Deeper and deeper

 

Deeper and deeper

 何日ぶりの地面だろうか。
 船に慣れていない訳ではなかったが、揺れない地面に微かな安堵を覚える。

(ライデンか……)

 パーンと二人で何度も訪れたことのある街。
 旅の途中で立ち寄ったこともあれば、ここが目的地となったこともある。パーンとディードリットを知る者も多い街だ。

「荷物はこれで終わりですか」
「ええ、ありがとう」
「いえ」

 船員の一人が降り立ったディードリットの足元へと荷物を運ぶ。とはいってもたいした量はなく、麻袋ひとつだ。
 そして隣にはようやく立てるようになったパーン。
 しかし、その目には力が感じられず、ディードリットの呼びかけにも応えない。

(体の方はもう大丈夫だけど)

 やはり精神が負った傷はそう簡単には癒せず、何らかの治療方法を探さなければならないだろう。
 そしてそれはディードリットひとりでは難しく、フレイムの王であるカシュー、あるいはヴァリスのエトの力を借りなければならないだろう。
 そう、パーンの古き友であるエトを頼ることも考えはしたのだ。
 しかしその時はまだヴァリスへの陸路に耐えられるほどの体力は戻っておらず、それを待てるほど時間の余裕も無かった。それに、レイリアの存在もある。
 司祭としてのレイリアの力に期待するところはもちろんのこと、カーラだった頃の記憶と知識にも頼らざるを得ない状況なのだ。
 レイリアに看てもらったところで回復するという保証は無いのだが、とにかく今は彼女に会うほかない。
 そのレイリアは今、夫であるスレインと共にカシュー王の元に召されている。

(でも、とりあえず今日は宿を探して……)

 久々の揺れない地面でゆっくりと休み、ギルドと連絡をつけるのは明日にする。ディードはそう決めると、パーンを伴って歩き始めた。

「さあ、行きましょう」
「……」

 その言葉には何も答えないパーンだったが、ディードリットが手を引くと素直についてくる。
 歩みはまだおぼつかない部分もあるが、一歩も動けなかった数ヶ月前に比べれば格段の回復振りと言えるだろう。
 ただ、それが肉体的な部分に限定されるのが辛いところでもある。

(必ず私が貴方の心を甦らせてみせる)

 久しぶりのライデンの街を前に、そう決意を新たにするディードリットだった。



 あまり目立たないようにと、パーンには目深に外套をかぶらせ、ディードリットは裏通りを歩いていた。
 表に立ち並ぶような宿や、冒険者たちが愛用しているような宿はできれば避けたい。そうなると必然的に、裏通りにあるようやうらぶれた宿ということになってしまう。
 そんな宿を探しながら裏通りを歩き、路地を曲がったときだった。

(尾行けられてる?)

 パーンとディードリットの他に人影がなくなり、その代わり明らかに一般人とは違う気配を周囲に感じた。
 船を降りたばかりで狙われるとは考えにくい。

「……」

 パーンの体をしっかりと抱き支えながら、ディードリットは腰の細剣に手を伸ばした。
 薄暗い裏通りに緊迫した空気が張り詰め、緊張感が否が応にも高まってくる。

(どうする……表に回るか……)

 人通りのある表通りに出れば、そう簡単には手出しできないだろう。
 パーンのことを考えると奇異の視線を浴びそうな場所は避けたかったが、普通の宿を選ぶ方が安全かもしれない。
 と、ディードリットが考えを廻らせていると、気配だけだった存在がいきなり姿を表した。

「誰っ!」

 いったいどこに潜んでいたというのか、まるで影から生れたかのようにいきなり二人の目の前に現れた男。ディードリットはその男の顔に見覚えがあった。
 感情を殺したような瞳と、作り笑いを浮かべた口元。

「あなた……」
「おや、覚えていていただけましたか」

 以前、ライデンに訪れたときに世話になったギルドの世話役のひとりで、フォースの部下だった男だ。
 しかし、見知った相手だとはいえ、まだ緊張を解くわけには行かない。ディードリットは剣の柄に手を置いたまま、男の出方を探った。

