「得がたい報酬」ロードス島戦記

 

「得がたい報酬」


「……フィアンナ王女の侍女の一人を抱きこむ事に成功しました」

 王都ヴァリスの街から少しだけ離れた、廃屋のような屋敷。外観は汚く薄汚れてはいるが、中はそれなりに手が加えられ、何人かの男達が忙しく歩き回っている。
 その屋敷の二階、もっとも奥に位置する部屋に彼女は居た。彼女が男達の主である事は、彼女の目の前に男の一人が膝を着いている事から見て取れる。
 男は肩膝を着いた姿勢で女を見上げ、自分の行ってきた任務の成果を報告していた。
 女の名はカーラ。しかし、その肉体は別の名を持ってもいる。
 魔法王国の御世から、このロードスの歴史を操ってきた「灰色の魔女」と呼ばれる彼女には、既に肉体が失われて久しい。
 その持てる知識の全てを銀色のサークレットに封じ込め、それを身に付けた者の肉体を乗っ取り、ロードスの歴史の影で暗躍し続けて来たのだ。
 今、彼女が宿っている肉体は、マーファの司祭であるレイリアという女性の物だった。

「そう…ご苦労様。貴方の功績は大きいわ」
「はっ……」

 流れる黒髪を紫色の薄い夜着の上へと流し、深みのある瞳で部下である男を見下ろすカーラ。
 薄い夜着は身体の線を鮮明に浮き上がらせ、目の前で膝を付いて控える部下の胸を高鳴らせる。
 彼は、彼女の企てた「フィアンナ王女の誘拐」の為に必要な下準備を、部下は見事に成し遂げて戻って着た所だった。
 フィアンナ王女の警護は厳しく、カーラとは言え密かに連れ出すのは困難であった。その為に部下に命じて、フィアンナ王女の侍女の一人を抱き込んだのだ。
 困難を予想された任務ではあったが、彼女の部下は見事に期待に応え、侍女との深い関係を築く事に成功した。

 部下の報告にカーラは満足げな笑みを口元に浮かべると、部下に特別な報酬を与えると言った。
 魔術を極めたカーラであれば、男の望む報酬を与える事が可能である。そしてレイリアの無意識の予想では、多くの人間と同じように金を求めるものだと決め付けていた。

「何でも、好きな物を望みなさい」
「は。では………カーラ様を」

 部下の言葉に、一瞬だけカーラは怪訝そうな表情を見せたが、すぐにその言葉の意味を理解した。
 床に膝を着いたまま見上げている部下の表情は、どこまでも真剣な眼差しで、レイリアを愚弄しているとは思えない。自分の欲望に正直に、報酬を求めた結果なのだろう。
 暫し思案げに視線を落としていたカーラだったが、意味ありげな笑みを口元に浮かべて、部下の要求を受け入れる。

「…いいわ。後で部屋に来なさい」
「ありがとうございます…」

 了承の言葉を得て、初めて男の顔に笑みが浮かんだ。



 深夜になり、交代で見張りにつく者を除き、多くの部下達はそれぞれの部屋へと戻って眠りにつく。
 カーラも寝所へと着え、眠りを妨げないようにと周囲の部屋からは人の気配が消える。
 そこへ、ゆっくりと進む忍ばせた足音。

「…失礼します」

 可能な限り音を発てずに扉を開け、薄明かりと窓から差し込む月明かりに照らされた部屋の中へと足を踏み入れる。
 それは先程カーラに報告をしていた部下の一人。名をギルスと言った。
 部屋の中のカーラは、薄い夜着だけを見に纏った姿で、寝台の上に横になっていた。
 ギルスは一瞬「眠ってしまわれたか?」と焦ったが、ギルスが覗き込むようにして顔を近づけると、カーラの瞳が薄く開けられた。

「遅かったわね…さあ、報酬を受け取りなさい。……今夜一晩限り、私は貴方の隷(しもべ)となるわ…」

 楽器の旋律のような声音に、微かに熱をこもらせてカーラは囁く。
 その言葉で、ギルスの鼓動は一気に速度を増し、薄明かりの中のカーラの肢体に唾を飲み込んだ。
 微かに灯された明かりと月明かりに照らされ、紫色の薄い夜着が透けている。豊満な乳房もくびれた腰も、下腹部の翳りすら見て取れる。

