可愛い子猫

 

 可愛い子猫


「お疲れ様、エリカ君」
 ステージを終えたばかりのエリカを労おうと楽屋を訪れた大神。
 そんな彼を出迎えたのは、ステージ衣装のままで椅子に腰を下ろしたエリカだった。
「あ、大神さん」
 こぼれそうな程の笑顔で大神を出迎えたエリカ。頭には猫の耳をあしらった飾りが乗ったままだ。
 大神は改めてエリカのステージ衣装を眺めたが、明るく活発なエリカにはとても良く似合っていると思う。
 しかし、ステージ上ではそれ程は気にならなかったが、こうして明るい楽屋で間近に見ると、身体の線がはっきりと出た衣装は色っぽくもある。
 豊かな胸の脹らみに合わせて隆起している紫色の衣装に、思わず大神は視線を逸らしてしまった。
「どうかしたんですか―――――?」
 エリカは不思議そうに小首を傾げるが、まさか君の胸を見ていたとも言えず、大神は言葉を濁して苦笑いを浮かべる。
「??」
「い、いや…何でも無いんだよ」
 可能な限り平静を装って再びエリカへと視線を戻すが、どうしても視線は胸はスラリと伸びた脚へと向いてしまう。
 再び顔を赤らめて視線を逸らす大神に、流石のエリカもその理由を察した。
「あ………もう…大神さんったら…」
 頬を朱に染めて両手で身体を覆うように抱くエリカ。
 その視線は微かに咎めるかのような光りを宿し、真っ直ぐに大神を見つめていた。
「……すまない」
 エリカの視線に大神は素直に頭を下げ、そのまま楽屋を出ようと踵を返した。
「……いつも…そんな風に見てたんですか?」
「え…」
 扉へと手を伸ばした大神の背中に、寂しげなエリカの言葉が突き刺さる。
 エリカはただ人々を楽しませたい。それだけを思って舞台に上がっているのだ。
 そんな彼女の気持ちを傷つけてしまった事に、大神は激しい自責の念に捕らわれる。
「………」
 大神は背中の向こうに居るエリカが泣いているのではと、再び詫びようと勢い良く振り返った。
 しかし、椅子に座ったエリカは、頬を染めてただ照れた笑みを浮かべているだけだった。
「エリカ君…」
「他のお客様にそんな風に見られるのは嫌ですけど………大神さんなら…」
 責められる言葉を予想していた大神に、エリカは予想外の言葉を投げかける。
 エリカは黙って立ち上がると身体を覆っていた両手を外し、その身体の線がはっきりと出た衣装を大神の視線に曝した。
「私……大神さんの事…」
 そう呟くエリカの肩が微かに震えている。
 エリカの気持ちを察した大神は、戸惑いながらもエリカへと近付いてゆき、その両肩へと手を伸ばした。
 間近に迫った二人の視線が絡み合う。
「エリカ君……俺でいいんだね」
「…はい…大神さん………大好きです…」
 ゆっくりとエリカの両瞼が閉じられ、大神の顔が近付いていく。
 そしてそっと二人の唇が触れ合った。