「ずっと尾行けてたわね」
「ええ。船に乗られる前からずっと」
「!?」
「本当は我々がお連れするつもりだったのですよ」

 そう言って男は事情を語り始めた。



 ライデンのギルドはフレイム王カシューの依頼で、密かにパーンとディードリットの行方を探っていたのだ。
 様々な情報を精査し、その中から確かな情報を集めていく。その結果、ようやく二人の行方にたどり着いたのはロウルが失脚した後のことだった。
 しかし場所が場所だけに、他の国のギルドの人間が表立って動くわけにはいかない。
 結果として、既にマードックに保護されていた二人を見守りつつ、接触する機会を待っていたのだ。

「船に乗られたときは焦りましたよ」

 しかし行く先がライデンだと知って、男を中心としたギルドのメンバーは、陸路を急いで二人を追いかけてきたのだ。

「そうだったの……」
「陛下にはもう知らせてあります。今日は我々の用意した宿でお休み下さい、明日には馬車を用意させていただきますので」

 ギルドの保護下に入れば、もう何も心配することはないだろう。
 ディードリットの描いていた予定とは違ってしまったが、逆にこれでよかったのかもしれない。
 ようやく安堵の息を漏らして剣の柄から手を離し、男の案内で二人はギルドの関係する宿へと向かって歩き出した。



 そして翌日、二人はギルドの用意した馬車でカシューの待つ王都ブレードへと向かった。
 ギルドのメンバーに警護されての道中は、これまでで最も安心できる旅立った。
 パーンも体力的には全く問題ないほどに回復し、精神に負った傷さえ無ければと思わずにはいられない。

「……」

 その力を失った瞳に光を取り戻し、再び二人でロードスを旅できる日が来るのだろうか。
互いの背中を守り、人々の為に剣を振るう日が来るのだろうか。
 人よりも遥かに長寿であり、ほぼ無限とも言える時を生きているディードリットにとって、パーンとの日々はほんの一瞬のことであるかもしれない。
 しかし、共に旅した日々を思い返すたびにディードリットの胸は切なく締め付けられる。
 それほどまでに、この人間の若者の存在はハイエルフの娘の心を捕らえているのだ。

(パーン……)

 揺れる馬車の窓からぼんやりと外の景色を眺めているパーン。
 その瞳には流れる景色がどう映っているのだろうか。
 ブレードにさえたどり着けば、きっと回復の糸口が見えるはずだと、ディードリットはすがるような気持ちでそのパーンを見つめていた。



「着きましたよ」

途中、パーンの体を案じて休息を取りつつの行程で、ブレードに到着したのは翌々日の日暮れ間近だった。
 久しぶりに見るブレードの街や王城アークロードの威容に、ディードリットは安堵感のようなものを覚えた。
 現在、このロードスにおいて最も力のある国と言ってもいいフレイム。その国王であるカシューの存在は頼もしいと言える。
 カシュー王であればパーンを庇護してくれるのは間違いないであろうし、レイリアやスレインの力があれば必ずパーンを回復してあげられるはずだ。
 懐かしい光景を目にしていると、そう強く思えてくるのだった。

 そして橋を渡り城門をくぐると、そこにはカシュー王自らが二人を出迎えていた。その隣にはレイリアやシャダムの姿もある。

「久しぶりだな」
「陛下……」

 国王陛下自らの出迎えに、ディードリットは軽やかに膝を着いて頭を垂れた。
 カシューはそれを手で軽く制すと、立ち尽くしているパーンへと歩み寄ってその頬に触れる。

「拷問にあっていたと聞いたが、よく生きて戻ってくれたな」
「……」

 憐憫の響きがこもる懐かしい声に対しても、パーンは全く反応を示さなかった。それはレイリアやシャダムでも同様で、二人がパーンに触れて声をかけても、何の反応も示さない。

(……)

 尊敬し憧れてもいたカシュー王に会えばと密かに思っていたが、その期待は脆くも打ち砕かれてしまった。
 やはり、何らかの治療をしなければパーンの心が甦ることはないのだろうか。

