囚われの嘆歌
囚われの嘆歌 薄暗い部屋の石の床の上に積もった埃を、長剣の切っ先が不快な音を立てながら切り裂いていく。 そして切っ先は埃を舞い散らせながら勢い良く振り上げられ、ゆっくりと降りていき肩の高さで水平に止まった。 鈍く光る切っ先の先には、愛らしく整った顔立ちの少女の鼻先があった。僅かに脅えの色を表情に滲ませた少女は、鼻先に舞い上がった埃に顔をしかめる。 「へへへ……」 少女の鼻先に切っ先を向けているのは、どこか虚ろな目をした若い男。 かなり薄汚れてはいるが、その身なりは平民階級の物とは異なり、様々な装飾が施されていたのがうかがえる。 どこかの貴族なのかもしれなかったが、薄汚れてしまった衣服と、伸び放題に伸びた髪、焦点の合わない視線と、今はみるも無残な状態であった。 「なぁ、早く兄貴を呼べよ……助けてぇ、助けてお兄ちゃんってよぉ……へへへ」 異様に赤い舌で唇を舐めながら、その男は長剣をゆっくりと引いていった。目の前から鈍く光る切っ先が消え、少女は内心で密かに安堵する。 だが次の瞬間、切っ先は勢い良く少女の顔めがけて突き進み、その頬をかすめるようにして、木製の壁へと突き刺さった。 「……ッ!!」 声にならない悲鳴をあげ、思わず顔を背ける少女。 その反応に男は歓喜の表情を浮べ、今度は本当に長剣を鞘へと収めた。 「こ、殺すなら……さっさと殺しなさいよ!」 長剣を収めた男に向かって、少女は気丈にも言い放つ。だが、その言葉は男の無気味な微笑みによって受け流され、沈黙をもって返された。 既に同じような事が一時間以上も繰り返されていた。不意をついた行動や奇声で少女を脅しては、ただその反応を眺めている。 だが、それもそろそろ終わりを告げようとしていた。 それまで、その薄汚れた男と少女の二人だけだった部屋に、別の男が新たに入って来た。 同じように装飾の施された衣装だったが、先ほどの男とは違い、その身なりは小奇麗に整っている。 その男は入ってくるなり少女へと歩み寄り、その切れ長の瞳で舐めるように見つめながら、ゆっくりと濡れたように光る唇を開いた。 「別に貴方を殺す気は無いのですよ。パシフィカ・カスール……いや、廃棄王女様」 廃棄王女。そう呼ばれて改めて、相手が自分の正体を知っているのだと確信する。 そう、囚われていたのはパシフィカ・カスール。世界を滅ぼすと言われた廃棄王女その人だった。 寝込みを襲われたのだろうか、普段は編み込んでまとめている髪は綺麗に解かれており、着ている物も夜着のようだった。 両腕は後ろ手に縛られ、片足には壁へと続く鎖が繋がれている。 「だ、だったらどうして!」 「私と弟が用があるのは、シャノン・カスールだけなのですよ。弟をあんな風にしてしまった……貴方の兄のね」 それで自分が今だに殺されず、マウゼル教にも引き渡されずにいる理由が理解できた。 彼女、パシフィカ・カスールの血の繋がらない兄は、普段は凡庸とした姿しか妹には見せない事が多いが、いざ事が起これば無類の強さを発揮する。 その力はパシフィカを守る為にしか発揮されないのだが、強すぎる兄シャノンは、時としてその身に激しい憎悪を背負う事がある。 金の為、名誉の為、信仰の為にパシフィカを狙う者達は多かった。しかし、そのほとんどはシャノンと、姉のラクウェルの手によって葬られてきた。 とは言っても無益な殺生を好む彼らではない。生き残った多くの者は、その歴然とした力の差に諦めて去っていくが、中には激しい憎悪を抱いて付狙う者も居る。 そして更にそんな中には、本来の目的であったパシフィカではなく、直接的に相手をしてきたシャノンやラクウェルに個人的な恨みを抱く者も稀に居た。 目の前の男達がそんな者達だと知って、パシフィカは覚悟を決めた。 兄であるシャノン、姉であるラクウェル。