「Virgin Emotion」

 

「Virgin Emotion」

 ギルバート・デュランダル議長によってその任を解かれたミーア・キャンベル。彼女は保養という名目で、サラという女の監視下のもとにあった。
 ミーアが連れて来られた場所は、表向きは貸し切ったリゾートホテルということになっているが、議長の息がかかった施設であることには変わりが無い。事実、ミーアとサラを除けば最低限の数の従業員が働くのみだ。もちろん彼らもそれが本業ではあるまい。
 支配人からベルボーイに至るまで、全員が軍務の経験があるか、或いは現役の軍人であることは疑いようも無い。
 ミーアの目には普通の従業員に映っているかもしれないが、分かる者が見れば彼らの身のこなしのひとつひとつに、そういったものが見え隠れしている。
 もちろん表向きはラクス・クラインである以上、最重要人物を警護するという意味でそれは当然の配慮かもしれない。だが、それならミーア本人に秘密にする必要があるだろうか。
 ラクス・クラインが滞在していることは極秘であっても、借り切ってしまったホテル内で身分を隠して警護する必要は無い。彼らが正体を隠している理由があるとすれば、それはミーアの警戒心を必要以上に刺激しない為だ。
 ミーアの監視を統括しているサラが恐れるのはただ一つ、ミーアが疑心暗鬼になって議長の手の内から逃れてしまうこと。それを避けるためにも、ミーアに警戒心を持たせるのは避ける必要があったのだ。
「お姫様のお守も疲れるわね」
「ご苦労様です」
 外部との連絡員を兼ねているウエイターと情報を交換し、サラは陽射しを避ける為にかけていたサングラスを外す。
 コロニー内部とはいえ、リゾート施設でもあるホテル内のプールの上には、本物の太陽と変わらぬ光が照らし出されていた。
「何かお飲み物でもお持ち致しましょうか?」
 本来の仕事を終えると、すっかりウエイターとしての仕事が板に付いた男がマニュアル通りに言葉を掛ける。サラはその態度に内心で苦笑を浮かべながら、軽く手を挙げて男を下がらせた。
 そして男から受け取ったメモを手の平の中で握りつぶし、クリスタル製の灰皿の中で火を点けた。小さな紙片は瞬く間に燃え上がり、灰と黒い燃えカスだけになってしまう。
(……これも仕事ね)
 本来は情報部に所属する彼女は、もっと陰湿な任務も数多くこなしている。だがそれでも、歌姫と称えられた少女を辱めるのはあまり気乗りのする仕事ではなかった。
 しかし、それもギルバート・デュランダル議長の指示である以上、彼女はただそれを忠実に実行するだけだ。
 だが、サラの中にはそう割り切っている部分と相反して、密かに期待している部分もある。ラクス・クラインを演じるミーアという名の少女に降りかかる悪夢を、自分が演出できるということに対して。
 自分の手で歌姫の虚像を壊してしまえるのは、夢想するだけで背筋を快感が駆け抜けるほどだ。
(……楽しみだわ)
 自分の話を聞いた時、ミーアはいったいどんな顔をするのだろうか。
 サラの口元が妖しく歪んでいった。


 