「…カ…カーラ様…」

 緊張を振り払うようにして搾り出された声は擦れ、微かに震えてすらいた。
 ギルスの緊張を思いやってか、カーラは寝台の上で身を起こすと、ギルスの手を取って身体を引き寄せる。
 カーラの腕に引かれるままに寝台の上へと転がったギルスの上に、覆い被さるようにしてカーラが身体を寄せる。

「今だけは…カーラと呼んで構わないわ…」
「……カーラ……」
「そう、それでいいわ……さあ、私に何を命じるの?」

 覗きこんだだけで吸い込まれてしまいそうな瞳に見つめられ、ギルスの中で一気に欲望が膨れ上がり、そのままの勢いで暴発して全身を包んでいた緊張を吹き飛ばしてしまった。
 目の前に迫ったカーラの黒髪へと手を伸ばし、指先に絡めながら叶わないと思っていた望みを告げる。
 いや、今のカーラはギルスの隷である。それは望みではなく、主に命じられたのと同じなのだ。

「口で…愛して欲しい」
「……解ったわ…」

 ギルスの言葉に素直に頷き、カーラは寝台の上にギルスを寝かせたまま、下腹部の方へと移る。
 先程までカーラの顔があった、今は天井しか見えないギルスの視界の外で、ベルトの金具を外す音が聞こえてくる。
 カーラはギルスのズボンの前を開くと、下着の中へと手を潜り込ませ、まだ固さを見せていない男性器を取り出した。
 指先の温かい感触が伝わり、ギルスは思わず首だけを動かして自分の下腹部を覗う。
 降ろした視線の先では、萎えた状態の男性器を片手で擦り上げるカーラの姿があった。
 カーラの細くしなやかな指先で擦り上げられ、ギルスの物は瞬く間に充血して固くなり、カーラの掌の中で天を突くようにそそり立っていった。

「……素敵よ…逞しくて…」

 先端を包んでいた包皮が捲れ、開いた先端が露になった男性器を、カーラは潤んだ瞳で見つめながら呟く。
 微かに上ずったようなその声音から、カーラもギルスと同じように興奮しているのが解る。
 そして軽く擦り上げ続けながら、カーラは濡れた唇を開いて舌先を伸ばし、男性器の付け根の辺りから舌を這わせていった。

「おぉ………」

 裏に走る筋に合わせて舌先を進ませ、先端の周囲を円を描くように舐めていく。
 暖かい舌の感触と微妙に送り込まれる刺激。そして憧れ続けた主の淫らな光景に、ギルスの欲望は際限なく高まっていった。
 隆々とそそり立っていた男性器は更に固さを増し、その反応にカーラは嬉しそうに笑みを浮かべ、潤んだ瞳でギルスに視線を合わせた。
 そしてそのまま、薄く紅の引かれた唇を開き、先端から男性器を口腔へと飲み込んでいく。

(…す…凄い……)

 暖かく濡れた感触が下腹部を包み込み、そしてゆっくりと動き出す。
 長い黒髪を揺らしながら顔を上下に動かし、唇で擦り上げるように刺激する。口内では舌が男性器へと絡みつき、その隅々までに舌先が這わされた。
 奥深くまで咥え込み、カーラが喉を鳴らして吸い上げると、その刺激に思わずギルスは呻くような声を上げる。

「うぅ……」

 カーラにとって持てる全てが自分の力であり、その全てを使って暗躍してきたのだ。過去には何度となく男と身体を重ねてきたのはギルスも知っていた。
 あの剛毅な気質のベルドでさえ、カーラの身体には夢中になったと聞いている。こうして口と唇での奉仕を味わっただけでも、その理由が垣間見えたような気がした。
 ギルスはカーラの動きに完全に身を任せ、生まれて初めて味わう快感を堪能し、夜が明けるまでの至福の時間を思い描く。
 部下となって以来ずっと思い描いてきた状況を手に入れたのだ、ギルスは体力の続く限り、カーラの身体を味わい尽くそうと心に決めていた。

 そんな風にギルスが思い描いている間も、カーラの奉仕は休む事なく続けられた。
 茎を握って擦り上げながら先端を舐めまわし、そして再び口いっぱいに含んで、激しく顔を上下させる。
 ここ暫くは任務が続いて女っ気の無かったギルスは、そろそろ限界が近づいているようだった。
 急速に腰の奥に熱さが込み上げ、それは下腹部で熱く溜まっていく。そして限界を超えた瞬間、カーラの口内でギルスの男性器が勢い良く跳ね、溜まっていたものを一気に吐き出した。