二人に決して助けを求める事はしない。何があっても耐えぬき、隙を伺って自力で何とかしようと。 「さぁ、早くお兄さんやお姉さんに助けを求めなさい。あの二人には、きっと貴方の声が届くはずです」 寒気がするような薄笑いを浮べながら言う男に、パシフィカは必死に強がった表情を作って見せる。 兄のように剣が使える訳ではない、姉のように魔法が唱えられる訳ではない。何の力も無い自分一人で、果たしてここから逃れられるのか。 そんな不安を胸の奥に押し込みながら、裏返りそうになる声を辛うじて堪えてパシフィカは言った。 「お、お兄ちゃん達が助けに来る訳ないじゃない……きっともう、私なんて殺されたと思ってるわよ」 それが精一杯の強がりだった。 心の中では信じている。兄達はきっと今も必死に自分の事を探しているだろう。兄だけではない、きっとレオやウイニアもだ。 だが、決して彼らに助けを求める事は出来ない。 目の前の男達は間違いなく、何らかの罠を仕掛けて待ち構えているはずだ。いくら無敵とも言えるシャノンやラクウェルでも、何か間違いが起こらないとも限らない。 自分の為に誰かが危険な目に合い、傷を負う。パシフィカにとって、それが最も辛い事だった。 「……まあいいでしょう。準備が整ったら、こちらから誘いをかけてやるだけですよ」 「へへ……アニキぃ……それまで遊んでていいだろ?」 パシフィカの前から踵を返した兄に、弟が舌なめずりしながら歩み寄る。 虚ろだった瞳には妖しげな光が宿り、壁に繋がれたパシフィカの全身を舐めるように見ている。 その瞳の光に、本能的にパシフィカの背中を冷たいものが駆け抜けていく。生き物としての本能が危険だと告げている。 「壊さない程度にしておけよ。これはまだ使える───餌だ」 男は冷めた口調でそう言うと、薄暗い部屋にパシフィカと男の弟だけを残して去っていった。 去り際に扉を開く瞬間、パシフィカは外の景色が覗えないかと目を凝らしたが、扉の向こうは部屋の中より更に暗かった。 闇の中に消えていく男の背中に、早くも少しだけ決意が揺らぎ始めてしまうパシフィカだった。 「さぁて……へへへ」 兄が部屋から消え去ると、残された弟は腰に差していた短刀を抜き、手の中で弄びながらパシフィカへと近付いていく。 ただでさえ薄暗い部屋の中で、光を全く反射しない刀身を黒く塗られた短刀は、パシフィカの目には不気味に映る。 男はパシフィカの目の前に立つと、その赤い舌で黒い刃を舐めていく。 その不気味な姿に、思わずパシフィカは総毛が逆立つような感覚を覚え、目の前の男から顔を背けた。 「それじゃ、お前の大切なお兄ちゃんが来るまで、俺がしっかりと可愛がってやるぜぃ」 男は自分の唾液がたっぷりと絡みついた短刀の刀身を、パシフィカの頬から首筋、そして胸元へと這わせていく。 自分の肌の上を刃が滑っていく恐怖感に、薄暗い中でも輝くような黄金色の髪が小刻みに震える。 今までに何度も命を狙われた経験もあり、こう言った状況にもある程度は慣れていたパシフィカだったが、男のあまりにも変質的な姿に、恐怖心よりも先に生理的な嫌悪感が湧き上がってくる。 「わ、私に手を出したら、どうなっても知らないんだから!」 何の裏付がある訳でもない、咄嗟に出てしまった口先だけの脅し。 もちろん、そんなものが男に通じる訳もなく、逆にパシフィカの脅えとして伝わってしまう。 男は虚ろな目の奥に妖しげな光を宿らせながら、短刀の刃先でパシフィカの胸元をゆっくりと切り裂いていく。 降ろされていく刃先に合わせて薄い夜着が左右に切り開かれ、薄暗い部屋の中でパシフィカの柔肌が露になっていく。 「………ッ!」 刃物を持った相手に素手では逆らう事も出来ず、頬を赤らめながらも必死に羞恥に耐えるパシフィカ。 男はそんな様子を心地良さげに覗いながら、夜着の上着を下まで切り裂いてしまった。 