***



 ミーアに用意した部屋の前に立ち、ひと呼吸置いて扉をノックする。部屋の中からはすぐに可愛らしい声が応じたが、その声には微かに疲れのようなものが混じっていた。
「はい?」
「サラです、よろしいですか?」
 その問いかけへの答えはなく、その代わりに扉のロックが解除される音が聞こえた。そして扉が開き、見慣れた少女の顔が覗く。
「……何か用ですか?」
 扉の隙間から疲れた表情で覗くのは、プラントの歌姫と謳われたラクス・クラインその人である。
 隠された事実を知らない者にとっては、それは間違いなくラクス・クラインだ。とても別人が演じている姿だとは思えないだろう。その姿形や声は、本物のラクス・クラインと全く見分けがつかない。
 目の前の少女は、これから自分の身に起こるであろうことを、どう受け止めるのだろうか。サラはその冷めた感情の中で思いを馳せる。
「あの……」
 サラが何も語らずに立っているのを見て、ラクス───ミーアが訝しがるような表情でサラを見つめ返している。その視線に思索を中断し、サラは意識を現実へと引き戻した。
「申し訳ありません。お仕事についてお話があるのですが」
「お仕事、ですか?」
 待ち望んでいた言葉にミーアの表情が一瞬で明るくなる。
 このリゾートホテルでの生活が始まってから、いつ議長に呼び戻してもらえるのかとミーアは心待ちにしていた。ラクスとしての生活を過ごした日々が、公の場で自分自身を表現することの喜びをミーアに教えた。それを奪われてしまうということが、どれほど辛いことなのかも思い知らされた。
 仕事だと聞かされただけで、大勢の前で歌ったことや、議長と共にプラントの進む道を語ったことが思い出され、ラクスの名を叫ぶシュプレヒコールさえも耳に甦ってくる。
「よろしいですか?」
「……あ、はい!入って!」
 サラの言葉に我にかえると、ミーアは勢いよく扉を開いて彼女を部屋へと招き入れた。
 ホテルの最上階に位置するその部屋は、豪華な造りのスイートルーム。同じフロアには他に部屋は無い。建物の半分ほどの面積の部屋と、残りは全てテラスになっており、そこにはスイートルーム専用のプールやジャグジーが備え付けられている。
 それほど大きなホテルではないとは言え、やはりラクス・クラインが逗留するだけのことはある。
「それで、お仕事って?」
 ミーアはもう待ち切れないといった表情で、サラに詳しい説明を求める。
 期待に瞳を輝かせている少女に、これから告げる仕事の内容がどんな反応を引き起こさせるのか、そう考えるとサラの嗜虐性が歓喜の声を上げる。
 もちろん、そんな態度は一ミリグラムも表に出さず、普段と同じく淡々とした声でサラは説明を始めた。ミーアの心を奈落へと落とす、神にでもなったような気分で。
「ラクス様には慰安をお願いしたいのです」
「慰安ですか?」
 前線はもう激しい戦闘が繰り広げられているはずだ、だからこそ慰問をする意味はあるのだろうが、少し危険なような気もする。ミーアは素直にそのことを尋ねてみた。
「前線へ慰問に行くのは、少し危なくはない?」
「いえ、慰問に行かれるのではありません。このホテルで将校達を慰安して欲しいのです」
 サラの言っていることの意味を上手く理解できず、ミーアは少し混乱してしまった。
