「Graceful Prostitute」ロードス島戦記

 

 男から得た情報を頼りに、ディードは再び歩みを進めた。
 ハイエルフとは言え、一人きりでの旅は困難を極め、何度と無く危険な目にも陥った。
 しかしそれも、パーンの事を思えば耐えられる。言い換えればパーンの消息を掴むまで、多少の危険や困難でディードが歩みを止める事は無いのだ。
 ロードス全土を渡り歩き、一月、二月と時は流れ去っていく。
 同時にディードの中にも焦燥感が生れ、怪しげな情報に飛びついて身を脅かされる事もあった。

(パーン……)
 疲れきったディードが丘から見下ろす先に街がある。信頼できる情報を集め、分析した結果がその街だった。
 街とは言っても村が少々大きくなったといった規模で、街の中心には小さな砦のような城が建っていた。
 情報によれば、その砦の地下牢にパーンは捕らわれていると言う。
(待っててパーン……)
 外套を頭からすっぽりと被り直すと、ディードは街へと丘を降りていった。

 まずは砦でも高位の人物が出入りしそうな、高級な造りの酒場へと脚を進める。
 頭から外套をすっぽりと被ったディードを見て、店の人間は訝しげな視線を遠慮無く投げつける。
 だがそれも、ディードが懐から出した金貨を見た途端、あからさまに好意的な態度へと変わった。
「いらっしゃい。旅の方ですか?」
「ええ……」
 カウンターに腰を降ろしたディードに、店員は愛想良く話しかける。
 しかし必要以上に店の人間と言葉を交わすのを避け、ディードは不自然にならないように気を付けながら、店の中を一通り見廻した。
(奥…ね……)
 身分の高い人間が一般客と同じように席につくはずが無い。
 ディードの予想通り、店の奥に設えられた個室に目的の人間達は居た。
 当然、何人かの護衛も連れているだろう。焦る感情に任せて踏み込む事は出来なかった。
(どうやって繋がりを持つか…)
 店員が出した葡萄酒に口をつけながら、ディードは焦る心を押さえ込んで思案を巡らせた。
 剣の腕にも聖霊魔法にも自信はあったが、しかし相手の人数さえ解らない状況では力任せに事を運ぶ訳にもいかない。
(人数を確認して…できれば1人…2人になる状況を待つしかないわね…)
 そう決めると、ディードは店員に声をかけて店を出た。
 そして人目を気にしながら店の裏側へと廻り込む。
 身分の高い人間なら、表から出入りする事は少ないだろうという判断だった。そしてそれは見事に的中する。
(来た…っ)
 店の人間に見送られて、裏口から数人の護衛らしき男達に囲まれた男が現れた。
 その服装から、明かに身分は高いと判断できる。
 ディードは男の後を、足音を忍ばせて密かに追った。

 男は人気の少ない裏通りを選んで歩き、一軒の館の前で足を止めた。
 護衛の男達に何やら言い残すと、男は一人で館の中へと入っていく。
 ディードはそっと残った護衛達に近づき、彼らの会話に聞き耳を立てた。
「俺達も一回ぐらいは…なぁ?」
「無理無理。俺達の給料じゃ1年間貯めたって相手してもらえねぇよ」
「全くだ」
(娼館…ね…)
 男達の会話からディードが察した通り、そこは身分の高い人間や金持ち達だけを相手にした娼館だった。
 二階の明りの灯っている部屋を見上げながら、ディードは思案を巡らせる。
 娼館なら男が一人になる時間が必ずある。問題はそこへどうやって忍び込むかだ。
(………………)
 考えを巡らせた結果。ディードは最も安全で確立の高い方法を選んだ。
(今更…手段を選んではいられないわ…)
 その日はその場所を離れ、翌日の日中にディードは再び館を訪れた。
 ディードが館の扉を空けて一歩中へと進むと、屈強な体格の男が二人、ディードの行く手を遮った。
「何の御用でしょう」
 頭から外套を被ったディードを不信人物と断定したのだろう、その声音には威圧の響きが含まれていた。
 しかし、ディードが外套から顔を出すと男達の表情が驚きで固まる。
「…ここで…働きたいのだけれど」