そして開かれた間から手を潜り込ませると、下着の上からパシフィカの乳房を掌に捕らえる。 まだ成長途中で固さの残る乳房ではあったが、その若く瑞々しい膨らみは、下着の上からの感触でも男を興奮させた。 「たまんねぇ……たまんねぇなぁ……」 長い舌を伸ばして舌なめずりしながら、掌に少しずつ力を加えて乳房を揉み始める男。 (い、嫌……気持ち悪いよ………シャノン兄……ラクウェル姉…………) 決して助けは求めないと誓ったにも関わらず、激しい嫌悪感に早くも心は乱れていく。 目の前の男は間違いなく自分を凌辱しようとしている。はたしてそれに耐え抜いて、脱出の機会を窺う事ができるのだろうか。 今にも大声で悲鳴をあげてシャノンやラクウェルに助けを求めてしまいそうな状態で、とても堪えきれるとは思えない。 かと言って、助けに来てくれたシャノンやラクウェルが、自分の目の前で傷つくのも耐えられる事ではない。 相反する気持ちの中で、パシフィカはもうどうしてよいのか分らず、ただ必死に男の掌の感触に震え続けた。 「世界を滅ぼす猛毒かもしれねぇけど、今はただの小娘だよなぁ……たっぷり遊んでやるからよぉ……へへへ」 男は手にしていた短刀を勢い良く壁に突き立てると、今度は両手をパシフィカの乳房へと伸ばし、下着の下側から両掌を潜り込まる。そしてそのまま、下着を押し上げるようにして、やや小振りだが形の良い乳房を露出させた。 反射的に声を上げそうになったパシフィカだったが、唇を噛み締めて辛うじて踏み止まると、なけなしの勇気を振り絞って男を睨みつけた。 しかし、既にパシフィカの乳房へと意識が集中している男には、そんな視線など蚊ほども感じた様子は無く、両掌で包み込むようにして、その乳房をゆっくりと揉みしだき始める。 「う、うぅ……」 その感触の嫌悪感に、パシフィカの口からは思わず声が漏れる。 「可愛いなぁ……お、俺よぉ……これくらいが一番好きなんだよなぁ……ヒヒヒ」 本当に嬉しそうにそう言いながら、肌の感触を確かめるかのように、男は伸ばした舌先で乳房を丹念に舐めていく。 まだ成長途中のパシフィカの胸にとっては、荒々しく扱われればただ苦痛なだけなのだが、男は心得ているとばかりに、優しく丁寧に乳房を愛撫していった。 男のそんな愛撫は、時が経つに連れてパシフィカに嫌悪感とは別の感覚を与え始める。 (な、何……こんなの……嫌っ………) 胸の先がムズ痒いような感覚と、腰の辺りに感じる何ともいえない暖かさ。 全身の体温が上昇していき、心拍数の上昇と共に呼吸が荒くなっていく。 「ん………はぁ………ンッ……」 鼻腔から漏れる微かな声は、明らかに甘い湿り気を帯び始めており、男の舌先が捕える胸の突起も、固く尖ってその存在を主張し始めていた。 女性と言うよりは、明らかにまだ少女と呼べるパシフィカの体も、男の執拗なまでに丁寧な愛撫の前に、急速に花開こうとしている。 男は自らの唾液で濡らした乳房から顔を離すと、背けられているパシフィカの顔を覗き込んだ。 「なぁ廃棄王女様……感じてんだろ?」 「なっ……!! だ、誰が感じてなんか! か、感じて……なんか……」 顔を真っ赤にして否定するパシフィカだったが、男の手がパシフィカの背中へと伸び、ゆっくりと撫でながら腰、そして尻へと降りていくと、その語尾は瞬く間にか弱々しくなっていった。 男はパシフィカの乳房を押し潰すかのように体を密着させ、伸ばした手で短いスカートの上から尻を撫でまわす。 身長差からパシフィカの顔は男の胸元辺りになるのだが、好色な笑みを浮べて見下ろす男に対して、パシフィカはもう何も言う事ができなくなり、首筋まで赤く染めてただ俯いて堪えている。 「へへへ……当たってるのが何か分かるんだろぅ?」 そう、男の激しく怒張した性器が、パシフィカのお腹の辺りに固く当たっているのだ。 