 そんなミーアの様子を見て、サラの口元が微かに緩む。そして子供に教えるかのように、丁寧にその仕事の内容について語って聞かせた。
 その説明を聞くうちに、ミーアの表情がどんどん曇っていく。そのことにサラは快感を覚えたが、表面上はあくまでも冷静さを失わない。
「……そういう訳で、ラクス様にはそのお身体で将校達を慰めて頂きたいのです」
「そ、そんな……私に娼婦にでもなれっていうの!」
 サラの説明を最後まで聞き終えられたのは、ラクス・クラインとして取り乱したくは無いというミーアの意識のおかげだった。しかし、最後まで聞いたからといって、とても素直に受け入れられるような話ではない。当然のようにミーアはサラへと食って掛かった。 ミーアの怒りを軽い微笑みで受け止め、サラはその態度が心得違いだとでも言うような口調でミーアを嗜める。
「ラクス様、将官達はその命を掛けて戦っているのですよ?安全な場所にいるラクス様が、そのお身体で慰めるのはお嫌だとでも?」
「で、でも……戦うのは彼らの仕事だし……」
「ならラクス様のお仕事は何ですか?」
「っ……!!」
 サラのひと言にミーアの表情が固くなる。
 ラクス・クラインとして歌い、語り、プラントの人々に勇気と希望を与えるのが自分の仕事、ミーアはそう思い誇りを持っていた。そして慰問で歌った時の、将兵達の喜びの笑顔が思い出される。その笑顔に例えようの無い喜びを覚え、どれだけ満ち足りた気持ちになれただろうか。
 いつ命を失うとも分からない前線で戦う将兵達に、未来を信じて戦える勇気を与えたのだという思いが、今のミーアを支える礎になっているのは間違いない。だからこそ、自分自身こそがラクスだと思えるのだ。
「本物のラクス様なら、喜んでなさるべきだと思いますよ」
 そんなミーアの葛藤を知ったかのように、サラが耳元で囁くように語り掛ける。
「ほ、本物って……」
「あの偽者のラクス様でしたら、ひょっとしたらお断りになられるかもしれませんね」
 意味深な笑みを浮かべて言うサラに、ミーアの心が怯える。
 自分が本当はミーア・キャンベルであるということ、本物のラクス・クラインは別にいるということは、本当に一部の限られた人間しか知らないはずだ。しかし、サラの言い方はまるで、自分が偽者だと知っているかのように聞こえる。
 あの放送に現れたラクスは、プラント側では偽者のラクスだと指摘してはいるが、それを疑う者が居ないとも限らない。
 今までの行いがどれだけラクスとして誇れるものだったとしても、自分の過去を暴かれてしまったら全てが嘘だと思われてしまう。ミーアをラクスとして讃えていた人々は、一転して手の平を返すように罵るだろう。虚構の世界をよく知るミーアにとって、それは想像ではなく確信に近い。
(嫌……そんなの嫌!私がラクスだもの!ラクス・クラインは私なの!)
 今のミーアにとって、自分がラクスでなくなるということは、命を奪われること以上の恐怖があった。
 その恐怖から逃れる為なら、どんなことだって受け入れられる。そう思った瞬間、ミーアの中で覚悟が固まる。
「……分かりました。お仕事……ですものね」
「はい」
 まるでミーアがそう答えることを知っていたかのように、サラは冷静な態度でそう頷いた。内心では、手に取るように分かるミーアの葛藤を嘲笑いながら。