 ディードの「旅の途中で路銀が尽きた」という理由を信じた訳では無かったが、店の主人は働くを事を許した。
 当然、ディードの美貌ならばかなりの高値になると判断したからだったが、もしもディードが何か企んでいたとしても、街の高位の人間と繋がりのある主人は「女一人ぐらいで何ができるか」と考えたからでもあった。
 そして長旅で汚れた身体を洗い流し、下着としては機能しそうもない薄手の布地を身につけさせ、その日から客を取らされる事になった。
 この方法を選んだ時に覚悟は決めてあった。それに何より、身体を汚される程度の事でパーンを助けられるのなら。そんな思いもあった。
 最初の客は館の常連客である商人だった。
「あ……んふぅ……」
 客である男に組み敷かれ、その瑞々しい肢体を曝け出す。
 パーンを助ける為だと心に言い聞かせていても、遊びなれた商人に抱かれてディードは女の喜びを感じてしまう。
 甘く香の炊かれた部屋の寝台の上で、男に貫かれて嬌声を上げるディード。
「はぁんっ……!!」
 何度も何度も絶頂へと導かれ、行為が終わる頃には我を忘れて男を求めていた。
(………早くあの男が来ないと…私……)
 自分が快楽の波に飲み込まれてしまう事を恐れながら、ディードは毎夜、数人の客の相手を続けていった。

 3日、5日、10日と時が過ぎ、相手をした客の人数もかなりの数になった。
 館の主人が売り込んだのか、客の間で噂になったのか、多い時では一番に5人の客を相手にし、その中には二度目、三度目といった客も多く含まれていた。
 それはディードにとって好都合な事でもある。
 ディードの事が噂になって広まれば、必ずあの男もディードの元へとやって来るだろう。
(もう少し……もう少しの我慢よ……)
 パーンの事だけを心の支えにし、今夜もディードは客の相手をする。
 あの男が現れるその日を待ちながら。