「レイリア」
「分かっています。お話は後で……」
「ええ」

 体力的には回復しているとはいえ、さすがにパーンも疲労している。司祭としてのレイリアの看立てと、治療方法についての話を聞くは明日になってからだ。
 二人はレイリアの案内で部屋に通され、ようやく落ち着くことができた。

「ふぅ」

 パーンを横にさせると、思わずディードリットの口から溜息が漏れる。
 行方不明になったパーンを探すためにアラニアを出てから、もう何ヶ月の時が過ぎただろう。
 自分がパーンを探し出し、必ず連れて帰るのだと気を張り続けていたせいか、ディードリット自身にもかなりの疲労が蓄積していた。
 肉体的な疲労も当然だが、より強いのは精神的な疲労だ。
 パーンを探すためとはいえ、娼婦にまで身をやつし男達の慰み者になった。あのロウルからは言葉にできないほどの辱めも受け続けた。

「……」

 ただ、中にはディードリットを気遣って力を貸してくれた男達もいて、少なからず心を通わせたこともある。
 そんなことを思い出しながら、ディードリットは寝息を立てているパーンの髪へと、その細くしなやかな指先を絡める。
 ようやくここまで来た。
 カシュー王の元ならば敵の存在に怯えることもない。
 そしてこの街、ブレードには力強い仲間の存在もある。

(大丈夫……もう大丈夫よ、パーン)

 この地で心と体を休めていれば、必ず以前の姿を取り戻すことができるはずだ。
 パーン自身が持つ生命力の輝きを、その心の強さをディードリットは信じている。
 この若者は絶対にこのままで終わりはしないのだと。

(私も寝ましょう)

 穏やかな寝顔のパーンの隣へと潜り込むと、ディードリットも静かに寝息をたて始めた。
 それは数ヶ月ぶりの、二人で過ごす穏やかな眠りだった。



 翌日、パーンへの食事の世話を終えたディードリットは、カシュー王の呼び出しを受けた。
 レイリアと話をしようと探していたところだったのがだ、カシュー王のそれを断るわけにはいかない。
 仕方なくディードリットが謁見の間へ向かおうとすると、呼び出しを告げた使者がおかしなことを口にした。

「陛下の私室へとお越し下さい」
「私室へ?」

 いくら懇意にしているとはいえ、相手は一国の王だ。その王の私室へ呼ばれるなど、普通では考えられない。
 しかし、カシューという男の性格を考えると、それも分かるような気がした。
 飾らず、分け隔てなく、誰とでも親しく接する実に庶民的な国王だ。
 そうでなければ、パーンやディードリットとこれほど親しくなることもなかっただろう。

「分かったわ。パーン、少し待っててね」
「……」

 ディードリットは使者にそう答えると、部屋にパーンを残してカシュー王の私室へと向かった。



(ここね……って、誰もいないじゃない)

 部屋の前には警護の兵すらおらず、さすがにディードリットも呆れてしまう。
 いくら王城の中とはいえ、ロードスにおいて最大の実力者と見なされている人物なのだ、狙われる可能性も全く無いとは言えない。
 もっとも、このフレイムにおいてカシューを凌ぐ剣の使い手が居ない以上、警護そのものが意味のないことだと言えなくも無い。
 部屋の前に兵を置かないのも、カシューの自信の表れなのかもしれない。
 ディードリットはその扉の前に立ち、身なりを整えてから扉を叩いた。

「失礼します」

 大きく重い扉を押し開くと、部屋の中から漂ってくる香の匂いが鼻先をくすぐった。

(香……?)

