同級生二次創作SS「螺鈿細工の月 番外編」

◇ 籠絡 ◇


 それが早田の指示ではなく、山辺の独断であることは明らかだった。
 しかし、それが分かっていたからといって、舞にはどうすることもできない。
 美沙の存在を盾に取られている以上、どんな要求にも応えなければならないのだ。
(この部屋ね……)
 山辺に指示されたホテルの部屋の前で、舞は扉をノックしようと手を上げる。
 しかしこれから自分のする事を思うと、その手で扉を叩くことが躊躇われた。
 今までの相手とは違い、部屋で待っている男は何も知らない素人。
 あくまでも素人の女子高生として、その男を相手に援助交際しなければならないのだ。
 金で女を買うことが正しくない以上、何も知らないといって男に罪が無い訳ではない。
 それでも舞という少女は、そんな男を責める気にはなれなかった。
「……失礼します」
 控えめに小さく扉をノックし、中からの返事を待つ。
 何なら慌ただしい音がしたかと思うと、部屋の扉が躊躇いがちに開かれた。
「やあ、いらっしゃい……これは随分と綺麗な子が来たね」
 扉を開けたのは、人の良さそうな笑顔を浮かべた、中年の男だった。
「お邪魔します……」
「さあ、入って」
「はい」
 男は舞を部屋に招き入れると、備え付けの冷蔵庫から飲み物を出して手渡す。
「君みたいな可愛い子が援交なんて、珍しいよね。何か理由でもあるの?」
 それを尋ねるかどうか迷ったようだったが、男は好奇心を抑えきれず舞に尋ねていた。
 舞は山辺に指示された通りの理由を口にする。彼は盗聴マイクを通して、この会話を車で聞いているはずだ。
「今月はちょっとお小遣いがピンチで……お友達に紹介して貰ったんです」
 理由そのものは有り触れた物で、男も今までに何度か耳にした事がある。
 ただ決定的に違うのは、舞の落ち着いた言葉使いだった。
 内容は陳腐としか言いようがないのに、舞の口から語られると妙に納得させられてしまう。
「それは困ったね。じゃあ私がお小遣いあげるから、今日は……」
「はい……でも良かった、優しそうな人で……あ、ごめんなさい……」
 男の柔和な表情に気が緩んだのか、思わず本音が舞の口から漏れる。
 頬を赤らめて慌てる姿が、逆に男の心を惹き付けた。
「えっと……じゃあ、シャワーでも……」
 そう促そうとした男を、慌てて舞が引き止める。
「待って下さい」
「え?」
 舞は耳まで真っ赤にして恥じらいながら、男の足元に跪いていく。
「こ、このままで平気ですから……あの……フェラ……チ、オ……しますから……」
「!?」
 まさか洗いもせず口で奉仕されるとは、男も全く予想していなかった。
 風俗店ですら、そのサービスを受けるにはそれなりの料金が必要になる。
「……いいの?」
「は、はい……大丈夫ですから……」
 恥ずかしげに笑みを浮かべ、舞は男のファスナーを降ろしていく。
 そしてまだ萎えているペニスを取り出すと、情熱的に奉仕していくのだった。