それが何なのか知って、パシフィカは驚きと恥かしさのあまり、思考も行動も停止してしまった。 頭の中にあるのは、腹部に感じる熱い男性器の感触だけである。 (これが……これが……男の人………熱い………お兄ちゃんのも……こんな……なのかな……) いつしかパシフィカは、兄シャノン・カスールの裸を思い描いていた。 「ひょっとして、兄貴にも同じ物が付いてるんだって考えてんのかい? ヒヒヒ」 「なっ……!?」 男に事実を言い当てられて、驚きのあまりパシフィカの体が小さく跳ねる。そして更に羞恥で頬から耳まで赤く染め、男の腕のから逃れようと身動ぎする。 しかし、男はしっかりとパシフィカの体を抱えるようにして、その小さな尻の感触を楽しみ続ける。 「そうか、お前……兄貴の事が好きなんだろう? どうだぁ、図星か?」 パシフィカの心理を言い当てたのが嬉しかったのか、男はその部分に集中して、パシフィカを言葉で嬲っていく。 確かに男の言う通り、心の奥にはシャノンに対する好意があったのは事実だが、それはまだ恋心と呼ぶには幼すぎるものだった。 妹とは言え血の繋がりのない自分を、何の代償も無く命を賭して守ってくれる兄シャノン。 最も身近な異性であり、頼れる存在である彼に対して、パシフィカが惹かれていくのも無理は無い。 「ち、違っ…………そんな事……ない!」 しかし、パシフィカは男の言葉を否定する。何の根拠もなく、ただ否定する。 兄と妹という関係である以上、例え血が繋がっていなかったとしても、それはパシフィカにとって禁忌だった。 絶対に叶う事の無い想いなのだ。 「……ま、いいけどよぅ……お前の大好きな兄貴は、俺が殺っちまうんだからよぉ」 男の言葉にパシフィカが顔を上げると、そこには背筋が凍り付きそうな程に残忍な顔があった。 シャノンに向けられた強烈な憎悪と殺意が目に血走り、笑っているのか、口元は奇妙な形に歪んでいた。 絶対にこの男をシャノンに会わせてはいけない。自分の置かれた状況の過酷さも忘れて、パシフィカは改めてそう決意する。 目の前のこの男は危険すぎる。パシフィカの本能がそう告げていた。 (何があっても我慢する……シャノン兄の為……絶対に……) だがしかし、その決意を揺らがせようとばかりに、男はパシフィカの尻に伸ばしていた掌に力を加える。そしてやや乱暴に、荒々しく揉みしだき始めた。 男から感じた恐怖感で忘れていた感覚が、再びパシフィカの小さな体を支配していく。 「んっ…………はぅん…………ん……んんっ……」 鼻にかかった甘い吐息が漏れ始め、短いスカートの下で太股が小刻みに震え出す。 男はそんなパシフィカの反応を頃合と見たのか、自分の胸元で頬を真っ赤にして俯いているパシフィカに対して、強引にその顔を上げさせた。 そして戸惑うパシフィカに、男は無理矢理唇を重ねていく。 「!? んーーーっ!! むぐぅっ!!」 一瞬、頭の中が真っ白になってしまったパシフィカだったが、我に返ると必死に体をよじって抵抗しうとする。 しかし男はしっかりとパシフィカを抱きかかえ、その動きを封じた上で口腔を蹂躙していく。 狭い口内で、必死に男の舌から逃れようとするパシフィカの舌。しかし逃げ場などあるはずもなく、瞬く間に捕えられ、その可愛い舌先は男の舌によって弄ばれる。 流れ込む唾液のおぞましい感触、触れ合う唇や口内で暴れる舌先の感触に、パシフィカは意識が途絶えそうになってしまった。 (……唇……犯されてる………) 放心状態に近いパシフィカは、無意識のうちに流れ込む男の唾液を嚥下し、唇を吸われ、舌先を弄ばれ続ける。 初めての濃厚な口づけに、その相手が凌辱者であるにも関わらず、パシフィカの意識は蕩けていく。 それ程に男の舌先は激しく口腔を蹂躙し、パシフィカの心までも侵食していた。 