 今夜の二人目の客は、既に五度もディードを買った男。余程ディードを気に入ったのか、決して安くはない金額を払って毎夜の如くディードの元へと通っている。
 最初の客との行為で敏感になっているディードの肌を、男の舌が滑るように唾液の筋を残して進む。
「ふぅん……ん……あふぅ……」
 男に身を任せ、不本意ながらも媚びるような瞳で男を下から見つめる。
 ディードを求めてやってくる客達は、皆が全てその瞳に魅せられていた。
 客達の多くがディードの心に男の姿がある事に気付いていた。それがどんな男かまでは解らなかったし、気にもしなかったが、別の男に心を寄せる女を抱くという行為は客達を興奮させた。
 心に別の男の姿を抱き、それでいて行為の最中は客に媚び、快楽に甘い叫びを漏らす。
 そんなディードに客達が夢中になるのも無理はなかった。
「さあ、今日も甘い声で鳴かせてやるぞ…」
 男は両手でディードの太股を押し開き、既に熱く潤んでいる蜜壺を覗き込む。
 羞恥で赤く染まった顔を両手で覆い隠し、指の間から客を覗く瞳も、秘所と同じように熱く潤んでいた。
 髪の色と同じ淡い恥毛を掻き分け、大量の蜜を蓄えた泉へと舌を伸ばす。
 ちゅく…っと微かな水音と共に開かれた秘唇の奥から、膣内に溜まっていた蜜が零れ落ちる。
「あぁ……んんっ……」
 羞恥とも喜びとも取れる溜息を漏らし、ディードは期待に満ちた表情で男を眺めていた。
 その熱い視線に応えるかのように、舌を伸ばして真珠のように濡れて輝くクリトリスを転がした。
「っ……!!」
 声にならない叫びを上げて、ディードは細いその身体を浮かせて震えさせた。
(し、痺れちゃうっ……!)
 男はディードの漏らした蜜と唾液の混ざった液体を塗し、傷つけないように気を使いながら丹念にクリトリスを愛撫する。
 唇を押し付けて吸い上げ、口に含んで舌先で転がすように刺激する。それだけでディードは一気に昇りつめてしまいそうになってしまう。
「ふぁぁぁんっ……!!」
 敏感なディードの反応に気を良くし、男は熱のこもった愛撫を更に続けていった。
 クリトリスを弄んでいた舌が秘唇の間へと潜り込み、適度な厚みを持った襞の一枚一枚を丹念に舐め上げる。
 ザラついた舌の感触に、ディードは身をよじらせながら男の頭を両手で抱え込む。
(やっ…いいっ…そんなにされたらっ………!)
 まるで恋人を相手にするかのような、愛情のこもった丹念な男の愛撫に、ディードの身も心も蕩けていく。
 蜜壺を掻き乱され、全身を快感の波に包まれながら、次第に我を忘れていく。
「あふぅ……んっ…くはぁっ!、……はぅん……あぁんっ…!!」
 まるで果汁でも啜るかのようにディードの漏らす蜜を舐め取り、舌と指とを巧みに使い分けて男はディードを高めていく。
「こんなに濡らして…いやらしい娘だな…」
 ディードの股間から顔を上げた男は、濡れた指先を見せて囁く。
 自分の身体が反応した証を見せられて、ディードの頬が羞恥で朱に染まる。
「そろそろ欲しいんじゃないのか?」
 まるで心を見透かしたかのような男の言葉に、ディードは躊躇いながらも頷き返す。
 男は身を起こしてディードの両足を抱え直し、いきり立った自分の分身に手を添えて、微かに蠢きながら蜜を流し続ける秘唇へと狙いを定めた。
「入ってくところを見てるんだぞ…」
 言われるがままに首だけを動かして自分と男の間へと視線を移すディード。
 丁度、男の物の先端が秘肉を割開いて、潜り込もうとする寸前だった。
(ああ……入って……入ってくる……あんなに…大きいのが…)
 濡れた襞を掻き分けて、男の物がゆっくりと進んでいく。
 秘所を押し広げられる感覚に表情を歪めながらも、その瞳は期待と興奮と快感に満ちて輝いていた。
「あ……あぁっ……んくぅっ………!!」
 淫らに咲いた花弁は男の物を根元まで咥え込み、ざわめくように膣内の襞が蠢く。
「ふう…全部入ったぜ…感じるだろ」
 ディードの上に覆い被さり、髪を撫でながら耳元で囁く男。そしてそのまま動かずに耳朶の辺りへと舌を這わせる。
 挿入しただけで動こうとしない男に、次第に焦れていくディード。
 欲求に突き動かされるかのように身をくねらせ、男の背中に手を回して強く抱きつく。
「焦らさないで……お願い……動いて……」
 すすり泣くように哀願するディード。
 男はディードの言葉を遮るかのように唇を奪い、荒々しく口腔へと捩じ込ませた舌を絡める。
「ん……んんっ……」
 男に媚びるかのようにディードも積極的に舌を絡め返し、背中へと回した手にも力がこもる。
 愛らしいディードの唇を解放してからも、男は動かずに再び舌を耳朶へと運ぶ。
 長い特徴的な耳が小さく震えた。
「お願いっ……欲しいのっ…!、…突いて…気持ち良くしてっ…私のいやらしい穴をめちゃくちゃにしてぇっ…!!」
 焦らし続ける男に耐えきれず、ディードは男の身体にしがみ付いて泣き叫んでいた。
 途端に、男の抽送が開始される。
 緩やかだが力強く送り込まれる抽送に、待ち焦がれていたディードは嬌声を響かせて乱れた。
「あっ、あっ、あっ、いいっ!、いいのぉっ!、もっと!、もっと擦ってっ……!」
 大きく広がった男の物の先端が動く度に、粘膜に覆われた膣内の襞を掻き乱す。
 両足を男の腰に絡ませて、より深く迎え入れようとディードは腰をくねらせる。
 男もそれに応えるかのように、少しずつ抽送の速度を上げていき、ディードの蜜壺を深く貫く。
「はぁ……深いよぉ……奥まで…届いてるのっ……んぁっ!!」
 喜びの涙で顔を濡らし、火照る身体を男に押し付けて甘く叫ぶ。
 その表情と声音が男を更に興奮させ、ディードの膣内で男の物が更に大きさを増した。
「ひゃぅっ!!、やっ…すごっ…中で……中でまた大きく……っ!!」
 男は上半身を起こしてディードの両足を抱え直し、角度を変えて更に深く鋭く貫き始めた。
 先端が子宮の入り口を叩き、その度に痺れるような快感が身体を駆け抜ける。
「あっ!、あっ!、んぁっ!、駄目っ!、もうイクっ!!、イっちゃうぅっ!!」
 寝台の上でディードの身体が大きく跳ね、続いて痙攣するかのように震えだす。
 肉襞の収縮が男にもディードの絶頂を伝えていた。
 一度動きを止めて、男はディードの前髪をかき上げて顔を覗き込む。
「もっと気持ち良くなりたいだろ?」
 最初の絶頂の余韻に包まれながら、虚ろな表情で男の言葉を聞くディード。
 男の言葉は麻薬だった。
 今以上の快感を得られるのならばと、ディードは黙って頷き返す。
 男の目が妖しく輝いた。