 王族や貴族が香を炊くのは別段珍しいことではない。
 しかし、過剰な装飾などを嫌うカシューは、香の類も自ら用いることはなかったはずだ。
 そのことを訝しみながらも、部屋の中へと足を踏み入れる。するとそこには、驚くべき光景がディードリットを待ち構えていた。

「……レイリア!」

 天蓋のある大きな寝台の上、裸になったカシューの足元にレイリアが跪くようにして、股間に顔を埋めていた。
 彼女がなにをしているのか、ディードリットにはよく分かる。自らも数え切れないほど経験してきたことだ。
 レイリアはその長い髪をほどき、自らも裸になってカシューへと奉仕していたのだ。

「んっ、ちゅっ、ちゅぱ……んんっ……」
「ど、どうしてそんなことを……陛下!」

 二人が許された関係ならディードリットが口を挟む問題ではない。しかし、レイリアにはスレインという存在があるのだ。
 ディードリットはカシューを鋭く睨みつけながら、ゆっくりと二人に近付いていく。
 しかしレイリアは全く気にした様子を見せず、隆々と天を向いてそそり立つものを咥え続けていた。

「なんだ?」
「なんだって……どういうことなんですか! レイリアもっ……」

 自分の存在を無視するかのように行為を続けるレイリアに、ディードリットは激しい苛立ちを覚える。
 そんなディードリットを、カシューは嘲笑うかのような目で見つめていた。

「どういうこともなにも、見ての通りだが」
「陛下!」
「これは俺とこの女の問題だ、お前が口出しするようなことでもあるまい?」
「それは……」

 確かに二人が合意の上でのことならば、ディードリットにとやかく言う資格はない。しかし、レイリアは人妻なのだ。

「こ、このことをスレインは……」
「もちろん知ってるさ」
「そんなっ……!!」
「妻を差し出せと言ったときの顔、見せてやりたかったな!」

 そう言ってカシューは哄笑した。
 ディードリットは発するべき言葉を失い、愕然として目の前の光景を見つめる。

(差し出させたって……どういうこと!?)

 いくら国王とはいえ、臣下の妻を奪っていいという法はない。
 スレインだって、自分の妻を唯々諾々と奪われた訳ではないだろう。
 いったいどうしてこんなことになったのか、ディードリットには全く理解できなかった。

「訳が分からないといった顔だな。まあいい、後で説明してやるから……そこで見ていろ」
「……」

 カシューはディードリットに見物客となることを命じると、視線を自らの股間に顔を埋めているレイリアへと戻した。
 怒りと戸惑いで混乱しながらも、ディードリットは仕方なく言われた通りに命令を受け入れる。
 カシューとレイリアの口から事情を聞かないことには、納得できそうにもないからだ。
 そしてカシューはレイリアの頬に手を伸ばすと、その顔を上げさせた。

「そろそろ欲しいだろう。客も待たせてるしな……こい」
「はい」

 レイリアはカシューの言葉に嬉しそうに頷き、ゆっくりと体を起こす。すると一糸纏わぬ姿の彼女の胸元で、豊かな胸が大きく揺れた。
 ハイエルフのディードリットほどではないものの、白く綺麗な肌と豊満な肉体。女性として魅力的であることは、以前からディードリットも認めるところだ。
 しかし、ディードリットもレイリアのこんな表情を見るのは初めてだった。
 カシューに対して見せる媚びたような淫らな微笑み。

(レイリア、貴女……)

 レイリアは寝台の上で仰向けになると、外側から膝裏を抱えるようにして足を開く。
 大きく足を開いたせいで、ディードリットの場所からでも黒々とした恥毛と、その奥に隠れる鮮やかな淫唇が目に入る。
 そこへカシューが覆いかぶさり、しっかりと狙いを定めて腰を進めていった。
 レイリアが奉仕している間は全体が見れなかったが、改めて見るとカシューの男性器は人並みを大きく超えている。

(す、凄い……)

 何人もの男性器を見たディードリットでも、その大きさには目を見張ってしまうほどだ。
 その並外れて大きな男性器が、レイリアの濡れた淫唇をやや強引に押し開いていく。

「んっ……く、くぅっ……はぁっ!」

 大きく息を吐き出しながら、レイリアはその剛直を受け入れる。
 子供を産んだ経験があるからだろうか、並外れた大きさの男性器も、ゆっくりとではあるが挿入されていく。
 その光景を見つめながら、ディードリットはそれが自分だったらと、頭の中で置き換えて想像してしまわずにはいられない。