 唇を触れ合わせるだけのキスを繰り返した後、エリカは大神の差し出した舌を子猫のように舌を伸ばして啄ばむ。
「……ン………んふぅ…」
 廻した手で背中を優しく撫でながら、大神は激しく舌を絡めていった。
 エリカの口腔で二人の舌が艶かしく絡み合う。
 互いの口内を唾液が行き来し、お互いにそれを嚥下していく。
 唾液の糸を引かせながら二人が唇を離した頃には、エリカの瞳は熱く潤み、その頬は赤く上気していた。
「大神さん……」
 大神の胸板に顔を埋め、甘えるように名前を口にするエリカ。
 そんなエリカの柔らかな髪を優しく撫でながら、大神は背中に廻していた手をゆっくりと降ろしていく。
 くびれた腰を渡ってその手は更に進み、尻尾の飾りの付いたお尻へと辿り着いた。
「あ……」
 優しく撫でるように大きく掌を動かす大神。
 大神の胸元でエリカは小さな溜息を漏らしながら、強く大神の身体に抱きついた。
 エリカを気遣いつつも大神の手は次第に大胆になり、可愛らしいエリカのお尻の下を通って、その先の泉へと伸びていく。
「そ…そこはっ……はぁっ……!」
 薄手のステージ衣装の布越しに、大神の指先はエリカの柔らかな秘肉を探り当てる。
 そしてその縁をなぞる様に指先を動かし、少しずつエリカの身体から力を奪っていった。
「んくぅ……ふぁっ……はぁんっ……!」
 大神の身体にしがみ付き、その胸元で甘い叫びを漏らすエリカ。
 既に大神の指先は、薄いステージ衣装の生地から溢れ出した蜜で濡れて光っている。
「大神さぁん……身体に…力が入らないよぉ……」
 その細い両肩を震わせながら、エリカは切なげな声を漏らして大神に訴える。
 大神は再びエリカに唇を重ねると、背中に両手を廻してステージ衣装を脱がしにかかる。
 指先を頼りにファスナーを探り当て、唇を重ねたままそれを下ろしていった。
 両肩から衣装を抜いて下していくと、ステージ衣装の下には何も身に付けていないエリカの身体が現れる。
 胸から腰、そして両足まで衣装から抜くと、改めて大神はエリカの全身を眺める。
「……そんなに見られたら……恥かしいです…」
 均整の取れたプロポーションに、形の整った愛らしい乳房。
 どれもが大神の視線を奪って離さない。
「綺麗だよ…エリカ君」
「…恥かしい…」
 身体を隠そうとするエリカの両腕を押さえつけ、大神は乳房へと顔を近付けた。
「はぁっ……そこはっ……んんっ…!」
 既に固く尖った胸の突起を舌先で舐めると、そのまま口に含んで口内で転がすように舌先で弄ぶ。
「あっ……ダメっ……立ってられなくなっちゃう……あぁんっ…!」
 乳房とその先端から広がる甘美な感覚に、エリカの膝はガクガクと震え出す。
 そのまま崩れ落ちそうになるエリカを抱きかかえ、大神は床へと優しく寝かせた。
「冷たくはないかい?」
「はい…大丈夫です…」
 横になったエリカは潤んだ瞳で傍らに膝を付いた大神を見つめる。
 微かに荒くなった呼吸で胸は隆起を繰り返し、それに合わせて乳房も微かに揺れていた。
 再び大神は胸の突起を口に含んで刺激しながら、今度はエリカの両足の間へと手を伸ばす。
 優しく太股を撫でながら手は進み、淡い翳りへと瞬く間に辿り着く。
 無意識のうちに膝に力を込めてしまうエリカ。
「大丈夫…力を抜いて…脚を開いてごらん」
 吐息を吹きかけながら耳元でそう囁かれ、エリカは小さく頷きながらゆっくりと脚を広げていく。
「あっ……あぁっ……!!」
 柔らかな秘肉を割って進んだ指先は、濡れた秘唇の間へと滑り込む。
 そして溢れ出した蜜を指先に絡めながら、大神の指がゆっくりと出入りし始めた。
 入り口からそれ程深くない部分までを、ゆっくりと掻くように出入りする大神の指先。
 指が動く度に発せられる小さな水音が、エリカの耳にも届いていた。
「こんなに濡らして…いけない子猫ちゃんだ」
 股間へと伸ばしていた指先を、大神はエリカの目の前で開いてみせる。
 その指先は根元まで蜜に濡れ、二本の指の間を糸のように伝っていた。
「ふぁっ……んにゃぁ……」
 ステージ衣装は脱ぎ去ったが、頭にはまだ猫の耳飾りを付けたままのエリカが、大神の言葉の通りに子猫のような声を上げた。
「そろそろ…いくよ」
 大神は微かに開かれたエリカの両足の間へと身体を割り込ませると、覆い被さるようにしてエリカに囁きかける。
 その囁きに無言で頷きかえし、エリカは大神の首へと両手を廻した。
 反り返る程に固くなった自分の分身を上から押さえつけながら、大神は蜜に濡れたエリカの泉へと先端を沿える。
 そして体重をゆっくりと乗せながら腰を進めていった。
「んっ……んくぅっ…………はぁっ……!!」
 微かに感じる抵抗感。しかしエリカの表情に苦痛の色は無い。
「…大丈夫かい?」
「大…丈夫…です……続けて下さい…」
 大きく胸で息をしながら、エリカは零れ落ちそうな程に涙を浮かべた瞳で大神を見つめる。
 大神はそのままエリカへと唇を重ね、その瞬間に全てをエリカの体内へと埋め込んだ。