「……ン………んはぁ……んっ……んんっ……ぷはぁっ……」 長く続いた蹂躙から開放される頃には、パシフィカの目からは決意の光は消え、全身からは力が抜けて、男の体へと倒れ掛かっていた。 男はパシフィカの体を抱きかかえたまま、壁に突き立ててあった短刀を手に取り、パシフィカの腕を縛り上げていた縄を切り落とす。 「さぁて、これからが本番だぜぇ……」 男はパシフィカの体を壁に押し付けると、首筋へと唇を這わせながら、片方の手をスカートの中へと潜り込ませていく。 下着に触れる指先の感触に、パシフィカは一瞬にして我に返るが、男の指先がそのまま下着の上を撫で始めると、あられもない声を上げて男の胸へと顔を埋めた。 「ひゃぅんっ!! あっ、あぁっ、だめっ!」 男の手の動きを止めようと、必死に太股と膝に力を込めて抵抗しようとするが、男は強引に膝を割り込ませ、下着の上からパシフィカの秘所を責め続ける。 指先は微かに湿り気を帯び始めた生地の上から、薄っすらと浮き上がった恥丘にそって前後に行き来し、適度に変化を付けて刺激していく。 それはパシフィカにとって未知の経験であり、初めて自覚した性的な快感であった。 男の指先の動きに合わせて、下腹部から湧き上がる痺れるような感覚。 気が付けば、男にしがみ付くようにして両手を廻し、男の胸の中で甘い嬌声を響かせ始めていた。 「あっ、あぁんっ! んくぅ……んんっ……あふぅ……」 初めて受ける愛撫から、同じく初めての濃厚な口づけ。そして秘所への強烈な刺激によって、パシフィカの意識からは既に理性と呼べるものは消え去り、ただ押し寄せる快感の波に翻弄され続けている。 そんなパシフィカに追い討ちをかけるかのように、男の手は下着の中へと潜り込み、若草のような茂みを掻き分けて、秘唇へと直に辿り着く。 そして、まだしっかりと閉じられたままの秘唇の間に、溢れる蜜を頼りに男の指先はゆっくりと沈み込んでいった。 「そ、そこは……嫌ぁ……んぁっ! あぁっ!」 まだまだ未開発なパシフィカの体も、繰り返される男からの刺激によって、既に異性を迎え入れる準備が出来初めていた。 潜り込んだ指先によって僅かに開かれた秘唇の奥からは、次々と蜜が溢れ出して男の指先を濡らす。 そんな自分の体の反応を恥じ入りながらも、パシフィカはそれ以上の事は考えられず、心も体も快感の渦へと飲み込まれていった。 「んじゃそろそろ……廃棄王女様をオンナにしてやるよ」 パシフィカはもう、男が何を言っているのかすら分らず、ただ荒い吐息を漏らしながら肩を揺らしている。 今まさにその純潔を奪われようとしているのに、パシフィカの体を支配しているのは初めての快楽。 目の前の男が誰なのか、それすらもう頭には無かった。 男はパシフィカの下着を引きちぎるように降ろすと、その体を裏返し、壁に向かって押し付ける。 そして腰を抱えるようにして尻を突き出させ、自分もズボンを降ろして怒張して反り返った男性器を取り出した。 「大好きなお兄ちゃんで無くて悪かったなぁ……そらよ!」 上半身と両手を壁についてような体制で、廃棄王女─────パシフィカは貫かれた。 「ひぐぅぅっ!!」 灼熱のような塊が打ち込まれるのと同時に、鋭い痛みが下腹部から頭の先へと駆け抜けていった。 太股の間を散らされた純潔の証が流れ落ち、パシフィカの相貌から涙が溢れては零れ落ちていく。 そして背後から貫いている男は、意味不明な奇声を上げながら、本格的にパシフィカを犯し始めていった。 「ヒーッヒッヒ! 俺が廃棄王女をオンナにしてやったぜぃ! どうだ! おら! おら!」 適度に変化をつけながらも、初めてのパシフィカには惨い程に激しく腰を打ち付ける男。 だが、そんな乱暴な激しさがかえってパシフィカの被虐心を刺激し、破瓜の痛みは次第に快感へと置き換えられていく。 