No2

 


目の前の箱を見て、僕は頭を悩ませる
「さて… 一体どういうことなんだ?」
箱をしげしげと見つめながら考える、自分はこんなものが当たるような事に応募したか?
いや、してないし じゃ、何かの間違いか? …宛名はちゃんと僕になっている
箱の脇に会社の名前と電話番号が書いてある
「…怖いけどかけてみよ、後でお金請求されたら怖いし」
ボタンを押しながらメーカーのロゴを見る
「ASLIGHT… か」
確かボディーガードみたいなのを造ってるところだよなぁなんて考えていると
プルルル… プルルル… カチャ、
『はい、こちらはASLIGHTカスタマイズセンターです。なんのごようでしょうか?』
「あ… あの、そちらからバディが送られてきたんですけど」
少しビクビクしながら尋ねる
「何かの当選らしいんですけど、僕、そういうのに応募した憶えがなくて… あの、
何かそちらの間違いではないんですか?」
電話の向うの声が少し戸惑う
『そうなんですか? 申し訳ありませんがお客様のお名前を教えていただけますか?』
「あ、ハイ、森川 流佳です」
『ハイ、森川様ですね? 少々お持ちください』
ピロリロピロリロとメロディが流れる、その音が僕をそわそわさせる
『… もしもし? 森川様ですよね? 間違いありません、貴方は当社の製品に当選
されています』
やっぱりおかしい、応募した憶えがない
「でも僕何も応募した憶えがないですよ。 やっぱり何かの間違いじゃないんですか?」
今度は間を開けずに答えが返ってくる
『いえ、間違いではありません、応募は受付ておりませんが、全国から無作為に選ばれた
方に商品の配送をもって当選とさせていただいております』
「そうなんですか? ならこの商品の代金は?」
『いえ、代金はいただいておりません。そのため返品も不可となっております』
返品不可? それを聞くとこの商品が一体どういうモノなのか気になりだした
「あの… この商品っていったいどんな商品なんですか?」
『ハイ、ただいま担当に代わります』
『もしもし? 担当のものなんですが、この商品… いえ、まだ販売されれおりませんから製品ですね…』
担当の人がつらつらと説明を始める
CPUとメモリはASLIGHTのバディ製品最高のものを、クリスタルは高純度の白
素体にはバイオと機械の融合、バイオフレームが
OSは新たに開発された最新型のテストタイプのものが積んであるらしい
「はぁ… そんなに凄いものなんですか…」
『ええ、後は使用者のSPとしての機能もあり、特殊モードのセラ… あ、いえ』
「? ナンですか? そのセラ…なんとかって?」
受話器の向うの声がしばらく聞こえなくなる
「? あの、もしもし?」
数秒ほどして向うからの返事がくる
『すみません間違えました』
「あ、そうですか?」
何か疑問を感じる、 ナンだろう… セラ… セラフィム? まさかね
『よろしいですか? 性能と仕様は先ほど述べたのが全てです』
「はい、わかりました」
『ではそろそろ電話を切らせていただきます』
「え? あ! でもこの製品!」
『先ほど申したように返品はできませんし代金もいただきません。 この度は当社の製品
ご当選おめでとうございます、末永く彼女とお幸せに』
「ア! う! ちょ、ちょっとま…」
ガチャッ! ツー、ツー、ツー…
あーあーあーちょっと待ってよともう一度電話をかける
プルルル、プルルル、カチャ、
「あの、もしもし?」
『お客様のおかけになった電話番号は現在使われておりません…』
なんで? どうして? 
何度かけても結果は変わらない
僕は首を傾げ悩む
(めちゃくちゃ怪しい!!)
しかし連絡は取れなくなり、返品は不可… となると
「開けるか、売るか…」
そうなら売るには惜しい、なら
「開けるしかない、か…」

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