(あんなに大きなもの……無理よ、私には入らない)

 そう思うのと同時に、あんなに大きなもので貫かれたら、どれほど気持ちいいのかと思ってしまう。
 そして男に抱かれる喜びを覚えこんでしまった肉体が、ディードリットの意思とは無関係に期待で逸ってしまう。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 ずぶずぶと、溜まった愛液を溢れ返しながらカシューの男性器がレイリアを貫く。
 淫唇はいやらしくめくれ上がり、血管の浮き上がった太い剛直へと絡み付いている。
 そして根元までしっかりと挿入すると、おもむろにカシューは動き始めた。男性的な逞しさを持った、力強く強烈な抽送だ。
 その激しさにディードリットも思わず「ゴク」っと息を飲む。

「あぁんっ! あっ、あっ、あっ、んはぁっ!」

 自分で膝裏を抱えていたレイリアはその手を離すと、そのまま両脚をカシューの腰へと絡めさせ、両腕は背中を抱きしめる。
 その光景は国王と臣下の妻とはとても見えず、愛し合っている男女としか思えないほどだ。
 ここまで一貫してレイリアには嫌がるような素振りが見られず、どちらかと言うとカシューに抱かれることを喜んでいるようにも見える。
 それが余計にディードリットを混乱させた。

「あっ、あっ、あぁっ! 陛下っ、陛下ぁっ……!」
「ふふ、膣内が悦んでるのが分かるぞ」
「くぅっ……んはぁっ!」

 そしてカシューはレイリアの豊かな乳房にむしゃぶり付きながら、より激しく貫いていく。
 豪華で頑丈な寝台がその勢いで軋み、レイリアの喘ぎと混じって悲鳴を上げている。

「あぁんっ! んっ、んっ、んっ、んんーっ!」

 レイリアがよく知った相手なだけに、その痴態はあまりに刺激的だ。
 黙って見つめているディードリットも、自分が目の前の光景に興奮し始めているのを自覚していた。
 少しずつ体が火照り始め、唇が乾いていく。
 緊張感にも似た興奮がゆっくりと全身を包み込み、ディードリットの女を目覚めさせようとする。

「ああーっ! いいっ、いいですっ! へ、陛下のがっ……深いっ! んはぁっ!」
「お前はここが感じるんだったな。ほら、どうだ!」
「くぅんっ! だ、だめっ、だめぇっ! もうイキますっ…お、お許し下さいっ……!」

 そう悲痛な叫びを上げるのと同時に、レイリアの体が寝台の上で震えた。
 あんなに逞しいもので責められては、きっとその絶頂の激しさも凄いものだろう。
 レイリアは短く喘ぎながら、繰り返し絶頂の声を漏らし続けた。

「あぁっ! イ、イクっ、イクぅっ! あっ、あっ、あっ、んあぁーっ!」
「ほら、俺も出すぞ!」
「だ、出してっ、陛下の……陛下の子種をっ……!」

 レイリアが求めるのと同時に、カシューが彼女の膣内へと射精した。
 すると、ごぷごぷという音と共に繋がった部分から精液が勢いよく溢れ出してくる。レイリアの子宮や膣内では収まらないくらいの量なのだ。

(すごい量……あんなに出されたら……)

 レイリアがカシューの子を孕んでしまう可能性は高いだろう。
 だが、二人はそんなことは全く気にしていないといった様子で、そのまま行為を続けようとする。
 溢れ返る精液を撒き散らしながら、カシューは萎える気配すらない剛直を出し入れさせる。

「んはぁっ! あっ、あぁっ! くはぁっ!」

 カシューとレイリアの激しい性交に、ディードリットは膝から力が抜けていくのを感じた。
 そしてそのまま、冷たい石造りの床へとへたり込んでしまう。

「あ……」

 お尻の下に感じる冷たい石の感触が、自分の体の火照りをより意識させるのだった。

<続く>