「んくぅ………」
 持参した麻縄でディードの両手と両足を縛り上げた男は、更に厚手の布でディードの視界を奪う。
「視覚を奪われて…他が敏感になっているだろう?」
 男の言う通り、ディードは暗闇の中で自分の感覚が鋭くなっていくのを感じていた。
 不意に男の手が肌に触れる。
「さぁ、続きをしてやろう…」
 男はディードの身体を転がしてうつ伏せにさせると、腰を抱えて持ち上げた。
(あぁ……来るのね……)
 期待に胸が高鳴り、それを表すかのように秘唇の奥から蜜が勢い良く溢れ出す。
 ゆっくりと男の物の先端が秘肉を押し開き、続いて一気に全てが打ち込まれた。
「はぁぁぁぁっ!!」
 先程とは違い、男は始めから勢い良く抽送を送り込んでくる。
 後手に両手を縛られたディードは、上半身を寝台に投げ出して、男に貫かれるがままに嬌声を響かせた。
(凄いっ…こんなの……初めてっ……!!)
 まるで暗闇の中で背後から犯されているかのような錯覚。
 それはディ―ドの秘められた性癖を刺激し、甘美な刺激が全身を包み込んでいく。
 男は膣内を貫くだけではなく、その上部に位置した蕾へも指を伸ばす。
「そ、そこはっ…!、んぁぁぁっ…!!」
 秘所から溢れ出した蜜を指先で掬い取り、微かに蠢く蕾へと人差し指を潜り込ませていく。
 その感触にディードは嫌悪感以上に、今までにない快感を感じていた。
「こっちの経験は無いみたいだな」
 ディードの反応から察した男は、粘膜を傷つけないように細心の注意を払って蕾をほぐしていく。
 男を受け入れた経験の無いその器官は狭く、男の指先を強く締め付けてくる。
 緩やかに抽送を送り込みながら時間をかけてほぐし、男は指をもう一本増やして蕾を責め始める。
 むず痒いような、痺れるような快感がそこから全身へと広がっていく。
 蜜壺を貫かれる快感と合わせて、それは次第にディードを酔わせていった。
(お尻で……お尻で感じるなんて……)
 心では戸惑いながらも、身体は着実に馴染んでいく。
「あふぅ……はぁっ……んんっ……!」
 身体の自由と視界を奪われ、背後から二つの穴を同時に責められる。
 大きく開いた口から、荒い吐息と嬌声を漏らし、桜色に染まった全身を震わせてディードは快感に酔った。
 男の丹念な愛撫によって蕾も指を受け入れるようになり、軽々と男の指を二本飲み込んでいた。
 頃合を見て男は蜜壺から男性器を引き抜く。
「あっ………」
 その感触にディードが名残惜しそうな声を漏らし、布の覆われたままの視界を背後の男へと向ける。
「そろそろ…こっちにも欲しいんじゃないのか?」
 蕾を指先でほぐし続けながら男が囁く。
 男の言う通り、ディードは指の感触だけでは満足できなくなり始めていた。
「正直に言うんだ。ここを犯して欲しいんだろ?」
 繰り返される男の問い掛けに、ディードは黙って頷き返す。
 視界を奪われたディードには、男の顔に浮かんだ好色な笑みを覗う事はできなかった。