 

***



「はぁ……」
 サラの話では、すぐに手配をしても最初の相手は二日後になると言う。ミーアにとってその二日間は、まるで刑の執行を待つ死刑囚のような気分だった。
(いよいよ明日かぁ……)
 スイートルームの大きなベッドの上で、下着姿で寝転がりながらミーアは思いを巡らせる。
 いったいどんな相手が来るのだろうか。その相手がミーアが初めて慰める相手であり、自分の純潔を捧げる相手になるのだ。
(こんなことになるなら、もっとアスランに迫っておけばよかったかな……)
 ラクス・クラインの婚約者であり、今はプラントを離れてしまった男性。ミーアにとって一番身近な男性であり、ラクスである自分にとっても愛しく思える男の人。
 デュランダル議長という存在もあるが、男の人として意識するにはやはりその存在が大き過ぎる。
 だからミーアにとって異性というのは、今のところアスラン・ザラをおいて他には居ないのだ。
(アスランだったら、私の……私のバージン……貰ってくれたのかな)
 婚約者のラクスとは、きっともうそういう関係になっているだろうと、本当のことを知らないミーアは思う。
 ミーアにとってアスランとラクスは、理想のカップルであり憧れの存在でもあった。もちろん今は自分がラクスなのだから、自分がアスランの相手を努めても全く問題ないはずだとさえ感じている。
 そんな思いから、アスランと愛し合う自分を何度も想像した。
 あの腕に抱きしめられ、唇を奪われ、愛の言葉を囁かれる。それはとても甘美な想像で、いつもミーアを幸せな気分に浸らせてくれる。
「アスラン……」
 議長の傍で忙しく働いている時は、そんな幸せな気分になるだけで満足していた。しかし、今のミーアは仕事もなく時間を持て余しているといっていい。
 だからそんな想像をしてしまうと、今はそこから先まで考えてしまうようになっていた。
(アスランにして欲しい……アスランに愛されたい……)
 そう思うと、自然に手が下着の上へと伸びていく。
 このホテルに滞在するようになってから、ミーアは一日に何度も自分を慰めるようになっていた。まるで、現実から逃避して甘い想像の中へと逃げ込むかのように。
 ミーアは知らないのだ、このホテルの中に監視の目が届かない場所はなく、今も階下の部屋でサラが監視しているという事実を。
「ふふ、また始まったわね」
 数多く並んだモニター画面の中から、ミーアの部屋を映しているものを壁面のスクリーンへ映し出す。大きな壁面いっぱいに映し出されるのは、レースの装飾が施された下着の上から、そっと自分を慰め始めているミーアの姿だ。
 監視しているその部屋にはサラ以外の姿は無く、暗幕のようなカーテンが窓を多い、明りの落とされた暗い部屋にモニターが並んでいる光景は、まるで放送局のようだ。
 その部屋で大き目の椅子に深く座ったサラが、妖しく光る目でスクリーンを見つめている。そしてその手が手元のスイッチを操作した。
『あ……ん……』
 高感度マイクによって拾われた音声が、いきなりスピーカーから流れ出した。
 防音もされているのだろう、その音量はお世辞にも控えめとは言い難いもので、ミーアの微かな息遣いまでもよく聞こえている。
「いやらしいお姫様……バージンのくせに、そんなに男が欲しいの?」
 嘲るように言ってはいるが、その声には微かに熱のようなものが感じられた。
 自分の監視下にある少女の自慰行為に、サラは抑えようの無い興奮を覚えている。覗かれているとも知らず行為に耽る姿に、優越感にも似た興奮を覚えてしまうのだ。
『ん……あはぁ……ん……んふぅ……』
 スピーカーから流れるミーアの声が、次第に熱を帯びて切なげな吐息へと変わっていく。柔らかな枕へと顔を埋めるようにしてうつ伏せになり、身体の下から股間へと手が伸びていた。その指先は下着の上から、股間の中心部分をゆっくりとなぞっている。
 真っ白な下着に包まれた可愛らしいお尻が、ミーアの指の動きに合わせてピクッ、ピクッと小さく跳ねる。淫らというよりは、まだまだ可愛らしいとも思えるその行為だが、サラに興奮は次第に高まっていく。
 赤いルージュを引いた唇を舌先で軽く舐め、サラはゆっくりと椅子の上で膝を開いていき、手元のコンソールの上に置かれていた手を、そっとスカートの中へと潜り込ませる。
(もっと見せてちょうだい……いやらしい姿を……)
 ストッキングの上から太股の内側を撫でるように動かし、そのもどかしい快感を楽しむ。それはミーアの監視という仕事を引き受けてからの、サラの密やかな楽しみとなっていた。
 巨大なスクリーンに映し出された歌姫の痴態を見つめながら、熱い女の疼きを指先で鎮めていく。それはミーアの行為よりも淫靡で、男を知った女の指使いだった。
 ストッキングの感触を指先で楽しみながら、少しずつ股間へと近づける。その指先に触れられることを期待して、サラの女の部分はその奥から熱い雫を溢れさせる。
「はぁ……ん……んん……」
 次第に股間へと近づいていったサラの指先が、ストッキング越しに下着へと触れた。もうそこは熱く潤んでおり、その内部に充分な量の蜜を蓄えている。
 肉の形に合わせて指先を上下させながら、もう一方の手をスーツの胸元から中へと潜り込ませ、その柔らかな膨らみを手の平に納める。