男性器の出入りを支えるかのように、乾き始めていた秘所も再び潤沢な量の蜜を溢れさせ、薄暗い部屋の中に湿った音を響かせる。 男の腰がパシフィカの尻に当たる音と、二人の結合部から漏れ出す淫らな水音。そしてパシフィカの嬌声が重なりあっていく。 「はぁん! あっ、あっ、あっ、あぁぁっ! やっ、だめっ、いやぁっ!! んっ、んんーっ!」 太股を伝っていた赤い筋は、その上から溢れ出した蜜によって塗り替えられ、その蜜は足先にまで達しようかという程に溢れている。 次第に高まっていく激しい快感に膝は震え、崩れ落ちそうになる体を男に支えられて辛うじて立っていた。 (違うっ……こんなの……こんなの私じゃないっ……犯されて感じるなんて……違う……違うの!) 微かに残った理性が必死になって否定しようとしても、その叫びは奔流となった快感によって押し流され、肉欲に支配されてしまった肉体だけが残される。 激しく繰り返される男の抽送に、黄金色の髪は波打つように乱れ、小振りの乳房は壁へと押し付けられ、無残に形を歪ませる。 何度も何度も男性器はパシフィカの膣内を貪るように擦り上げ、醜悪な程に広がった先端部分が、柔らかな襞の間を掻き乱す。 「あっ、あぁっ、あ、あ、あ、あ、あぁぁぁ! ひゃぅっ! んんっ! は、はっ……はぁぁうんっ!」 額に浮かび上がった玉のような汗を飛び散らせながら、襲い来る快感にパシフィカは激しく頭を振る。 膣内は男のものを更に深く迎えようと小刻みな蠕動を繰り返し、自然に男の動きに合わせて腰が淫らに揺れる。 いつしかパシフィカの思考は完全に途切れ、体だけが快感を追い求めて動き出していた。 「ヒヒヒ、すっかりその気になってきたなぁ」 嘲るように言う男だったが、その言葉も既にパシフィカには届いていない。 男もそんな事は気にしていない様子で、相変わらず激しい抽送を繰り返しながら、その熱く潤んだ膣内の感触を楽しんでいる。 まだ成長途中のパシフィカの体は、男を受け入れるにはまだ狭すぎるのだが、それが逆に男には堪らなく心地よい。 更にそれだけではなく、襞の一枚一枚が蠢くように絡みつく膣内は、筆舌に尽くし難い程の快感を男に与える。 そして男はパシフィカのつま先が浮き上がりそうな程の貫きを加えながら、腰を支えていた手をパシフィカの乳房へと伸ばした。 「やっ、あぁっ……んーーーっ! はぁ……はぁ……んっ、んっ、きゃぅっ!!」 掌にすっぽりと収まってしまう乳房を、押し潰すように荒々しく揉みしだく男。 微かな痛みと同時に痺れるような快感がパシフィカを襲い、その甘い喘ぎを更に大きく響かせる。 思考の途切れた頭の中では眩いばかりの閃光が瞬き、パシフィカは初めての絶頂へと一気に加速していた。 それを知ってか、男は更に抽送の勢いを増して激しく貫きながら、痛いほどに尖った胸の突起を指先で摘み上げる。 「あぁんっ! だ、だめっ……くるっ……来ちゃうよっ……あんっ、あっ、あぁっ、はぁんっ!」 そこから絶頂までは一瞬の事だった。 男性器を深く咥えこんだ膣内が収縮し、全身が小刻みに震えていく。 そして悲鳴のような叫びが、仰け反ったパシフィカの口から放たれた。 「あぁぁぁぁぁっ! イ、イクぅっ! イっちゃうっ、イっちゃうぅっ!! はぁぁぁぁぁぁっ!!」 生まれて初めての絶頂へと昇りつめ、男から開放されて埃っぽい床へと崩れ落ちていくパシフィカ。 そして男は自らの手で男性器を擦り上げると、床に倒れたパシフィカの横顔へ目掛けて射精した。 「ウッ…………ヘヘヘ、廃棄王女様のお顔を汚してやったぜぃ……ヒヒヒ」 頬の辺りに生暖かい感触を覚えながら、パシフィカはそのまま気を失っていった。 (…………お兄……ちゃん…………) ま、久々なんで……この程度で勘弁してつかぁさい(;´Д`A ``` |