「………うっ」

 何も言わずに突然射精されたカーラだったが、微塵の驚きも見せずに舌を広げるようにして精液を受け止め、脈打ち続けるギルスの物から、最後の一滴までを搾り取るようにして口の中に含んだ。
 口腔に吐き出された精液を口に含んだまま、カーラは男性器から口を離してギルスの顔を見つめる。
 その視線に気付いたギルスは暫く意味が解らずにいたが、不意にその視線の意味を察して口を開いた。

「………飲め」

 まるで「おあずけ」を命じられた犬が許しを得たかのように、その一言でカーラは口腔に溜まった精液を嚥下していく。
 喉に絡みつく粘り気のある体液を、大きく喉を鳴らしながらゆっくりと飲み干していくカーラ。
 一適も口から零す事なく飲み干すと、紫色の薄手の夜着に包まれたカーラの肢体が震えた。
 その表情は恍惚とし、口からは荒い溜息が漏れている。

「はぁー……はぁー……」

 ギルスは射精の余韻から冷めると身体を起こし、両手で自分の身体を抱えるようにして腰を降ろしているカーラへと近づき、そのまま寝台へと押し倒した。
 そしてカーラの両腕を掴んで左右に開くと、夜着の上から豊かな乳房へと手を伸ばした。
 数え切れない時を過ごし、灰色の魔女と恐れられたカーラも、身体は若いレイリアの物だ。その乳房の感触は生地越しですら指先に吸い付き、柔らかな弾力が指先を押し返してくる。
 ギルスは夜着の肩紐に手をかけると、両肩から抜いていく。カーラもそれに協力して脱がせ易いように身体を浮かせ、少しずつ裸身を露にしていった。

「…綺麗だ……」
「…嬉しいわ……でも、誉めるだけで終わりでは無いのでしょう?」

 夜着を両足から抜き取ると、全裸になったカーラの身体を舐めるように見下ろすギルス。
 そんなギルスの呟いた素直な感想に、カーラは礼を告げるのと同時に両足を軽く開いて見せた。
 髪と同じ色の黒い翳りの奥に、淫らに綻んだ花弁が濡れて光っている。
 そのあまりに扇情的な光景に暫し見とれたギルスだったが、内なる欲望に突き動かされるかのように、カーラの両足の付け根へと顔を埋めていった。

「…はぁ………んっ……」

 両手の指で秘唇を左右に押し開くと、奥から覗く小さな膣口から、透明な蜜が零れ落ちて寝台へと流れていく。
 まるで呼吸するかのように微かに蠢く膣口に狙いを定めると、ギルスは舌を尖らせるようにして伸ばし、蜜をすくい取ってから膣内へと潜り込ませていった。
 舌に力を入れて膣口を押し開き、強引に膣内へと潜り込ませた舌先で、襞を捲るようにして刺激していく。
 入り口から僅かに進んだ部分。膣内では最も敏感な部分を舌で刺激されると、たちどころにカーラは鋭い反応を見せ始める。

「あっ……そこ……イイわ……んんっ……!」

 自ら両手で乳房を揉みほぐし始めるカーラ。
 その下腹部に顔を埋めているギルスは、舌先を器用に動かして、丹念に膣内を愛撫していく。
 膣内の奥からは次々と新たな蜜が溢れ出し、潜り込まされたギルスの舌を濡らし、そして外へと溢れ出していった。

「…はぁ………あんっ……」

 カーラが特に敏感な反応を見せる、膣壁の天井部分を丹念に舌先で刺激し続けるギルスの目に、その上部で微かに包皮から顔を覗かせた真珠のような突起が映る。
 溢れ出した蜜に濡れて光るその突起は、喩えなどではなく、本当に真珠のような輝きを放っているかのようだった。
 ゆっくりと膣内から舌を抜き出したギルスは、代わりに指先を膣内へと潜り込ませ、舌先に新たな獲物の所在を知らせる。
 舌先は秘唇の間を滑るように進み、その先端に突起を捕らえた。

「ああぁっ!、んんっ……んっ、んっ、んっ……はぁぅっ…!」

 寝所に響くカーラの艶やかな声音が、今までよりも激しいものへと一瞬にして切り替わる。
 ギルスは舌先を突起と包皮の間に潜り込ませるようにして、周囲を舐めるように舌を進ませて突起を包皮から導き出していく。
 そして完全に露出させてしまうと、口づけるように唇を寄せ、そのまま口内へと突起を含んだ。