「ちゅぱっ……はぁ、はぁ、はぁ……」
 唇を離したペニスから、唾液の糸がつうっと滴り落ちる。
 舞の濃密な奉仕を受けていたそれは、限界を超えて硬く張り詰めていた。
「こんなに硬くなったのは久しぶりだよ」
 興奮した様子で、男が嬉しそうに呟く。
「あ……ありがとうございます……」
「そそろろ君の中に挿れてもいいかな?」
 フェラチオ奉仕で準備が整うと、男は舞への挿入を求めてくる。
 既に舞の体も準備が整い、いつでも男を受け入れられる状態になっていた。
「はい……じゃあ、ベッドで……」
 そう言って男を促し、自分も制服姿のままベッドへと上がる。
 そしてショーツだけを降ろすと、ベッドの上で四つん這いになってみせた。
「舞ちゃん……?」
 予め山辺に指示された通りに、淫らな少女を演じて男を誘う。
 盗聴器越しにそれを聞きながら、山辺は好色な笑みを浮かべていることだろう。
「わ、私……乱暴にされるのが好きなんです……だから、後ろから……犯すみたいにしてください……」
 舞ほどの美少女が、恥じらいながらもそこまで淫らに振舞うことに、男はかなり興奮した様子だった。
 そして男は調子にのって、より淫らなおねだりを舞に求める。
「大人しそうなのに、意外だね……もっといやらしく誘えたら、そうしてあげてもいいけど」
「うぅ……わ、私の……スケベなオマンコを……後ろから、オ……オチンポで犯して下さいっ……!」
 普段、山辺によって言わされているセリフが自然に口をつく。
 しかし何度口にしても、そのセリフに慣れることは無かった。
(恥ずかしい……)
 羞恥を強く刺激されて、興奮は更に昂ぶってくる。
 それを示すかのように、膣口から溢れ出した愛液が、太物内側を伝っていった。
「よ、よし!」
 その光景に興奮を抑えきれなくなった男は、いきり立って舞へと挿入した。
「ふあぁっ……!」
 一気に根元まで埋没したペニスは、しっかりとその先端が膣奥まで届く。
(お……奥まで……来てる……!)
 膣内を満たすペニスの感触に、舞は思わず我を忘れてしまいそうになっていた。
 今日、出会ったばかりの男に抱かれているという状況が、舞の理性を蝕んでいる。
(名前も知らない人と……私……!)
 高まり続ける興奮が背筋を駆け抜け、ゾクゾクと震えてしまう。
 そして舞は自分を抑えきれず、背後を振り返り男に求めていた。
「う、動いて……動いて下さい……」
「ああ、もちろんだよ!」
 客の男は男で、その膣内の感触に驚かされていた。
 見た目こそ清純そのものといった雰囲気の舞だが、この状況下で本気でそう信じる男はいない。
 しかし、実際に挿入してみた舞の膣内は、驚くほど狭くて締め付けが強く、とても援助交際をしているような感じではなかった。
 最近まで処女だったと言われても、男は信じていただろう。
 それくらい、男が今までに味わったことのない、強烈な締め付けがあった。
(凄いな……!)
 その締め付け感に舌を巻きながら、男は力強く腰を動かしていく。
 もう舞を焦らすような余裕は無く、ひらすら快感を追い求めるような動きだった。
「ああっ! あっ、あっ、あっ、ああんっ! ふああっ……! あ、ああっ……すごいっ……んああぁっ!」
 十分に興奮の高まっていた舞は、その鋭い突き入れに敏感な反応を見せ、甲高い喘ぎを溢れさせる。
 その声の音色が男を刺激し、その腰使いを更に加速させた。
「おお……!」
 膣奥に溜まっていた愛液を掻き出しながら、男のペニスが舞の膣内を擦り上げる。
 その堪らない感触をより味わいたいと、男は腰を密着させて深く挿入し、その状態で小刻みに腰を動かす。
「あああっ! あっ、あっ、あっ、ああっ……! そ、それ……だめですっ……ふああぁっ!」
 ペニスの先、膨らんだ亀頭が子宮口を小刻みに叩く形になり、その刺激に舞は身悶えた。
「奥で感じるなんて、本当にいやらしい子だ……凄く興奮するよ!」
 男は更に大きくスカートを捲り上げ、舞のお尻を撫で回しながら腰の動きを加速させる。
 その手の感触に官能を刺激され、舞は一気に高まっていった。
「あああっ! だ、だめっ……もうイッちゃうっ、イッちゃいますっ……んああぁっ!」
 そう叫ぶのと同時に、舞の体がガクガクと震える。
 腕で体を支えていられなくなり、そのまま枕へと突っ伏しながら、絶頂の叫びを漏らしていた。
「あ、ああっ……イク、イク、イクぅぅっ!!」
 その瞬間、ただでさえ締め付けの強い膣内が収縮し、男のペニスを思い切り締め付ける。
 男もその刺激には耐えられず、そのまま腰を密着させた状態で射精していた。
「うぅっ……で、出る!」
 勢いよくペニスが脈動し、熱い精液を大量に注ぎ込む。
 絶頂の瞬間に激しい射精を膣奥に受け、舞はこれまでにないほど昂ぶっていた。
「あ……あああっ、いやっ……!」
 その体がブルっと小さく震え、堪え切れなかったものが迸る。
「だめっ……で、出ちゃう……ああっ……漏れちゃうぅ……!」
 絶頂の強い刺激のあまり、舞は男に膣内射精されながら失禁してしまっていた。