 蜜壺から溢れた蜜を蕾へと塗り付け、男はディードの尻の肉を両手で開いて男性器の先端をあてがう。
「力を抜いているんだ…」
「はい………んんっ……」
 ゆっくりと先端が蕾を押し広げ、周囲の皺が広がっていく。
 狭い器官が限界まで押し広げられ、その苦痛にディードの瞳に涙が浮かんで零れ落ちた。
「一気にいくぞ…」
 先端が潜り込んだのを確認すると、男は体重をかけて一気に全てを埋没させていく。
「んーーーーーーーっ!!!」
 裂けてしまうかのような痛みがディードを襲い、声にならない叫びを上げさせる。
 男は全てを埋没させ、一呼吸置いてからゆっくりと動き始めた。
 同時に男が手を廻して蜜壺を掻き混ぜ始めると、蕾への苦痛も次第に柔らいていく。
 そして秘唇が感じる快感んが蕾へと伝染し、苦痛はどこかへと消え去って快感だけが残っていた。
 蕾で始めて男を受け入れ、その始めての快感にディードは戸惑いながらも乱れていく。
「あっ、んんっ!、へ…変なの…お尻が……お尻がっ……!」
 膣内とは比べ物にならない締め付けに表情を歪め、それでも巧みに変化をつけて男は蕾を貫く。
 男は手を伸ばして指を蜜壺へと潜り込ませ、蕾を貫くのと同時に熱く潤んだ蜜壺も掻き回す。
 壁を隔てて触れ合う男の物と指の感触に、ディードは狂ったように泣き叫ぶ。
「やっ、やぁっ!、な…中で擦れて……はぁっ!、駄目ぇっ!、んっ…んんーっ!」
「初めてでこれほど乱れるとは…素質があるみたいだな」
 男が言う通り、ディードは生れて初めて蕾へ男を受け入れ、今までに無い快感を味わっていた。
 それは自由と視界を奪われ、獣のように背後から犯されるという状況も要因となっていたかもしれない。
 しかし、何よりもディードの心の奥にある性質が、その行為に対して反応していたのだろう。
 恥辱的な言葉や行為が、ディードの官能の炎を赤々と燃え上がらせていくのだ。
(わ、私は……こんな女だったの……お尻を犯されて喜ぶなんて……あぁっ…でも……)
 そこを見られる事ですら死んでしまいそうになるくらい恥かしかったはずなのに、今ではそこで男を受け入れて歓喜の涙を零している。
 もうディードは認めてしまうしかなかった。それが自分の本性であるという事を。
 そして認めてしまえば楽になれる。ありのままの自分を受け入れてしまえば、目の前の快楽を貪る事への抵抗は薄れてしまう。
「どうだ、感じているのだろう?」
「は……はいっ……お尻が…気持ちいいですっ…んくぅっ!!」
 力強く可憐な蕾を貫かれ、ディードは未知の絶頂へと到達しようとしていた。
 過去のどんな絶頂よりも激しく、身も心も蕩けきって消え去ってしまいそうな絶頂の予感。
「そろそろ出すぞ…」
 心待ちにしていた瞬間を告げられ、ディ―ドの細い身体が歓喜に咽び泣く。
 収縮する蕾の動きが激しくなり、男の指を咥え込んでいた蜜壺も男に媚びるように襞を絡ませてくる。
「ふぁっ…お尻に…注ぎ込んで下さいっ…イキます…私もイキそうですっ……!!」
 男は両手を寝台の上について腰を浮かせ、打ち下ろすように勢い良くディードの蕾を貫いた。
 その勢いに崩れ落ちそうになる身体を必死に支え、男の抽送を全身で受け止める。
「……いくぞっ!」
 その言葉を合図に勢い良く男の物が跳ね、温かい体液を蕾の奥へと注ぎ込む。
「はぁぁぁっ!、イクぅ!、あぁぁぁぁぁぁーっ!!!」
 流れ込む男の精液が、まるで全身に染み込んでいくかのような感覚。
 自分の中で明かに何かが変わってしまった、そんな気にすらなる感覚。
 絶頂の余韻に荒い吐息を漏らしながら、ディードは自分が満ち足りた気持ちになっているのを感じていた。
(……もう……戻れない………)

 行為が終わり、男がディードを拘束から解放すると、自ら進んで自分の蕾を犯していた物を口に含むディードだった。