休まず腰を動かし続ける。
既に一度は射精しているというのに、ほとんど年齢を感じさせない体力と精力だ。もちろん剛三が普段から節制しているのもあるが、相手が舞だからというのもある。
瑞々しさを失った妻や、そのへんの商売女ではこうはいかないだろう。
思わず手に入れることのできた、とびきりの美少女である舞だからこそ、剛三もそこまで興奮しているのだ。 「んんっ、んっ……はぁ……うぅんっ……」
舞の若くて張りのある瑞々しい肉体を我が物にして、剛三はその喜びに震えていた。
(これからたっぷりと教え込んでやるからな……俺の女として教育してやる) これから時間はいくらでもある。
まずはたっぷりとセックスを教え込み、それから男を喜ばせる技巧を仕込んでやろう。舞を背後から貫きながら、剛三の中にそんな邪な野望が浮かんでくる。
いや、それは野望などではない。実行することが可能な、剛三の決めた予定であり計画なのだ。
それをひとつずつ実行していくのだと思うと、今から喜びを抑えられなくなる。まるで新しいおもちゃを手に入れた子供のように、心が騒ぎ出してしまう。
「くっ、うぅっ……あっ、あぁっ……!」 瑞々しいこの体を思う存分弄び、味わいつくすことが出来る。
緩やかなストロークで背後から舞を貫きながら、その瞳にはいずれ自分を求めるようになるはずの舞の姿が映っていた。
一方の舞は処女を奪われた悲しみを感じる間も与えられず、今はまだ混乱の中にあった。
恥ずかしい体位で貫かれ、処女を失ったばかりの肢体を弄ばれ続ける。それは舞にとって想像以上に衝撃的で、肉体への苦痛以上にその心を傷付けられていた。
しかも、これは今日限りのことではない。
これから先、剛三の気が変わらない限り彼との関係が続く。それはつまり、こういった愛情の無い性行為が続くということなのだ。
自分の未来を思うと気が遠くなるような思いのする舞だったが、今はただ現実を受け入れるしかない。
自分の為ではなく家族、そして桜木家という存在の為に、自分を犠牲にして剛三に尽くさなければならないのだ。
それが桜木家を救ってくれた剛三への感謝の現れでもあるのだと、舞は密かに自分自身を納得させようとする。剛三に対する感謝の気持ちを忘れてしまったら、自分はただの犠牲でしかないのだから。
「あっ、あっ……んんっ、んはぁっ……」 「むぅっ」 そして舞の膣内の強烈な締め付けの中、剛三は二度目の射精を迎えていた。
吐き出される精液が避妊具によって受け止められ、その先端部分へと溜まっていく。 (あぁ……また、出てる……)
避妊具越しとはいえ、男の射精を感じるとつい怯えてしまう。避妊具を隔てた感触でさえ強烈なのに、これが直接だったのならどう感じてしまうのだろう。
そんなことを考えながら、舞の体は力を失ってベッドへと倒れこんでいった。
「シャワーでも浴びてくるよ。舞は少し休んでいるといい」 「はぁ……はぁ……はぁ……」
剛三の言葉に答えることもできず、舞は疲れ切った体を深々とベッドに沈めていた。
そして剛三の姿がバスルームの方へと消えてしまうと、その顔を枕に押し付けるようにして、声を殺して泣いた。
愛する人に捧げるはずだったものを奪われ、初めてだというのに容赦なく抱かれ、蹂躙されてしまった悲しみに胸が張り裂けそうになる。
だが、泣いていられるのも今のうちだけだ。剛三が戻るまでには泣き止んでいなければならない。
舞は嗚咽を押し殺しながら、これが最後の涙だと固く心に決めていた。
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