「し…痺れるぅっ……あぁっ…!」

 唇を押し付けるようにして激しく吸い上げながら、口内では舌先が小刻みに動いて突起を弄ぶ。
 膣内へと潜り込んだ指先も、奥から溢れる蜜を掻き出すかのように激しく出入りし、淫らな水音を響かせていた。
 敏感な二箇所を同時に責められ、カーラは更に激しく乳房を揉みしだきながら、あまりの快感に自然に腰を浮かせていく。
 そして膣内の襞の一枚一枚がギルスの指先に絡み付くように伸縮し、小刻みな震えを伝えてきた。

「あっ、ああっ!、んくぅ………ひぃっ…!!」

 明らかにカーラは絶頂へと昇りつめようとしており、膣内から溢れ出す蜜の量も大幅に増加している。
 このまま己の指と口だけでカーラが達するのを見るのも昂ぶるものがあるが、ギルスも既に我慢の限界を迎えようとしていた。
 一度、放出して萎えていた男性器も、痛々しさすら感じさせる程に血管を浮き上がらせ、隆々とそそり立って脈打っている。
 ギルスは意を決して上半身を起こすと、絶頂の寸前まで昇りつめていたカーラの不満げな顔へと視線を投げかけた。
 一瞬の間の後、その視線の意図を理解したカーラは、妖艶な笑みを浮かべてギルスへと囁いた。

「いいわ…好きなように抱いて頂戴。普通に愛するのも、乱暴に犯すのも貴方の自由よ……私は貴方の隷なのだから」
「……ならば……隷に相応しく、犯してやる……尻を向けろ」

 自分を雇った主であり、ロードスの歴史の闇に暗躍し続けてきた「灰色の魔女」と呼ばれた女を、思うがままに陵辱できる喜びに、ギルスの口元が妖しく歪む。
 例え一夜限りの事だったとしても、今は目の前のカーラは自分の隷なのだ。
 カーラは命じられた通りに四つん這いになると、尻を高く上げた姿勢でギルスの視線に曝す。
 そして次の言葉が来る前に、自ら両手を伸ばして尻の肉を左右に割り開き、隷属の証として主となったギルスに言う。

「…どうぞ……思う存分、私を犯して下さい…」

 次の瞬間、ギルスはカーラの身体の上へと覆い被さっていた。
 そして、尻が大きく開かれて露になった秘唇の奥へと狙いを定め、そそり立った男性器を一気に突き立てた。

「あふぅっ…!!」

 大きな水音と共に膣内の奥深くまで打ち込まれた男性器。
 まるで全身を包み込まれるかのような錯覚すら覚える、その膣内の感触に思わず声を漏らすギルス。
 このまま包まれ続ければ、全身が蕩けていってしまいそうな、そんな感覚にギルスは夢中になって腰を降り始めた。
 両手でしっかりと腰を抱きかかえ、大胆かつ力強い動きで腰を前後に動かす。

「あっ…あっ……あぁっ!、入ってるっ…奥まで届いてるっ……はぁぁぁっ!!」

 大量の蜜を纏わり付かせて光る男性器は、秘唇を捲り上げるようにして激しく出入りする。
 大きく広がったその先端は膣壁を掻き乱し、力強い抽送は子宮口にまで届いて打ち付ける。
 背中から落ちる長い髪と、重力に引かれて紡錘形となった乳房が激しく揺れ動き、その動きに連鎖するかのように喘ぐ声も高まっていく。
 
「どうだ!、いいか!、そんなに気持ちいいのかっ!」
「ひっ、はぅっ…!、イイっ…気持ちイイですっ……!、もっと……もっと乱暴に犯してっ!!」

 ギルスに対する報酬としての演技とは思えない程、カーラは隷として犯される女になり切っていた。
 いや、演技などではなく、カーラの心の奥に秘めていた被虐性が目覚めたのか、更に奥に囚われたレイリアの性癖なのかもしれない。
 どちらにせよ、カーラは明らかに犯されていると思い込む事で、より一層の快楽を得ていた。
 そしてそれは、カーラの奥に押し込められたレイリアの意識も同様で、戸惑いと同時に激しい快感に溺れていた。

「この淫売め…犯されるのがそんなに嬉しいかっ」
「そ、そんな……あっ、はぁんっ!、…わ…私は犯されて喜ぶ淫売ですっ…だから……だからっ…」
「解っているとも…たっぷりと犯しぬいてやる!」
「ああぁっ!、ご主人様……もっと奥まで…奥まで貫いてっ……!!」