 エリカへと全てを埋没させたまま動かない大神。
「大神さんのが…入ってるんですね……一つになってるんですね……」
 愛する男と結ばれたという思いが一気に溢れ、涙となってエリカの頬を伝う。
「ああ……」
「大神さん…愛してます……」
「僕もだよ…エリカ君…」
 再び唇を重ねて舌を絡ませ合う二人。
 そしてエリカの腰を抱えるようにして、大神の腰がゆっくりと動き始めた。
「あっ、あぁっ、あんっ!、んっ…くふぅっ…ふぁっ…!」
 形の整ったその乳房を、大神の動きに合わせて揺らしながら悶えるエリカ。
 微かな苦痛も瞬く間に吹き飛び、全身を甘い快感が駆け抜けている。
 大神は時折エリカの名前を囁きながら、エリカを気遣った優しい抽送を繰り返す。
「はぁっ……大神さんも…大神さんも気持ち良くなって下さいっ……んんっ…!」
 控えめな動きであるのを察したのだろうか、エリカは健気な言葉で大神へと訴えかける。
 エリカの身体が気にかかったが、その気持ちに応えるべく大神は少しずつ動きを早めていった。
「んぁっ!、んっ、はぁっ、あぁっ、あっ、あっ、あぁんっ!」
 若々しく柔軟なエリカの身体も激しくなる大神の抽送を受け止め、それを着実に快感へと昇華させていく。
 狭く窮屈なエリカの膣内の感触に追い詰められながらも、大神は巧みに動きに変化を付けてエリカを導こうとする。
 しかし、不意にエリカの膣内がざわめくように蠢いた。
「くっ…エ…エリカっ…」
 その激しい快感に大神の表情が歪む。
「お、大神さんっ……変…変なの……私…私っ……!!」
 何かに耐えるかのように激しく頭を振るエリカ。
 目覚めたばかりのエリカの若い身体は、初めての絶頂へと昇りつめようとしていた。
 痙攣するかのように膣内が断続的に大神を締め付け、激しい快感を大神にもたらす。
 それを必死に堪えながら、大神は尚も激しくエリカを貫き続けた。
「あっ、あぁっ、ダメぇっ…大神さんっ…大神さんっ……!!」
 大神の背中に廻していたエリカの手が、その広い背中に紅い筋を何本も走らせる。
 そしてその瞬間は訪れた。
「やっ……あっ……イクっ……イクぅっ……!!」
 大神の胸板に顔を押し付けるようにして背中を丸め、エリカは初めての絶頂へと昇りつめた。
 その瞬間、エリカの膣内はこれまで以上に激しく大神の物を締め付け、流石に耐えきれずに大神も最後の瞬間を迎える。
 エリカの体内から抜き去る暇すら無く、大神はその体内へと放出していた。
「うっ……エリカ君っ……!」
 絶頂の余韻の中で流れ込む大神の精。
 温かいその体液を身体の奥で受け止めながら、エリカはもう一度小さく達した。
「あっ……あぁっ………!」

 楽屋の床の上で抱き合ったまま見つめ合う二人。
「大神さん……」
「エリカ君……」
 二人だけの空間を邪魔するかのように、不意に廊下を歩く足音が響いてくる。
「あ……グリシーヌさんっ!」
「いかんっ…エ、エリカ君、早く何か着るんだ!」

「ん?…居たのか大神」
「あ、いや…その…」
 間一髪、グリシーヌが楽屋へと来る前に着替え終わった二人。
 怪訝そうに大神とエリカを見つめるグリシーヌに、横目で苦笑いを浮かべ合う二人だった。