本当の理由

 

本当の理由

「結構……上手くなってきましたね」
 そう呟きながら、速水は自分の股間に顔を埋めている素子の髪を指で掬った。

 薄暗い教室の片隅。普段は授業を受ける為に座っている椅子に腰を下ろした速水は、ズボンを膝下まで降ろしていた。
 その前には素子が床に直接腰を下ろし、速水の露になった股間に顔を埋め、その男性器を熱心に愛撫している。
 裏側から舌先を這わせるように舐め上げ、全体を口に含むと唇で刺激しながら頭を前後に動かす。当然、口内では舌を絡めて刺激する事も忘れない。
「ん……んっ……ぢゅぶ……」
 自分の奉仕を誉められたのが嬉しくて、素子は更に熱心に奉仕を続けた。
 茎の部分を上下に擦り上げながら、舌先をつき出して亀頭の先端をチロチロと刺激する。敏感な部分を刺激され、速水は思わず顔を歪めた。
 素子は速水のその表情が堪らなく好きだった。自分の奉仕で感じてくれている。そう思うだけで素子の女の部分は熱く潤ってくる。
 下着に染み出した暖かい蜜を感じながら、素子は速水の表情を上目使いに覗った。
 その熱く潤んだ瞳を見つめ返し、速水は微笑みながら小さく頷く。そしてそれを合図に、素子は床から立ち上がって腰のベルトへと手を伸ばした。
 ベルトのバックルを外し、制服のキュロットスカートから両足を抜く。露になった淡いピンクの下着には、大きな染みが広がっていた。
「……恥かしい…」
 染みの広がりを自覚していた素子は、それを見られる事の羞恥に頬を染めて速水から視線を逸らす。
 レースによって僅かに飾られたショーツは、染み出した蜜によって淡い翳りが浮かび上がっている。
「綺麗ですよ……それに」
 ゆっくりと椅子から立ち上がり、素子へと歩み寄った速水は染みの広がったショーツのサイドに手をかけ、ゆっくりと太股の中程まで降ろしていった。
「凄く魅力的ですよ…」
 降ろされたショーツの中心と、素子の女の部分が粘性のある乳白色の液体で糸を引いた。
 素子の頬が更に羞恥に染まっていく。
 速水は指を伸ばし、人差し指と薬指で素子の秘唇を割り広げると、躊躇う事無く中指を埋めていく。そして素子の秘所は小さな水音と共に、その指先をすんなりと受け入れた。
「んっ……はぁ……」
 思わず素子は切なげな吐息を漏らし、速水の背中に両手を廻して身体を預けるように抱きつく。
 肩に顔を預けてきた素子の耳元で、速水は小さく囁いた。
「原さんのここ…凄く熱くて…締め付けてきますよ」
 素子はもう限界だった。強く速水の身体を抱き締めながら、切羽詰った声音で叫ぶ。
「お願いっ……もう限界なの…切ないのぉっ……!!」
 普段の『凛』とした素子の姿からは想像できない、女の弱さを露にした姿。無意識のうちに速水の頬が緩んでくる。
 背中と髪を優しく撫でると、速水は素子の顔を自分へと向けさせ、唇を重ねていった。

 自分の上着を床に敷いた上に、下半身だけ制服を脱いだ素子を寝かせる。そして素子の両足を軽く開かせると、その間に自分の身体を滑り込ませ、男性器の先端を素子の秘所へと当てがう。
 速水がその状態で素子の表情を覗うと、素子は頬を染めながら黙って小さく頷き返した。
 ゆっくりと速水の腰が進み、男性器の先端が素子の体内へと埋もれかけると、一気に全てを埋没させた。
「……はぁぁぁぁんっ!!」
 埋没した男性器の圧力によって押し出される愛液と素子の甘い吐息。
 速水の男性器を温かい粘膜が包み込み、緩やかに蠢くように締め付ける。そこから生み出される快感に、速水の腰が微かに震えた。
 身体の下で大きく胸を上下させ、荒い吐息を漏らす素子を見つめると、おもむろに速水は腰を動かし始めた。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、はぁんっ、んんっ…」
 制服の下に隠れた標準よりもやや大きめの乳房が、速水の動きに合わせて淫らに前後に揺れる。
 速水は素子の両足の膝の裏に手を差し入れると、脚全体を持ち上げるようにして素子の胸元へ近づけ、Mの字に押さえつけた。
「原さん…ほら、見えるでしょ」
 言われるままに視線を落とすと、自分と速水との繋がった部分が視界に入った。
 秘唇は淫らに捲れあがり、溢れ出した蜜で互いの身体が濡れて光っている。その光景と耳に届く淫らな水音が、素子をより高めていった。
「はぅんっ…んくぅ……嫌……恥かしい……んんんっ、あぁっ!」
 しかしその恥かしさも、愛される喜びに満たされた今の素子にとっては、快感を高める要因の一つとなってしまう。
 外見からは想像できない程に逞しいは速水の男性器に貫かれ、羞恥心を刺激される状況下で、素子の意識は次第に快感だけに埋め尽くされていった。
 より深く速水を受け入れよう、もっと激しい快感を得ようと、自然に素子の腰が淫らに動き出す。
 互いにより相手を感じようとする動きのリズムが重なり合い、相乗効果となって更なる快感を二人に与えた。
「いいっ!、速水君っ…あっ、あっ、あぁんっ!、速水く…ん……ふぁぅっ…!!」
 粘膜に覆われた壁面を激しく擦り、子宮の入り口を先端で叩く。
 緩急と動きに変化を付けた速水の巧みな腰使いに、素子は我を忘れて歓喜の叫びを漏らし続けた。

 何度も何度も絶頂に達した。それでも飽く事無く新たな快感と、その先にある絶頂を追い求めて、速水の腰に両足を絡ませ、自ら腰を擦り付けるようにして淫らに悶える素子。
 溢れ出した愛液は敷かれた速水の上着にまで染みを広げ、二人の繋がった部分からは淫らな水音と甘美な芳香が立ち上っている。
「イクッ!、また…またイっちゃうのっ…!!」
 素子がそう叫び、膣内の肉壁が速水の男性器を激しく締め付ける。
「くっ………僕もそろそろ……」
 これまで一度も精を放たずに腰を打ち付け続けていた速水も、流石に限界を感じていた。
「出しますよ……原さんっ」
 素子の腰を抱え直し、更に勢いを付けて抽送を繰り返す。
「来てっ……!、膣内に…膣内にいっぱい出してっ……!!」
 膣内の最も深い位置まで男性器を打ち込み、速水は押さえていた力を解放する。
 同時に、素子の子宮を速水の精が勢い良く叩いた。
 微かに腰を震わせながら、最後の一適まで素子の体内へと注ぎ込む速水。素子の膣内も痙攣を繰り返し、その全てを飲み込もうとした。

「……どうして名前で呼んでくれないの…?」
 行為が終わり、床の上で抱き合う二人。
 素子が少し不満気な声音で問い掛けた。
「…………だって、皆の前でも名前で呼んじゃいそうな気がするんだもん」
「……私は気にしないのに…」
 速水の答えに、消え入りそうな小声で呟く素子。その言葉は速水の耳には届かなかった。
 もしも届いていたとしても、速水は答えなかっただろう。
 そう…『善行に悪いから』などとは言えるはずもない。