 更に抽送の速度を上げつつ、ギルスは全身を使って激しく貫いていく。
 その貫きは自然にカーラの腰が浮き上がってしまう程に激しく、膣壁を勢い良く擦り上げられる快感に、カーラは歓喜の声を上げて乱れた。
 普段は静かな寝所中に、ギルスの罵声とカーラの喘ぎ、そして結合部から漏れる水音が響き渡る。
 音だけではなく、部屋中に男女の交わり特有の芳香が充満し、それは鼻腔から流れ込んで二人の意識を蕩けさせていく。

「あぁんっ!、イイっ…イイのっ……はぁ…はぁ……んんっ!!、溶けちゃうっ……溶けちゃうわっ…!!」

 寝台の上に上半身を突っ伏し、貫かれるままに全身を激しく前後に揺らすカーラ。
 開け放れたままとなった唇の間からは絶え間なく艶やかな響きを持つ喘ぎが漏れ、その表情は恍惚としていた。
 ギルスは額から汗の雫を滴らせながら、疲労も忘れさって激しく腰を動かし続け、カーラの肉体を味わい尽くそうかという形相を見せる。
 うつ伏せに四つん這いになったカーラからは、そのギルスの表情を覗う事は出来なかったが、若々しく力強い抽送は全身を使って伝わってくる。

「はぁっ…はぁっ……」
「と、届いてるっ………凄い……こんなの初めてよっ…!、あっ、あんっ、あんっ、あんっ!、も…もう駄目っ…」

 レイリアの体を手に入れて以来、その肉体をも武器として暗躍し続けてきたカーラも、ギルスの若さ溢れる抽送の前に呆気ない最後を迎えようとしていた。
 断続的に小さな絶頂の波が全身から湧き上がり、柔肌を波立たせるかのように全身を駆け巡った後、それは体の一点へと再び集まって大きな波へと変化していく。
 肌の表面が泡立つような、そして全身の毛穴が開くかのような、震えが来る感覚にカーラの喘ぎも最高潮へと達する。
 大きく開かれた口は、息する間も無い程に切ない響きの嬌声を漏らし続け、全身からは濃厚な女の芳香が匂い立つ。

「イク……もうイクのっ…!、…きて…膣内に吐き出してっ……熱い精液を飲ませてっ……はぁぁっ!!」
「おおぅっ……出すぞ!」
「はぁっ、はぁっ、んんーっ……イクッ!、イッちゃうぅっ!、イックぅーーーっ!!!」

 真っ白なシーツに爪の跡を走らせながら、カーラは上半身を仰け反るようにして、激しく絶頂へと達した。
 絶頂の瞬間の膣内の収縮に合わせ、ギルスも堪えていた物を解放して、一気にカーラの膣内へと精を放つ。
 脈打つ男性器から吐き出された白濁した体液は、熱い奔流となって子宮にまで到達する。
 体内の奥深くに流し込まれた精液の温かさを感じながら、カーラは余韻に浸るかのように身体を震わせていた。

「はぁ……はぁ………」

 半分程萎えた物を抜き、呆然とカーラを眺めるギルス。
 その視線の先では、開いた膣口の奥からギルスの放った精が溢れ出し、寝台へと流れるように零れていた。
 そしてギルスは疲れた身体を寝台へと投げ出し、疲労から、そのまま深い眠りへと落ちていった。



 翌朝、窓から差し込む朝日に顔を照らされ、その眩しさで目覚めたギルス。

「ん……」

 傍らには、昨夜と同じく裸のままのカーラが寝台の上に腰を降ろし、ギルスへと優しい笑みを投げかけていた。
 明るい陽射しの下で見るカーラの肢体は、また違った魅力を溢れさせている。
 ギルスは思わずカーラの乳房へと手を伸ばしかけていた。
 だが、その手は寸前の所でカーラの手によって押さえられ、目的の場所へと辿り着く事は無い。

「駄目よ………続きは、貴方の頑張り次第ね」
「…………はい」

 微笑んだまま言うカーラに頷き返すと、ギルスは微かに頬を染めて恥ずかしげな表情を見せた。
 カーラは脱ぎ捨てていた夜着を手に取ると、寝台から降りるすれ違いざまに、ギルスへと唇を重ねた。
 唇が触れ合うだけの口づけだったが、ギルスにとっては次回への約束手形のような物に感じられる。
 また功を立てれば、褒美を求める機会もあるだろう。それを目標にして、また任務に励む事ができる。
 夜着を身にまとって部屋から出て行くカーラの後姿を見送りながら、主への忠誠と思慕の念を深めるのだった。

END