No3

 

着替えてベッドも整えて、デカイ箱から卵を取り出し、その前に仁王立ちになる
「さて! 開けると決めたからには開けるとするか!」
箱を開けたときに出てきたパスワードコードを片手に見えるはずのない
卵の中身を見ようと顔を近づけてみる、中にはどんなバディが入っているのだろう
卵… 開けることで初期設定と起動が行われる、中のバディは開けるまではどのような
姿をしているのかはわからない、眠り姫の揺り篭…
「まあ、悩んでも仕方ないし… パスワードっと…」
ピッポッパ とパスワードを入力していく
ピッ… パシューー…
卵が開いていく
「眠り姫のご登場っと…」
その中から出てきたのは
“銀髪の女神”
腰まで伸びる髪がその身体を覆っている
「う… わぁ」
その美しさに目を奪われ、息を呑む
『マスター登録を開始します、マスターの個人情報を入力してください』
卵についている入力用モニターとキーボードが現れる
モニターにうつる入力ガイドにそって僕の情報を入力していく
『… 最後に私に名前をください』
名前? マニュアルには『ルナリエル』と書いてある
『セラフィム・ルナリエル』 と…
「なら… ルナ、かな? ルナリエルじゃ少し呼びにくいし」
モニターの文字に応えるように呟き、キーボードに指を滑らせる
『L・U・N・A… ルナ』
モニターの文字が確認するように入力された文字を写していく
『私の名前はルナ、ルナなのですね?』
モニターの確認にYES、と入力する
『わかりました、マスター? 私の名前を呼んでください』
ふと、疑問が沸いてきた、初期設定とマスター登録をしているけど
普通はこんな意思を持ったようなやりとりをするものなのか?
もっとこう… 無機質なただの作業なんじゃないのか?
『マスター? どうかしましたか?』
モニターの文字が問い掛けてくる、やっぱり変だ
でも… 頭ではわかっていても、僕は呼んでしまった
「ルナ? 僕の声が聞こえる?」
ピッ
『YES、マスター、これが貴方の声なんですね』
モニターにメッセージが写り、登録完了の文字と訳のわからない
文字がモニターを走る
“プラン-000 プロトタイプジェノサイドエンジェル−セラフィム・ルナリエル
起動”
一瞬映ったこの文字を僕は見逃していた
ゆっくりとルナの目が開いていく、その美しいエメラルドグリーンの瞳が僕を
うつす
「おはようございますマスター、私の名はルナ、貴方につけていただいたこの名と
貴方の声を私の最初の記憶とさせていただきます」
すっ…と僕の前に立ち、暖かみのある微笑みをうかべる
その笑顔に一瞬で心を奪われる僕
「マスター? どうかしましたか?」
そんな僕の顔をルナがのぞきこんでくる
「うわっ!! いや! なんでもないよ」
「そうですか? それではマスター、これから先至らぬ所があると思いますが
よろしくお願いします」
そういってまたあの微笑をルナがみせる
怪しいところばっかりなんだけど、ナンか先行き不安なんだけど
その微笑をみるとどうでもよくなっちゃう自分がいた
コレから先どうなるんだろう? 滅茶苦茶不安だよ



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