 ミーアよりも小振りではあるが、男好きのする形の良さを、サラは密かに自慢げに思っていた。
「く、くぅ……あふぅ……ん……はぁ……はぁ……」
 生地越しのもどかしい愛撫を繰り返すサラの目は、目の前のスクリーンに釘付けになっている。盗撮された映像の中では、ミーアもかなり気分を出して自分を慰めていた。
 真っ白なショーツは太股の途中まで下ろされ、まるで背後から犯されるのを待っているかのように、うつ伏せになったままお尻を持ち上げている。もちろん、その股間には細くしなやかなミーアの指先が這い回っていた。
『あぁん……いい、いいよぉ……もっとイジメてぇ……アスラン……アスランっ……』
 思いを寄せるアスラン・ザラとの情交を夢想しているのだろう、ミーアはその可愛らしいお尻を揺らしながら、指先で濡れた肉の芽を弄んでいる。
 指先で挟み込むようにして擦ったり、指の腹で押し潰すように転がしたり、その年齢や性経験とは似つかわしくないほど、その指先は淫らな動きをしてみせる。その肉芽のすぐ下にある陰唇の奥、明日には初めて男性を受け入れることになる場所からは、もう大量の蜜が溢れ出してミーアの指先を濡らしていた。
『欲しい、欲しいの……アスランの……アスランのオチンチンが欲しいのぉっ……!』
 肉芽を弄んでいた指先が、そのまま陰唇の間へと滑り落ちる。そして割れ目に溜まった蜜を掻き出すように、指先が肉襞の間を前後した。
(いやらしい子……どこでそんな指使いを覚えたの……それに、なんて綺麗なオマンコなの……色も鮮やかで……とても柔らかそう……)
 自分が男だったら、迷わず今すぐにでもスイートルームへと押し掛けて、あの愛らしいとさえ言える女性器を思うままに犯してやりたい。そんな衝動が女であるサラの中に湧き上がってくる。
 自分の女性器を醜いとは思わないが、まだ男を知らないミーアのような初々しさはもう無い。だからこそ、ミーアの初々しい女性器を、自分の手で淫らに咲き綻ばせてやりと思ってしまうのだろうか。
『あっ……あっ、あっ、いいっ……駄目なの……感じちゃうのっ……!』
 ミーアはすっかり盛り上がり、早くもクライマックスを迎えようとしていた。
 可愛らしい肉芽を指先で扱くように擦りながら、うわ言のように快感を口にしながら腰を淫らにくねらせる。明日に迫った悪夢から逃れるかのように、ミーアはひたすら快感を貪り続けていた。
 そしてその光景を見つめるサラも、熱く切ない高まりを感じて指先の動きを加速させていった。
「んん……んふぅ……はぁ……はぁ……いい……いいわぁ……」
 サラはもどかしそうに腰を浮かせてストッキングを脱ぎ始め、綺麗に丸めて足先から抜く。そして残されたショーツも脱いでしまうと、膝を立てるようにして椅子の上に両脚を乗せた。
 ミーアのものよりも複雑な形をした女性器が、外気に触れて小さく蠢いている。
 サラは過去に情を交わした何人かの男達の中から、最も身体の相性の良かった男の顔を思い浮かべ、その熱く濡れた女性器へと指先を沈み込ませた。
「くぅ……ん、んんっ……んはぁぁぁ……」
 陰唇の間を軽く擦るように前後させ、そのまま膣口を探り当てた指先を潜り込ませる。そして膣内で指先を軽く折り曲げると、最も感じる部分を集中して擦るように刺激していった。
 それはまだ男を知らないミーアにはできない、膣内を直に刺激する自慰行為だ。サラはミーアがまだ知らない快感を得ていることに優越感を覚えながら、男に抱かれる自分を想像して指先を動かす。
「あぁっ、いいっ……もっと、もっとよっ……んんっ……!」
 そして巨大なスクリーンの中では、ミーアが背中を丸めるようにして身を縮め、痙攣するように身体を小刻みに震えさせながら、切なげな喘ぎと共に昇りつめていた。
『やっ……あっ……いくっ……あっ、あんっ……うぅんっ……!』
 まるで子猫のようにシーツの上で身体を丸め、両手で股間を覆うように抑えてミーアは震えている。
 そしてサラも時を同じくして、絶頂への扉を潜り抜けようとしていた。
「くぅっ……あぁっ、んんっ……い……いくっ! くぅぅぅんっ!」
 膣内へと潜り込ませた指先を一番深いところまで突き立てながら、サラもスクリーンのミーアと同じように、眩い光を放つ絶頂へと達していった。


 

***



「……はぁ」
 だらしなく脚を開いて、絶頂の余韻の中で熱い吐息を漏らす。サラは明日に迫ったミーアの悪夢を思い描き、それだけで再び昇りつめてしまいそうになる。
 明日もこうしてスクリーンに、ミーアの破瓜の瞬間が映し出されることだろう。
 そしてサラは、その光景をしっかりとディスクに収め、報告書と一緒に提出することになっている。
 その報告書と映像を元にして、情報部はラクスという歌姫の新たな存在価値を作り出し、プラントの為───ギルバート・デュランダルの目的達成の為に利用するのだ。
 そこから先はもうサラには関係のない話だった。
「ふふふ……いよいよ明日ね……お姫様」
 ミーアがどんな顔をして男を受け入れるのか、今から楽しみで仕方の無いサラだった。


つづく
 

結局、前後編になってしまいましたとさ(;´Д `)