「こんなに可愛いのに、イキながらおしっこまで漏らしちゃうなんて……」
「あぅぅ……ごめんなさい……」
 目元に涙を浮かべて、申し訳なさそうに謝る舞。
 しかし男は舞を責めているのではなく、失禁するほど感じてしまったことに興奮しているのだった。
 その証拠に、射精を終えた直後のペニスは、舞の膣内でその硬さと大きさを保ったままだ。
 男はゆっくりと腰を引き、抜いたペニスを舞に見せつける。
「凄く興奮したよ……もう一回いいかな?」
「あ……あぁ……」
 隆々とそそり立つペニスをうっとりと眺め、舞は恥じらいながら小さく頷いた。
 そして制服を脱ぎ捨ててしまうと、仰向けになって自ら脚を抱えるようにして開く。
「今度は……前からしてください……」
 その細い指先が秘唇へと伸び、誘うように左右に割り開く。
 鮮やかな桜色の粘膜は、白濁した体液に彩られ淫らな光景を披露していた。
「そこに欲しいんだね?」
「はい……ここに、オマンコに……ください……」
 それはもう山辺の指示による言葉ではなく、自然に舞の口をついた言葉だった。


 大きめの湯船の中に、二人で体を沈める。
 二人は結局ベッドの上で、都合三回、濃厚なセックスで燃え上がった。
 山辺の盗聴器は制服に仕掛けられて、浴室での声までは拾う事が出来ない。
 声が浴室の外には漏れないことは、既に確かめてあった。
「すみません、私がもっとご奉仕しないと駄目なのに……」
 快感のあまり、我を忘れて貪ってしまった事を、舞は恥ずかしそうに詫びる。
 しかし男は気にした様子はなく、それどころか舞をかなり気に入った様子だった。
「いやいや、別にいいんだよ。それより、よかったらこれからも会えないかな? 君みたいな子には、滅多に出会えないし」
 男のとの関係は、あくまでも山辺の指示によるものだ。
 金銭的に困っていない舞には、その申し出を受ける理由は全く無い。
 しかし不思議とそれを断る気にはなれず、舞は頬を染めながら小さく頷いていた。
「はい……あ、でも……お小遣いはもう……」
「遠慮しなくていいんだよ? あ、それとも少なかったのかな?」
 金は必要ないと告げる舞に、遠回しに断られたと思ったのか、男は少し落胆した表情を浮かべて食い下がる。
 しかし舞は首を横に振って、湯船の中で男に近付いていく。
「お金だけの関係だって、思われたくないんです……」
「舞ちゃん……それはその……」
 目の前に迫った舞の表情に男は息を飲む。
 ほんのりと火照った頬と潤んだ瞳、そしてアップにまとめた髪からほつれた遅れ毛が、何とも言えない色香を放っていた。
「お付き合いは出来ませんけど……時々こうしてお会いするのは構わないんです……」
 湯船の中で体が密着し、舞の豊かな乳房が男の胸板に押し付けられる。
「ですから、他の女の子をお金で買うようなことは……もうして欲しくないです」
「っ……そ、そうか……そうだね」
 自分が相手をする代わりに、もう売春行為をするなと舞は言っているのだ。
 その言葉に秘められた舞の気持ちを察したのか、男は神妙な顔をして頷く。
 彼も彼なりに、これが正しい行為ではないと分かっていたのだろう。
「約束ですよ?」
「ああ……約束するよ」
 こんな美少女と関係を築けるのなら、他の女など必要とはしないだろう。
 男が約束してくれた事に頬笑み、舞から感謝の証としてキスが贈られる。
「ん……んふ……ちゅ……ちゅぅ……」
 そして唾液の糸を引きながら唇を離すと、舞はうっとりと頬を染めて囁くのだった。
「んふ……まだ時間ありますから……お風呂でしませんか……?」
「いいのかい……?」
 男の言葉に小さく頷き返し、舞は頬を染めて囁く。
「はい……優しくして下さいね……?」
「ははは、どうしようかな」
「もう……意地悪ですね」
 そして二人は目を合わせて微笑みあう。
 まるで恋人同士のようなキスを繰り返し、四度目の行為へと耽っていった。


 こうして一人ずつ山辺の持っている客を篭絡していく。
 それが舞にできる、せめてもの抵抗なのだった。

おわり


 

たぶん、どこかで公開していたとは思うんですが、それがどこか見当たらなかったので、
改めてここで公開しておきます。

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